「Apple News」広告の誤タップ防止機能を追加:広告を遠ざけるAppleの意図とは?

Appleとオンライン広告の戦いは続いている。

AppleのCEOティム・クック氏は、消費者に対するターゲット広告ビジネスに頼りすぎていると、Googleを非難したことがある。その後、同社はiOS9にてSafariブラウザを使用するユーザーが、簡単にモバイル広告をブロックできるようにした。

そして現在、Appleは新たなニュースアプリ「Apple News」にて、ユーザーが広告をタップすると、閲覧中のサイトを離脱する意志を確認する機能を追加。同アプリにコンテンツ配信をしている「ワシントン・ポスト」や「ザ・カット」などの画面に、以下のようなポップアップが表示されるようになった。同社の広告マーケティングの意図は、どこにあるのか。

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Apple Newsを離れる
この広告を閲覧することはApple Newsから離れることになります。
見ない 広告を見る

ユーザー体験の向上が目的か?

なお、このメッセージはすべての広告に出現してくるわけではないことをAppleから伝えられたと、あるパブリッシャーは話す。しかし、そもそもユーザーに広告をクリックさせること自体が難しいため、今回同社が実装を試みたこの機能は、広告主たちには歓迎されていない。

おそらくAppleは、広告の誤タップによって上昇してしまうモバイル広告のパフォーマンス率を正そうとしているのだろう。ある研究によると、静的バナーのクリック数のうち、38%は誤りによるものだという。これに関して、同社からの回答は得られていない。

「Apple News」のこの機能は、Appleの面白い立ち位置を表しているように見える。GoogleやTwitterに負けず、オーディエンスの注目を集めようと必死の同社。ユーザーがモバイルでコンテンツを消費する機会が圧倒的に増えているなか、モバイルでのエクスペリエンスをできる限り高速化し、サイト回遊をスムーズにしたいのだろう。その背景にはアドブロックの使用率の上昇がある。ユーザーは邪魔なオンライン広告にうんざりし、増え続けるサイトのロードタイムに不快感を得ているのだ。

Facebookには「Instant Articles」があり、パブリッシャーが直接プラットフォームに投稿することができる。そのおかげで、記事が迅速に読み込まれることが約束されているのだ。GoogleとTwitterも「Instant Articles」に似たプロジェクトを共同で進めているという。

Appleは、広告に興味が無い?

表向きでは、Appleは常に最適なユーザー体験を提供することを追求してきたといえる。そして、消費者が大好きなニュースを素早く1つの場所で取得できる手段として「Apple News」アプリを作成した。しかし、同社の主要ビジネスは、広告よりも商品を消費者へ提供することであるため、広告主たちに注目してもあまり利益にはつながらない。

ワシントン・ポストやVox Media、CNNなどのパブリッシャーは、新たな視聴者を獲得するためにも「Apple News」へは乗り気だ。記事内の広告枠を自ら販売すれば売上の100%を獲得でき、Appleが広告枠を販売したとしても売上の70%を得られるからである。

この「Apple News」の新機能は、モバイル広告のパフォーマンスを計測するうえで、クリック数の計測だけが重要ではないことを伝えているのかもしれない。

Lucia Moses(原文 / 訳:小嶋太一郎)
photo by Thinkstock / Getty Images