パブリッシャーの「動画への転向」:トレンドを示す5つのグラフ

FOXのような既存の大手メディア企業から大麻専門の新興企業まで、多くのパブリッシャーが動画に大規模な投資を進めている

動画への最近の投資は、たいていの場合、テキストを犠牲にして成り立っている。MTVニュース(MTV News)やマイク(Mic)のようなメディア企業は、ライターをレイオフして動画にシフトしているからだ。パブリッシャーが広告予算を動画にシフトし、懸命に利益を追い求めていることから、メディア業界全体に衝撃と憶測が広がっている

今回の記事では、こうした大きな動きのなかで、具体的に何が起きているのかをまとめた5つのグラフを紹介する。

広告支出のシフト

調査会社のeマーケター(eMarketer)によると、米国における動画への広告支出は、2016年に100億ドル(約1兆円)を突破し、2020年までに180億ドル(約1.9兆円)を超える見込みだという。

広告支出の動画への移行が進んでいることから、広告バイヤーの予算に占める動画の割合は増加している。インタラクティブ広告協議会(IAB)と広告業界専門の調査会社アドバタイザー・パーセプションズ(Advertiser Perceptions)は今春、広告主350社以上を対象に調査を実施。広告主が2017年の広告予算のうち動画に割り当てる金額の割合は、平均で56%という結果になった。

「ブランドにとって、質の高い動画コンテンツを制作して大規模に配信することが、これまで以上に実行しやすくなっている」と、広告エージェンシーのジ・エンジン・イズ・レッド(The Engine is Red)のCEOを務めるクリス・デニー氏は語る。

広告予算配分の割合(年別)

広告予算配分の割合(年別)

パブリッシャーによるレイオフ

動画に転向するトレンドは、2016年春までさかのぼることができる。当時、新興デジタルメディア企業マッシャブル(Mashable)などの企業が、編集部員をレイオフして動画への注力を強めた。とはいえ、そうした傾向はここ数カ月で強まっている。MTVニュースは、レイオフした人数を具体的に明らかにしていないが、最近動画にシフトしたほかのパブリッシャーは、それぞれ20人以上レイオフしたと報じられている。

動画シフトにより解雇された各社の人数

動画シフトにより解雇された各社の人数

ソーシャルでの言及

ソーシャルメディア分析会社のブランドウォッチ(Brandwatch)によると、「pivot to video(動画への転向)」というフレーズは今年、ソーシャルメディアで約1万4000回言及されているという。だが、ボカティブ(Vocativ)やMTVニュース、FOXスポーツ(Fox Sports)がライターをレイオフした6月より前、このフレーズはほとんど使われなかった。

広告エージェンシーのエピック・シグナル(Epic Signal)を創業したブレンダン・ガーハン氏は、トラフィックをFacebookに頼るパブリッシャーが非常に多いことが、こうしたトレンドに反映されていると指摘する。

「Facebookは動画を優先し、最近は『Watch』タブの導入をはじめた」と、ガーハン氏は語る。「大半のパブリッシャーがそうだが、Facebookに依存するパブリッシャーにとって、これは適応しなければならないことを意味する。Facebookは大きなトラフィックソースであり続けているが、パブリッシャーは同プラットフォームに依存するようになり、その気まぐれや目標、希望に翻弄されてきた」。

「pivot to video(動画への転向)」というフレーズがソーシャルメディア言及された頻度(月別)

「pivot to video(動画への転向)」というフレーズがソーシャルメディア言及された頻度(月別)

メディアの報道

紙媒体の記者が大量解雇されたことで、自らの仕事の存続をかけた多数の記事を通じて、メディア業界の現状が報じられた。ベンチャービート(VentureBeat)は、このトレンドには「絶望」の気配が漂っていると述べた。ザ・リンガー(The Ringer)は、「昔ながらの企業の策略」が背景にある可能性を疑った。ニューズウィーク(Newsweek)は、動画への転向はうまくいかないと主張。米DIGIDAYも、このトレンドに乗ってきた

ブランドウォッチによると、「pivot to video」というフレーズは今夏、1600以上の見出しに登場したという。

「pivot to video」というフレーズが記事見出しに利用された頻度(月別)

「pivot to video」というフレーズが記事見出しに利用された頻度(月別)

ユーザーが求めるもの

紙媒体の記者には、自分たちの生活が危険にさらされているので、動画への転向に水を差す動機がある。ただし、彼らの敵意を裏打ちするデータもある。ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の調査によると、最近のライター追放にもかかわらず、広告主がリーチを切望しているミレニアル世代はまだ、ニュースを読むことをより好んでいる。

「動画で知られていないサイトが、ただ利益を求めて動画の広告やコンテンツの提供に乗り出しても、まったく的外れだ」と、メディアエージェンシーのメディアスミス(Mediasmith)でCEOを務めるデビッド・スミス氏は指摘する。「我々が望むのは、消費者が動画を視聴するために集まっている場所に動画の予算を投じること。知名度のないサイトにお金を回すことではない」。

ニュースの取得方法の好み(世代別)

ニュースの取得方法の好み(世代別)

Ross Benes (原文 / 訳:ガリレオ)