女性メディアの怠慢が、女性に新たな「呪い」をもたらす

本記事は、アメリカのミレニアル世代の女性ライフスタイルメディア、ボルダ(Bolde.com)を起ち上げたハーリーン・カーローン氏による、寄稿コラムとなります。

◆ ◆ ◆

いつ何時でも、女性同士の会話で事欠かないトピックといえば、ひとつしかないだろう。それは、私たち女性がいつも考え、ときに会話し、チャットし、投稿している、「愛について」だ。そして、それを自分自身でどのように体験しているかである。

いくつかのトピックはタイムレスに話題になり続ける。どうやって魅力を備えるか、気になる人物を愛する価値があるかをどうやって見分けるか、元カレの呪縛からどうやって解き放たれるか、などだ。ところが、女性たちのこうした恋愛、結婚、そして家庭作りに対する関心は、世間が期待するそれに大きく影響し、女性たちは永遠に満足することはないだろう。

お互いに責任を果たし続ける関係を見つけることは、どんどん難しくなっている。もし責任のある関係を見つけられたとしても、それはとてもレアで、身近な状況でない場合もある。まして、子どもについては避けて通れない話題だ。

女性が本音で求めるもの

そこで、ほかにも問いを投げてみたいと思う。結婚は本当にすべきことか? 女性はみんな本当に子どもが欲しいと思っているか? 女性がパートナーに求めるものは、キャリアと女友達で満たすことは本当にできないのか? 

一方で、女性たちは葛藤している。女性はフェミニズムの台頭によって解放されたはずだ。男性よりも稼ぎ、ドナーバンクから精子を買うこともできる。しかし、ラブコメを見て、運命に人について考え続けているということは、私たちの多くは、やはり結婚と家族という掴みどころのないものを欲しがっているのだろう。

子どもやパートナーの有無にかかわらず、我々自身が何を欲しがっているのかを理解するために、女性には新しい道を示してくれるアドバイスとロールモデルが必要だ。だが、ほとんどの女性メディアでそのようなコンテンツを見かけることはない。ほとんどの有名女性メディアは、ファッション、ビューティー、エンターテインメント、セレブリティーを包括的にカバーしているのみで、こうした女性の恋愛やパートナーとの関係についての複雑な意識に関して取り上げるメディアは、ほとんどない。

  • バッスル(Bustle)は恋愛に関する話題について、ナビゲーションメニューではまったく取り上げていない。Facebookでは恋愛とセックスに関するトピックのページをもっているが、そのコンテンツはとても探しにくい。
  • リファイナリー29(Refinery29)は恋愛に関するコンテンツを少しだけ提供しており、セックス、マスターベーション、STD(性病・性感染症)に関するネタはあるが、すべてヘルスのカテゴリーに含まれている。
  • タイム社(TIME Inc.)のモットーは3つ、仕事(Work)、遊び(Play)、生活(Live)だが、恋愛に関するコンテンツはどこにも当てはまっていないようだ。
  • 2015年にタイム社によって買収されたハローギグルス(HelloGiggles)には、恋愛に関するセクションはあるようだが、おおむねセレブのゴシップネタばかりだ。
  • シーノウズ(SheKnows)は、女性メディアのなかでも、もっとも大きなメディアであるが、恋愛に関するネタの記事は、日にふたつほどしか配信されないうえに、コンテンツは練られたものではないようだ。
  • コスモポリタン(Cosmopolitan)は60年代と70年代に革新的な女性メディアとして話題になったが、現在は勢いをなくしているようだ。

独身女性のニーズとは?

女性メディアは独身女性のニーズに応えられていない。注目すべきは、こうした女性たちは、引っ張りだこのデモグラフィック層であるということだ。アメリカ国内だけで、独身女性は3500万人いる。そして、彼女たちは1年で1兆ドル(約110兆円)を市場にもたらすといわれており、エンターテイメント産業だけで220億ドル(約2.4兆円)はうるおすという。こうした独身女性たちは、かつてブランドから大人気だった子どものいる既婚女性よりも、いまや影響力があるようだ。消費者グループとしては彼女たちは、極めてわかりやすい経済的な原動力となっている。

メディアはなぜこのターゲット層のニーズを的確にキャッチしていないのか? それはメディアが読者体験を理解していないか、または、彼らが従来培ってきたことから素早く軌道変更できていないからだ。刺激的で物議を起こすような会話を無視し、有意義ですらなく、無難でありふれた、クリーン過ぎるトピックしか取り上げない。

女性メディアのユニークかつ、有益な恋愛に関するコンテンツを提供できていない事実に関しては、取るに足らないことだと思うかもしれないが、実際はそんなことはない。ターゲットの女性読者にとっては、大きなアダとなっている。

自分に呪いをかけないで

これまでのメディアは、女性に対して現実的ではないほどの、完璧な外見を求めるような徹底した美意識を植え付けてきた。また同じく、これまでのメディアの女性が抱える男女関係に対する問題や意識への無関心は、女性に新たな条件を突きつけている。それは、強く、自立したストレートの女性は何の問題なく男性とデートに出かけ、パートナーを見つけ、結婚し、ハンサムな夫との子育てを、完璧なキャリアと並列して行っているであろうという強迫観念だ。

こうした人生は、ブレイク・ライブリー(テレビドラマ『ゴシップガール』の主演女優)でもない限り現実的とはいえないだろう。加工や整形施術を施されてしまっているのは体の脂肪やシワだけではない、女性のリアルな現実そのもの、もっとも複雑な部分なのである。

結果として、何百万人もの独身女性が、選択肢が限られていることについて自分自身を責めるべきなのかと、フラストレーションを抱えている。しかし、これは彼女たちのせいではない。世間全体がそのように考えさせているのだ。2017年に女性メディアが彼女たちの真のニーズを理解し、変わるのを願うばかりだ。広告主にとっても、その変化によってブランドメッセージがより適切な形でコンテンツに表示され、かつ高いエンゲージメントがある環境に出稿することに繋がる。女性読者にとっても、正直で適切なコンテンツは、自分自身を認めてくれたと感じさせてくれるはずだし、自身を「負け組」や「はずれ組」と思わなくていいようになるはずだ。

Harleen Kahlon (原文 / 訳:中島未知代)
Image via Getty Images