サーバーベース入札、「動画広告」には応用できるのか?:テストをはじめるパブリッシャーたち

パブリッシャーがヘッダー入札でディスプレイ広告を販売するとき、ページの読み込み時間は大きな問題となる。動画ではこの問題が、さらに大きくなる。

パブリッシャーのパーチ(Purch)とバイラルサイトを手がけるリトルシングズ(LittleThings)は、動画広告販売のサーバー・トゥー・サーバーへの統合を実験している。その狙いは、ヘッダー入札のデメリット(読み込み時間が遅いこと)を解消しながら、メリット(競争を激化させて広告料金を吊り上げること)を得ることだ。

なんのことだかよくわからないという人のために、まず背景を説明しよう。ヘッダー入札では、基本的にユーザーのブラウザが使用される。パブリッシャーは、広告インベントリー(在庫)を5つか6つの異なるヘッダー入札にかけるのが普通だ。しかし、ヘッダー入札が多くなるほど、読み込み時間も長くなる。サーバーベースの入札は、このようなページ速度の低下に対応するために登場した。

パブリッシャーのページにちょっとしたコードを加える必要があるが、パブリッシャーの広告サーバーへの接続はひとつだけで済む。そのため、パブリッシャーが複数の入札者を呼び込もうとしても、遅延(レイテンシー)が大幅に少なくなる。そう説明するのは、パーチでプログラマティック収益担当ディレクターを務めるマーク・ロペラト氏だ。

ヘッダー入札の好事例

たとえば、リトルシングズでは、サーバーベースの入札を利用してプレロール広告を販売することで、クリック再生型の動画広告で5500万以上の月間視聴者数を獲得してマネタイズする計画だと、同社のデジタル担当エグゼクティブバイスプレジデントであるジャスティン・フェスタ氏は説明する。

「レイテンシーの問題は、いまのところ見られない」と、フェスタ氏はいう。「我々の動画は、たいてい記事中に埋め込まれており、動画のオークションはページではなく、当社の広告サーバーで行われる。そのため、インデックスコードを非同期的に読み込めるのだ」。

パーチの場合、業界のプロトコルに沿ったカスタム入札を24種類以上開発しており、そのうちの9つでストリーミング動画広告を流せるようにする予定だ。

逆に残念なところ

ただし問題もある。サーバーベースの入札では、設定を丸ごとコピーアンドペーストするだけでは済まない。業界のリアルタイム入札のプロトコルに従って、広告バイヤーを統合する必要があるのだ。そのため、プロセス全体が複雑になり、限られた数のバイヤーしか参加しなくなる可能性があると、アドテク企業ゲットインテント(Getintent)の創設者でもあるCEO、ジョージ・レビン氏はいう。

また、透明性も大きな問題だ。ヘッダー入札では、パブリッシャーがすべての入札価格を確認できる。だが、サーバーベースの入札ではそうではない。ページのパフォーマンスに悪影響を及ぼすことはないかもしれないが、オークションがサーバー側で行われるため、パブリッシャーがすべての状況を確認できないのだと、レビン氏は説明した。

「パブリッシャーにとっては、従来のヘッダー入札の手法のほうがメリットは大きい。にもかかわらず、サーバー・トゥー・サーバーへの統合を推進している理由は、レイテンシーが大きな問題だからだ」とレビン氏はいう。「だが、動画でレイテンシーが問題になっていることを実際に証明し、その問題に対処しようとしてきた者はいない」。

ベンダーによるマーケ戦略?

アドテク大手のインデックス・エクスチェンジ(Index Exchange)は別として、アップネクサス(AppNexus)などのアドテク企業も最近になって、いわゆる「動画ヘッダー入札」製品を導入している。だがレビン氏は、サーバー・トゥー・サーバーへの統合は、ベンダーが広告費を吊り上げるためのマーケティング戦略にすぎないと考えている。ヘッダー入札では、アドテク企業はお金を請求できない。ヘッダー入札はオープンソースのサービスであり、オークションはブラウザ側で行われるからだ。

だが、「オークションがサーバー側で行われれば、彼らは料金を請求しやすくなる」と、レビン氏。「これは、サプライサイドプラットフォーム(SSP)のためのSSPのようなものだ」。

Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)
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