重い広告の「排除」に動きはじめたパブリッシャーたち:広告主へ毅然と物言い

雑誌の「ニューヨーク(New York)」が、広告のデータ消費量を削減しないかぎりビューアビリティ(可視性)を保証しないことを広告主に通達した。同誌に限らず、広告主に対する、このような取り組みが本格化している。

「一定時間内にロードされない広告を広告主が提供した場合、ビューアビリティについて話し合いをもつことはできない」と、クライアント広告ソリューション担当エグゼクティブ・ディレクターのロン・ストーク氏は語った。広告主がビューアビリティの保証を求める例は増えているが、同サイトでは今後、データ制限に従わない広告主に対してはビューアビリティが保証されない。

「我々も彼らを監査する」

同誌では、広告キャンペーンを展開する前に広告主と協力し、動画広告やリッチメディア広告がサイズに関する規定を満たすようにしている。たとえば、動画の場合は最大2MBで、これは音楽ストリーミングを2分間流したときのデータ量に相当する。

ストーク氏によれば、サイズの大きい広告をサイト上で表示できなければ、人々にその広告を見てもらうことも、ビューアビリティの保証を求めることもできないのだと、広告主に率直に伝えているという。

このような対策に乗り出しているのは同誌だけではない。あるパブリッシャーの幹部が匿名を条件に語ったところによれば、多くのパブリッシャーが第三者の監視サービスを利用して、広告のサイズを把握しようとしているという。「広告が決められた仕様を満たさないなら、保証はなしだ。彼らが我々を監査するように、我々も彼らを監査する」とこの幹部は語った。

広告主はこのような義務を果たすことに慣れていないだろう。彼らがふだんやっていることは、パブリッシャーを監視し、トラフィックやその他の測定データの有効性を確認することだからだ。

読み込みを平均で2倍遅くする

だが、パブリッシャーの間では、広告データのサイズ拡大に対する懸念が強まっている。広告のファイルサイズは、アドブロッカーをインストールする人が増える要因のひとつと考えられているからだ。こうした広告はページの読み込み速度を遅くするうえ、トラッカーを利用するためにページをさらに重くする。また、プライバシーに対する懸念を高めることにもなる。

シークレット・メディア(Secret Media)が5月20日(米国時間)に発表したデータによると、広告はページの読み込みにかかる時間を平均で2倍にし、データ利用量の半分を占めているという。この調査を実施したシークレット・メディアは、アドブロック対策をパブリッシャーとともに行っている企業だ。

「ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)」「ハフィントン・ポスト(The Huffington Post)」「ワシントン・ポスト(The Washington Post)」など、大手25社のWebサイトを対象とした、この調査によれば、Webページの画面に占める広告の割合は平均で最大9%だったが、広告は帯域幅の55%を使用し、読み込み時間の54%を占めていたという。

もっとも極端な例では、広告がない場合に比べて、広告があるページはWebサイトの読み込み時間を5倍遅くしていた。その広告が利用する帯域幅は、広告がない場合の6倍以上になることもあったという。

リアルタイムに確認はできない

「1つの広告に10個のトラッキングピクセルを埋め込み、ファイルサイズを標準的な広告の2倍にしながら、100%のビューアビリティを期待することなどできない。それは矛盾した話だ」と、業界団体デジタル・コンテント・ネクスト(Digital Content Next)でCEO(最高経営責任者)を務めるジェイソン・キント氏は言う。

問題は、パブリッシャーがそのために何ができるのかということだ。シークレット・メディアは、クラリティ・アド(ClarityAd)と共同で、問題の多い広告を検出できる技術の開発に取り組んでいるが、検出が可能になるのはその広告が配信された後のことだと、シークレット・メディアのCEO、フレデリック・モンタニョン氏は説明する。

同氏は、「パブリッシャーにとっては残念なことだが、すべての広告配信をリアルタイムで確認することはできない。つまり、問題のある広告を見つけられるのは、その広告が配信された後のことになる。我々はいま、この問題に取り組んでいるところだ」と語った。

Garett Sloane(原文 / 訳:ガリレオ)
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