広告は皆から嫌われてる。いまや業界人でさえも…:失業中コピーライター(55歳)の告白

このコラムの著者、マーク・ダフィ(55)は、広告業界辛口ブログ「コピーランター(コピーをわめき散らす人)」の運営人。米BuzzFeedで広告批評コラムを担当していたが、2013年に解雇を通達された業界通コピーライター。趣味のホッケーは結構うまい。

◆ ◆ ◆

広告を嫌っているのは一般人全員とバンクシー(イギリスの覆面芸術家。ソニーやナイキなど大手企業の広告オファーを断ることで有名)だけではなくなった。いまや広告に携わる業界人も広告を嫌っている。自慢気に「オレはクリエイティブ」と繰り返す、クリエイティブさんたち(実際はやってることはクリエイティブでも何でもないんだが)ですら嫌ってる。年収1000万円を越える、彼らだって嫌っているんだ。はい、残念でした。

何で嫌ってるのか? プロダクトが史上最悪だからだ。もっとも悪い、文字通りの最悪状態だ。

エージェンシーやマーケターのアドバイザーであり人気スピーカー、そしてブログ「アド・コントラリアン(The Ad Contrarian)」のオーナーであるボブ・ホフマン氏の言葉を借りるとこうなる。業界の現状は「アマチュア集団がひねり出す劣悪なクソ、頭が悪すぎるアイデア、背筋が凍るような無意味な専門用語、見るも耐えられないゴミから構成された豚の朝飯」のような状態だ。

36%はやる気が落ちた

10月後半、業界情報サイト「キャンペーン(Campaign)」は、広告業界人の意識調査結果を発表した。それによると、2015年と比較して、業界人の「やる気」は36%も落ちたという。回答者のほぼ半分が彼らのやる気は「低い」もしくは「危険なほど低い」と回答している。(「危険なほど低い」ってのが一体どういう意味なのかってのは別の問題だ。やる気が低くすぎて人を殺してしまう危険があるということなのか。マジで、低さを示すのに「危険なほど」って何考えてたんだ?)

なぜやる気が低いのか、いくつかの回答を見てみよう。

「アメリカの広告業界はあり得ないほど人種差別的だ」。――黒人男性。メディア・エージェンシー勤務。年収5万〜10万ドル(約500万〜1000万円)。

「パートナーたちに人格障害があるとしか思えない」。(分かるよその気持ち)

「オーナーシップの無い、1回限りのプロダクトばかり。クリエイティブは物を実際に作ることが好きなのであって、物を作ることについて延々と語り続けることがやりたいわけではない」。――白人女性。クリエイティブ・エージェンシー勤務。年収10万1000ドル〜25万ドル(約1010万〜2500万円)。

「リーダーの立場に立っている人材に思いやりが完全に欠如している。おかしいとしか思えない。どうやったらこんな人間が育つんだろう?」。――白人女性。クリエイティブ・エージェンシー勤務。年収25万1000ドル〜50万ドル(約2510万〜5000万円)。

「精神を病ませる環境、エゴ中心のモチベーション、男性中心社会」。――白人女性。クリエイティブ・エージェンシー勤務。年収10万1000ドル〜25万ドル(約1010万〜2500万円)。

「年齢差別は人種や性別よりも一層激しい。本当に自動的に差別されてしまう」。――60歳フリー、ヒスパニック系男性。年収10万1000ドル〜25万ドル(約1010万〜2500万円)。

moralecamp

まだ「算数キャンプ」に出るほうがマシだろ…

年齢差別に関しては本当に共感できる。全世界で広告を嫌っていない人間は、きっとマーティン・ソレルのような金持ちのホールディング企業のCEOくらいだろう。

あとアドテクのエグゼクティブもだ。「データ」コレクションやら「メトリックス」が何やらなどと、ウソくさい役に立つかも証明されてない、馬糞みたいな売り言葉に、誰も彼もが騙されてしまってるから、ヤツらはじゃんじゃん儲けてやがる。

豚の朝飯の方がマシ

ビリー・メイズ(テレビ通販で知られたセールスマン)が生きてたら、まだ広告を好きだったかもしれない。関係ないけど、あの怒鳴り声でセールスをするってスタイルが懐かしいよ。

我々の傷ついた心を慰めるために、キャンペーンは#MoraleCamp(やる気キャンプ)のハッシュタグをTwitter上で流している。やる気キャンプって。オレは結構です。まだ豚の朝飯を突きつけられてるほうがマシだ。

ということで、頑張れ広告人たち!

【 マーク・ダフィ氏の連載<記事一覧>はこちら

Mark Duffy(原文 / 訳:塚本 紺)
Image via Thinkstock / Getty Images