分散化したものの、曖昧な指標に困惑するパブリッシャーたち

多くのパブリッシャーは、先を争うように、Facebookなどリーチする力の強いプラットフォームを利用した、コンテンツ配信に乗り出してきた

そしていま、パブリッシャーはそれぞれのプラットフォームの、混在したいくつもの異なる指標を読み解いて、オーディエンスを定量化する方法を見つけだす必要に迫られている。サードパーティによる単一の基準は存在せず、フィードバックの頻度はプラットフォームごとに異なり、露出の定義もバラバラだからだ。

Snapchat(スナップチャット)Apple Watchなどの新たなプラットフォームにいち早くコンテンツ配信を実施してきた「CNN」にとって、これはお馴染みの問題だ。Snapchatの配信では、このアプリを利用する若いオーディエンスに向けた解説記事の形をとることが多い。一方、Apple Watchはパーソナライズされたニュースのプッシュ通知に利用している。

「CNN」としては、競合相手と比較可能なオーディエンスデータをリアルタイムで入手し、各プラットフォームに編集リソースをどう配分するかを決める参考にしたいだろう。しかし、データの提供はプラットフォームの裁量次第であり、1日1回、もっとひどい場合には週1回しかフィードバックをもらえない場合もある。

「CNN」のデジタル編集責任者を務めるメレディス・アートリー氏は、次のように述べている。「プラットフォームはどれも少しずつ違っている。オーディエンスと測定指標が少しずつ異なるからだ。Appleの 『News』の測定指標もほかとは違ったものになるだろう。オーディエンスも活用事例も、Snapchatやインスタグラム、メッセージアプリやスマートウォッチとは異なる」。

指標を設定できないSnapchat

たとえばSnapchatは、パブリッシャーと広告主にとって、いま熱いメッセージアプリだ。しかし、彼らは熱狂すると同時に、フィードバックされる測定指標が貧弱でターゲティングもされていないことに不満を抱いている。

「ホライズン・メディア(Horizon Media)」の最高デジタル責任者であるドニ―・ウィリアムズ氏は、「得られるものの属性が分からないのが本当に困る。成功の目安となるものが露出しかない。露出によって何が得られるのかが正確にわからないと、うまくいっているのかどうかを把握するのはますます難しくなる」という。

コンテンツビューという考え方

Vox Mediaのマーケティングおよびパートナーシップ担当バイスプレジデントのジョナサン・ハント氏によると、同社が注目する指標は「コンテンツビュー」だという。これは、自社サイト上のページビューだけでなく、ほかのプラットフォームに配信したコンテンツとの相互作用を捉えるものだ。

同氏はコンテンツビューについて、「コムスコア(comScore)やニールセン(Nielsen)には決して計測できない、オーディエンスの状況や、コンテンツがプラットフォーム上およびプラットフォーム外でいかに伝わっているかを、包括的かつ全体的に捉えるもの」だと説明した。

総合的露出に注目する企業も

同様に、総合スポーツメディア「ブリーチャー・レポート(Bleacher Report)」は、社内の情報共有や広告主への売り込みにおいて、コンテンツ上のソーシャルな相互作用(「いいね!」、リーチ、シェアなど)を強調している。ブリーチャー・レポート代表のローリー・ブラウン氏は、広告主の一部は同社のメッセージを受け入れていると述べた。

「プレビュー広告が50万ビューを達成するか、といったことを気にする人は減ってきている。クライアントの関心は総合的露出に移りつつある」と、ブラウン氏はいう。だが、プラットフォーム間に共通の標準的な測定指標が存在しないことで、ソーシャルメディアの収益化に何らかのギャップが生じているかと質問したところ、「間違いなく生じている」との答えが同氏から返ってきた。

動画の測定方法も混乱

動画にも特有の問題がある。何をもって動画の「閲覧」とするかを各プラットフォームが独自に定義しているため、1対1での比較が困難なのだ。

自動再生動画広告を採用しているFacebookとYouTubeでは、自動再生されたものとユーザーが自ら望んで再生したものを等価に扱うべきかが問題になる。Facebookには「閲覧」の項目があり、3秒以上の再生だけが記録され、また「30秒または75%の閲覧」という項目もある。

誰にとっても厄介な状態

新しいプラットフォームはさらに困難だ。12月に「ブリーチャー・レポート」の動画がインスタグラムで自動再生された回数は2860万回だったのに対して、Vineで「ループ再生」された回数は2300万回だった。これらの数字をどう重み付けして評価すべきか、どのパブリッシャーも手探り状態だ。これは、メディアの売り手と買い手にとっても、厄介な状況だ。

メディア消費の細分化が進むにつれ、Snapchatを活用している、先述の「ホライズン・メディア」のウィリアムズ氏のような買い手にとって大きな課題は、広告が誰に届いているかを説明できるようになることだろう。キャンペーンの成果を評価する前段階の、どの指標を用いるかが、置かれている環境によって異なるからだ。

ウィリアムズ氏は、「目標とする大きな指標は、果たして我々が新たなオーディエンスにリーチしているのか、それとも別の環境で既存のオーディエンスが閲覧しているのかだ。異なるプラットフォームで、新たなオーディエンスにリーチしているのかが、我々のもっとも知りたいところだ」と述べている。

Lucia Moses (原文 / 訳:ガリレオ)
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