プラットフォームへの記事配信、ぶっちゃけどう思う? パブリッシャーの本音

2015年9月16日にローンチされたiOS9のニュースアプリ「Apple News」は、パブリッシャーに「新たな読者を獲得する機会」を広げてくれた。さまざまなプラットフォームによるニュース需要は尽きないが、そこに潜む課題を見逃してはいけない。

FacebookやSnapchatのようなプラットフォームの注目度の高さは、もはや単体のパブリッシャーにとって容易に獲得できないものだ。だから、コンテンツ配信型のビジネスモデルは、理にかなっているものの、単純に割り切れないところもある。

「BuzzFeed」や「Quartz」、「ビジネスインサイダー」などは、コンテンツ配信に際して、それぞれのプラットフォームの特徴や強みに合わせた記事を作成して、このビジネスモデルを推し進めてきた。一方、このような投資によってプラットフォームが得るものは、読者を惹きつけることができるパブリッシャーの記事コンテンツである。いま再び、コンテンツの重要度が再認識されているのだ。

パブリッシャーたちは、このパラダイムシフトに何を思うのか? 以下のコメントで、パブリッシャーの抱える本音を紹介する。

米大手スポーツメディア「ブリーチャーレポート」ゼネラルマネージャー
ドルス・ラファエリー氏

「パブリッシャーには限られた時間や予算しかない」

現在パブリッシャーは、記事を自社サイト、Vine、Snapchatなど、各メディアに配信している。しかし、同じ記事でも内容はまったく同じではなく、毎回投稿するプラットフォームごとにフォーマットを修正し、再編集を行っている。それぞれのプラットフォームへ、いかにコンテンツを馴染ませるか考える必要があるのだ。プラットフォームごとに費やす、これらすべての工程には時間がかかるため、編集部はどのプラットフォームがもっともインパクトの強いものになるのかを考え、優先順位を決めなくてはいけない。私の仕事のひとつは、チーム全体が編集に全力を注げるように、その優先順位を常に考え、順位が高いほうに向かって、仕事をさせることである。ときどき方向を間違えてしまうこともないことはないが。

分散型メディア「NowThis」プロダクション部門上席部長
スティーヴン・ベルサー氏

「データ分析に対する課題は、まだまだ解消されていない」

データ分析に関する問題を常に抱えている。Facebookは我々にとって重要なデータを提供してくれる一方、インスタグラムなどは標準的なエンゲージメントデータ以外、重宝する情報をほとんど与えてくれない。Snapchatの「Stories」機能にも同じことが言える。パブリッシャーが分析に要するデータを得られないのは、納得できない。このような情報の不透明性は、パブリッシャーにとっては大きな困難であることはあきらかだ。パブリッシャーが配信モデルに本気で取り組むために役に立つ、オーディエンスをより理解するための信頼性の高いデータは、まだまだ沢山あるはず。パブリッシャーが望むような力強いデータではないとしても、あることは確かだ。

Vox Media 代表取締役 マーティー・モー氏

「プラットフォームごとにコンテンツを最適化させることが重要だ」

プラットフォームに対するパブリッシングの最大のチャンスと挑戦は、それぞれのプラットフォームに記事のタイプやフォーマットを最適化させることだ。プラットフォームごとに異なる手法を必要とするのは当たり前で、フォーマットを少し変化させるだけで済むものもあれば、記事の伝え方を変える必要がある場合もある。そのような仕事には集中力、的確な評価基準、そして反復作業と経験が必要となるのだ。読者は、同じ記事であっても異なるプラットフォーム経由で受け取ったら、プラットフォームごとに異なる反応を見せることがわかっている。すべての場で万人に通用する解決法は存在しないことを理解しなければいけない。たとえば、私たちにはSnapchatのプログラミングを専門に行うチームがいるが、彼らはSnapchatの読者を理解し、最適な記事を作成している。我々は他の主要プラットフォームに対しても同様のことを実施している。

Ricardo Bilton(原文/訳:小嶋太一郎)
Image via Jason Howie