FBライブ動画にこそ、媒体社のビジネスチャンスがある!?:ビジネスインサイダー&ニューズUKの事例

Facebookライブ動画でいかに収益を得るか、パブリッシャーらは創意工夫を凝らしている。

この4月、Facebookがブランデッドコンテンツに正式に門戸を開いたことで、メディアはブランドとの共同制作やブランドの提供による記事広告を認証済みFacebookページに公開できるようになった。一部のテストパブリッシャーに限られているが、Facebookライブ動画の合間のコマーシャルタイムに短い広告を流す選択肢もある。しかしながら、パブリッシャーが雪崩を打つようにスポンサー付きのライブ動画に殺到しているわけではなく、まだFacebookライブ動画のオーディエンス数を伸ばす方法を考えているパブリッシャーが大半だ。

だが、マネタイズが見えはじめているパブリッシャーもいる。ビジネスインサイダー(Business Insider)とニューズUK(News UK)がそうだ。

Facebookはメディアオーナーによるライブ動画の商用化に、読み込み高速化ツールの「インスタント記事(Instant Articles)」と同じルールを適用している。とはいえ、現状インスタント記事による収益が大幅な増大を報告しているパブリッシャーはほとんどない。一部のパブリッシャーにとっては、Facebookライブ動画にこそ本当のビジネスチャンスがあるのだ。

Facebookがより協力的に

「ライブコンテンツはもっとお金になる可能性を秘めており、ブランドを組み込むという選択肢は最初からあった」と語るのは、ビジネスインサイダーU.K.でマネージングディレクターを務めるジュリアン・チャイルズ氏だ。「Facebookはパブリッシャーとの取り組みに関して、インスタント記事よりもFacebookライブ動画の方でより協力的な姿勢を見せており、これは歓迎すべき変化だ」と同氏は語る。

ビジネスインサイダーU.K.は今年の7月、ブランデッドコンテンツのライブ動画を2種類流した(アナリティクス企業チューブラー・ラボ[Tubular Labs]のデータによると、この月のFacebookにおける動画視聴数は8000万回だった)。ひとつは、ゼネラル・エレクトリック( General Electric:GE)とブランデッドコンテンツに関して交わした包括的な提携に基いて制作したものだ。この動画では、同社のコンテンツスタジオであるBIスタジオ(BI Studios)から、この夏のファーンボロー国際航空ショーで展示された重大な技術進歩について掘り下げるライブインタビューが行われた。

もうひとつはより典型的なスポンサー付き動画だ。この夏の「カンヌライオンズ(Cannes Lions)」期間中のFacebookライブ動画について、アドビ(Adobe)が編集面には口出しせずに資金を出した。この番組は、港に停泊しているニューズ・コーポレーション(News Corp)のヨット見学などを取り上げ、ビジネスインサイダーU.K.の編集者であるジム・エドワーズ氏とララ・オライリー氏が15分間のまとめで締めくくった。

「やるだけの価値がある」

チャイルズ氏によると、ビジネスインサイダーはFacebookライブ動画のブランデッドコンテンツについて、広告主とまだたくさん話し合いを進めているという。「全体的に、何らかの話題を中心にブランドと協力する可能性がある。技術的障害は事実上ゼロであり、我々はライブ動画を公開し、数万から数十万の人に、動画を視聴し、コメントし、ただちにシェアしてもらえる。ゼネラル・エレクトリックのような先進的なブランドほど、うまく活用できる強力な媒体だ」とチャイルズ氏は続けた。また、この方法は得られた収益がすべてビジネスインサイダーの手元に残る。

とはいえ、Facebookライブ動画のブランデッドコンテンツは、気弱な人向けではない。一部のパブリッシャーが提供しているテレビのような制作品質ではなく、そこまでは念入りに仕上げないライブ動画となっても、広告主はそこに加わらなければならないからだ。

「ただちにライブ環境にさらされるため、課題は明らかだ。ブランドとパブリッシャーにとって、いいマネタイズのオプションというだけでなく、そうしたオーディエンス体験もきちんと理解したうえでなら、やるだけの価値がある」と、チャイルズ氏は語る。ビジネスインサイダーは現在、Facebookライブ動画でもっとネイティブアドに近い体験を生み出す方法に取り組んでいるという。

大きな収益をもたらすと確信

「タイムズ(The Times)」や「ザ・サン(The Sun)」などの全国紙を傘下に持つニューズUKがFacebookライブ動画で最初に流したブランデッド動画は、ザ・サンのファンタジーフットボールサイト「ドリーム・チーム(Dream Team)」のために制作したものだった(チューブラー・ラボのデータによると、この動画は9月に6000万回の視聴数を稼いだという)。

また、10月下旬に公開した50分の動画は、人気ゲーム「コール・オブ・デューティ:インフィニット・ウォーフェア(Call of Duty: Infinite Warfare)」のベータ版を取り上げたもので、注目されているeスポーツを活用した。動画ではゲームユーチューバーのWizzite氏が、まだリリースされていないこのゲームをプレイ。視聴者には、PlayStation 4やこのゲームを賞品にして、ストリーミング中にWizzite氏が殺す敵の数の予想といった形で参加を呼びかけた。視聴数は20万回を超え、1400人がいいね!をした。

ニューズUKはペイウォールを廃止して以降、この1年で動画制作に多額の投資をしており、Facebookをはじめとするソーシャル動画を戦略の中心に据えている。先日開催されたDIGIDAYのパブリッシング・サミットでは、ニューズUKのデジタル責任者、オリバー・ルイス氏が、Facebookライブ動画は将来、パブリッシャーにかなりの収益をもたらしてくれると確信しており、コール・オブ・デューティの動画ははじまりにすぎないと語った。

生放送は「素晴らしい」チャンス

Facebookライブ動画は、大きな文化的ライブイベントを活用したい広告主にとって魅力的だ。メディアエージェンシーであるメディアコム(Mediacom)のEMEAデジタル戦略責任者、ダン・チャップマン氏は、「テレビの生放送で一時停止や録画ができるようになる以前にあった視聴確約型の契約はほとんどなくなった」と語る。

つまりFacebookライブ動画がもつ生放送という側面は、ブランドがキャンペーンの影響を測定し、大衆文化における重大な瞬間を利用する「素晴らしい」チャンスになるとチャップマン氏は続ける。「スーパーボウルのスポンサーになるところがまだある理由はリーチだけではない。文化的に重要な時間であり、スペースが限定されているからだ。だから、ライブストリーミングは、とりわけeスポーツで大規模になる」と同氏は語った。

Jessica Davies (原文 / 訳:ガリレオ)