「出版社は傲慢な面が多く、デジタルシフトの速度が遅い」:ある雑誌編集者の告白

レガシーなメディア企業は現代化を急いでいるが、ややもすると過去にとらわれ、デジタルシフトを行うためのリソースもない。

業界人に匿名で本音を語ってもらう「告白」シリーズ。今回は、「組織的な傲慢」が雑誌の足かせになっていると嘆く、編集者に話を聞いた。

わかりやすくするために会話は少し編集している。

――最近の雰囲気はどうなっている?

良くない雰囲気だ。恐怖と不満が入り交じっている。ある日突然に終わりが来て、毎日いい仕事をしていても、3階上のフロアにいる誰かが、自分の担当する出版物を売却する決断を下すのではないかと恐れている。

経営陣は、自分たちが何をしているのか理解していないと思う。多くの点で出遅れている。我々はSnapchatにかなり投資しているが、私が担当する主要なオーディエンスは、ほぼ全員がインスタグラムに乗り換えた。このとおり、すでにテクノロジーの面で遅れ、2年前にすでにピークを迎えた企業に投資している。いまごろピカピカの新しいオモチャ扱いをして、誰もが話題にしたがっている。

――チャンスを逃すことへの恐怖と、その背後に真の戦略があることへの恐怖は、どれくらいの割合で持っている?

チャンスを逃すことへの恐怖しかない。真の戦略なんてないと思う。編集者は、立派なカンファレンスに行ってテクノロジーに夢中になり、自社がテック企業だと考える。だが、実際はそうではない。

――会社は、BuzzFeedやマイク(Mic)など、比較的新参のクールなデジタルパブリッシャーをどう見ているのか?

過去に縛られて、そうしたパブリッシャーの一部と同じようなことができないので、少しばかり首を振っている。BuzzFeedなら「今日黄色の服を着た25の理由」という記事が書ける。我々がそんな記事を公開したら、皆にボロクソに言われるだろう。少し苛立たしい。

我々の場合、成功する記事のスタイルは、掘り下げたジャーナリストらしい記事と、短いバイラル記事のふた通りある。その中間の記事、900ワードの記事だとうまくいかない。BuzzFeedは、リスティクルで稼いでジャーナリズムの体裁を保っている。我々は、バイラル記事で稼いでジャーナリズムの体裁を保っている。ライターのなかには、そのことに困惑している者もいる。

――会社の過去の実績がどんな風に足かせになっているのか?

そういったライターと同じく、状況が変わったことに気づこうとしない人が大勢いる。注目が持続する時間は短くなっている。組織立って傲慢な面が多々あるので、ここでは移行のスピードが遅い。米国各地にいるライターは、書いた記事がTwitterでどう扱われているのかを見て、自分がいい仕事をしたと勘違いする。だが、我々の読者は、デトロイトやヒューストンにいるのであって、Twitterにいるのではない。

――そういった傲慢さは、ほかにどういう形で表れているのか?

雑誌とウェブとで大きなギャップがある。ウェブ向けには記事を書かない者がいる。そうさせられているからではなく、その価値を理解していないからだ。両者のオーディエンスはまったく異なるものだ。雑誌の担当者のほうが、リソースを多く手にできる傾向がある。移行が進んでおらず、競争によって死にかけている。

――だが、どの従来型メディア企業も動画を採用しつつある。

ここでは、動画が金になることを誰もが知っている。問題は、オーディエンスが求めるものと、広告主が求めるものが大きく食い違っていることだ。広告主はプレロール広告や自動再生を求め、オーディエンスはそういうものを嫌う。動画チームはそのことを理解しているが、予算がない。ソーシャルの担当者は3人で、自動再生を採用している。無関係な動画であってもコンテンツの冒頭に動画を入れるよう言われている。

ときどき、私はそうすることを拒んで、編集者が気付かないように願っている。このモデルは破綻したと、ずっと耳にしているので、何が起きようとしているのかわからない。だが、自動再生にしなければならないのなら、我々は金を稼ごうと必死になっているのだろう。それが何より大事なことだからだ。ユーザー体験のことなど、誰も考えていない。

Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)