ソーシャル動画「専用スタジオ」で制作体制の効率化:雑誌『メンズ・ヘルス』の考え方

健康とフィットネス専門のパブリッシャーであるロデール(Rodale)の雑誌『メンズ・ヘルス(Men’s Health)』は、高額な動画制作費の削減に努めている。そこで6月、ニューヨークにあるオフィスの一室をソーシャル動画スタジオに定め、革張りのソファやダンベル、エアホッケー台を用意した。

メンズ・ヘルスはすでに、月1回公開のドキュメンタリー風動画を含むロングフォーム(長尺)動画を制作している姉妹誌『ウイメンズ・ヘルス(Women’s Health)』と動画担当部員を共有し、ロデールの本社があるペンシルベニア州エメーアスに拠点を置いている。それでも、ニューヨークにソーシャル動画スタジオ「MHレック・ルーム(MH Rec Room)」を設けたのは、オフィス空間と近隣の有能な人材を利用して、ソーシャルメディアのオーディエンス向けに大量の動画を配信するのが目的だ。

男性向けライフスタイル雑誌のメンズ・ヘルスは、6月12日からこうした動画を78本制作し、インスタグラム、Facebook、Twitter、そして自社サイトに投稿してきた。メンズ・ヘルスによると、こうした動画だけで、Facebookで640万回視聴され、2560万人にリーチしたという。これは、メンズ・ヘルスがロングフォーム動画で達成しつつあった視聴回数を上回っている。なお、そうしたロングフォーム動画は月平均85本公開されている。動画アナリティクス企業のチューブラー・ラボ(Tubular Labs)によると、4~6分間の動画が一般的で、1月以降のFacebookでの視聴回数は計2億8600万回だという。

「ワンマンバンドのようなもの」

MHレック・ルームはワークフローを徹底的に簡略化しつつある、とメンズ・ヘルスの編集長マット・ビーン氏は語る。通りにあるバーで動画を撮影すると、3人の部員が高価なカメラと照明を使って半日がかりの仕事になりかねない。だが、メンズ・ヘルスのブランドエディターを務めるディーン・スタットマン氏は、すでに照明が用意されたスタジオで、価格が649ドル以上の「iPad Pro」を使ってソーシャル動画を撮影し、ほかのスタッフが人材集めを支援する。インテリアは、ポッタリーバーン(Pottery Barn)とマトリックス(Matrix)から提供されている。

「ワンマンバンドのようなものだ」とビーン氏は語る。「自らスイッチを入れ、撮影する」。

これまでのところ、動画の大半は、スポーツブランドのナイキ(Nike)のカースティ・ゴッドソウ氏を起用した動画や、フィットネスプログラム「クロスフィット(CrossFit)」のアスリート、スペンサー・ヘンデル氏を起用した動画など、フィットネスと話題のインストラクターやアスリートを軸にしている。思い描く筋書きは、ほとんどスクリーンテストのような即席のソーシャル動画を利用して、人気上昇中のスターを見極め、オーディエンスからの支持を実証できたら、メンズ・ヘルスのロングフォーム動画や書籍にも起用するというもの。今後の動画では、料理やスタイル、有名人に焦点を当てる予定だ。

「成功が証明されたモデル」

マネタイズについてはまだ疑問だ。パブリッシャーは、プラットフォームで配信する動画のマネタイズをFacebookが支援しくれるのをイライラしながら待ってきた。Facebookはパブリッシャーによるマネタイズの支援に着手し、パブリッシャーの動画に短いミッドロール広告を挿入している。だが、メンズ・ヘルスの多くのソーシャル動画は、Facebookがミッドロール広告を挿入する動画の最低再生時間90秒に満たない。

ビーン氏の関心はこれまで以上に、広告主にスタジオのスポンサーになってもらうことに向かっている。というのも、2015年にローンチを支援したタイム社(Time Inc.)の自動車関連バーティカル「The Drive」で実証済みのモデルであり、制作価値が向上した動画で売上に貢献できるからだ。

「これは放送のモデルだ」と、ビーン氏は語る。「成功が証明されたモデルであり、うまくいくとわかっている」。

Lucia Moses (原文 / 訳:ガリレオ)
Image: Men’s Health via Facebook