重要度増す「広告運用チーム」、やりがいと困難に見る実情

デジタル化によって、広告運用業務(アドオペチーム)は広告ビジネスの要になった。しかし、この分野は依然として、多くの人々にとって、わかりにくい世界だ。

広告運用チームはいまでも広告トラフィックを追跡し、侵入してくるマルウェアやポップアップへの対策を行っている。だが彼らは、ヘッダー入札やカスタムメイドの動画を流すソリューションなど、新しい広告サービスの調査や実装にもますます関係してきた。

このように、新たな役割を担い、肩書きのプレゼンスが向上したにもかかわらず、広告運用のプロたちは、サイトで何か問題が起きるたびに、技術に疎い一部の顧客から相変わらず責められる立場にある。

広告運用サービス大手、アウトソースド・アド・オプス(Outsourced Ad Ops)のプレジデント兼創業者であるクレイグ・レシェン氏は、次のように語る。「以前は、広告運用は目的のための手段で、技術的な面だけを扱っていた。だが、業界が技術に走るようになってきた結果、広告運用チームが前面に出てくるようになった。広告運用チームを前面に出さなければならないのは、何が実現不可能で、目標達成のために何をしなければならないのかについて、彼らが説明することになるからだ」。

理解されない業務内容

従来、広告運用チームとは、新しい広告製品のA/Bテストなどを行ったり、広告データ呼び出しを監視して、Webページが正常に動いているのを確認したりするような裏方のアドテク担当者を指していた。だが現在は、その作業対象は拡大し、収益管理や製品実装、パフォーマンスを中心とするデータ分析といった、ほかの多くの業務も含まれるようになっている。

広告運用に携わる複数の情報筋は、広告業界とは無関係な知人には、どうやって生計を立てているのかわかってもらえないことが多いと語る。また、広告業界の者は、広告運用者の仕事内容について基本的なことは理解している傾向はあるとはいえ、認識が変化のスピードに追いついていないという。

広告運用関係者向けのブログ「アド・オプス・インサイダー(Ad Ops Insider)」の発行人ベン・ニーン氏は次のように語る。「よくわかっていない人たちは、広告運用のことを、ベルトコンベアー式でキャンペーン取引を扱うだけと見なすだろうが、広告運用はいまのところ、メディア内で確実にもっとも重要な役割のひとつだ。広告運用チームと日常的に一緒に働く人々は、チームを過小評価していないとは思うが、おそらく、チームがどれだけの仕事をしているのかについては理解していないだろう」。

メディア企業ソートカタログ(Thought Catalog)の広告運用担当ディレクター、クリスティナ・カルダリン氏も「広告運用チームは問題が起こったときに対応すると一般的に理解されているが、彼らが売上や利益率に果たす役割はそれほど広く理解されていない」と語る。

評価高まる広告運用チーム

いまは広告運用チームが調査や販売、新しいアドテク製品の開発・実装方法の戦略決定に関与しているので、広告運用が売上に与える影響はさらに目立つようになった。そう指摘するのは、「ワシントン・ポスト(The Washington Post)」の広告製品担当責任者ジャロッド・ディッカー氏だ。

たとえば、アドサーバ内でのプログラマティック広告の仕組みをパブリッシャーが把握するようになった結果、ヘッダー入札が広く導入されるようになった。だが、そうした理解は対話から生まれる。技術を駆使した効率向上に関する対話を左右するのは、えてして広告運用者だと、米デジタル広告コンサルタント企業614グループ(614 Group)のパブリッシャーサービス担当シニアディレクターを務めるシャロン・マクガバン氏はいう。

情報筋によると、広告運用チームは、その役割が増えてきたので、最近は評価が高まっているという。ディレクターやバイスプレジデントの肩書きを与えられたり、売り込みの電話に対応する広告運用者も増えている。

BuzzFeedの広告運用担当ディレクターであるリサ・チョウ氏は、「以前なら、広告運用者が売り込みの電話に関わることはなかった。売り込まれるのはクリエイティブやマーケティングの担当者だった」と述べる。

広告運用チームが抱える不満

評価は高まっているが、広告運用チームはまだ不満をいくつか抱えている。広告運用チームに腹を立てる人たちに対しては、もっと技術に明るくなって、問題が起きた理由を説明したときにちゃんと理解してほしいと願っている。また、キャンペーン中にKPIを変更しておいて、クライアントはいまだに、その新たなKPI達成を期待してくることに苛立ちを覚えている。

さらに、問題に関与しているサードパーティの技術ベンダーの数に関係なく、広告運用チームはすぐに問題を解決できると上司に期待されるのもストレスだ。そして、仕事に見合った正当な評価をされないことについても不満を抱えている。

「問題解決のため必死で働いているのに、栄誉はすべて営業やクリエイティブのものとなることに、広告運用チームから不満の声が上がっている」と、ある情報筋は語る。

情報筋によると、広告運用チームの人間は、分析的な思考タイプで物静かで内向的。一緒に働くマーケターほど社交的でない傾向が依然としてあるという。だがその一方で、広告運用者は自分の仕事を楽しんでいる様子で、解決しようとしている問題にのめり込むので、社交に当てる時間が少なくなっている、と強調する。

フリーのマーケティングコンサルタント、マット・ローゼンバーグ氏は次のように語った。「広告運用者は、解くのが難しいパズルを与えられるのが好きなんだ」。

Ross Benes(原文 / 訳:ガリレオ)
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