コメント活性化のために「Medium」上でメディア運営 〜ブログメディア「The Awl」の決断

あまりメジャーではないが、機能を削ぎ落としたシンプルなブログ「Medium(ミディアム)」は、ユーザーに寄り添ったプラットフォームとして知られている。

ニュースや奇抜なアイデア、サイエンス系の記事を取り上げているブログメディア「The Awl(オウル)」は2015年12月、個人資産管理に関する姉妹サイト「Billfold(ビルフォルド)」をそっくりそのまま「Medium」に移管した

サイトのURLやスタッフ、編集方針に変更はない。だが、「TheBillfold.com」へのトラフィックは、すべて「Medium」上のサイトへリダイレクトされるようになっている。

目的はコメントの活性化

これは、ローンチからまだ3年しか経っていない「Medium」にとって大きな出来事だった。インターネット調査会社コムスコア(comScore)によると、「Medium」のユニークビジター数は、月間45万人。「The Awl」発行人のマイケル・マッチャー氏は、今回の施策について、ユーザーとの積極的なコミュニケーションをさらに深めるためと話す。

「今回の決定の大きなポイントは、ユーザーとアクティブに対話できる場をもつことで、コンテンツに対する反応やコメントを『The Awl』の編集部にまで届けることが目的だ。すべての記事がユーザーに何らかの影響をもたらし、コメント欄をアクティブにできるポテンシャルがある」とマッチャー氏はいう。

「Medium」の1年を締めくくる出来事

今回の「Billfold」の発表は、プラットフォームとしての「Medium」の1年を締めくくるものとなった。

この1年、FacebookやSnapchat(スナップチャット)、Appleがそろって、パブリッシャーのコンテンツ獲得と配信に名乗りを上げてきた。大手のプラットフォームはどこも、自分の庭にユーザーを留めておくため、コンテンツをより多く掲載したいと懸命になっている。

パブリッシャーたちもまた、より多くの読者をコンテンツに惹きつけることに注力しており、大手プラットフォームと手を組みたがっていた。

「The Awl」の思い描く算段とは

ビジネスの観点から考えると、この事態はかなり曖昧になるのは否めないかもしれない。「Medium」自体は、マリオットやインテル、ロレックスのようなブランドとコンテンツパートナー契約を結んでいる

しかし、同プラットフォームに移行する「Billfold」やほかのパブリッシャーは、このようなコンテンツパートナー契約によってどのようなメリットを生みだせるのかは不透明である。

「The Awl」のマッチャー氏は、最前線では「やらなければいけないことが山ほどある」と認識。同氏は、「Medium」だけでなく「The Awl」もコンテンツ契約のためのブランドを見つける努力をしなくてはならないと語る。そのうえで「我々は、バナー広告一辺倒のやり方から、より人目を惹くカスタムメイドのコンテンツへと移行しつつある」と話した。

「Medium」が狙っている地点

「Medium」側にもはっきりしない部分はある。同プラットフォームの経営企画・戦略部門を率いるエドワード・リッチー氏は、 「Billfold」の収益化プランについて「詳細を話すのはまだ早すぎる」とコメント。しかし、既存のコンテンツ契約を見れば、「Medium」が各パブリッシャーと、どのように仕事を進めていくつもりかわかるだろうと話す。

「何をするにしても、独創的でありたいと思っている。ただ、何をするにせよ、我々が優先しているのは、ユーザーエクスペリエンスを維持すること。ページあたり50もあるトラッキングピクセルを捨て、画面を下にスクロールしないと見えない部分にディスプレイ広告を出すなどということはあり得ない。我々の目指すものではないからだ」とリッチー氏は語った。

Ricardo Bilton(原文 / 訳:ガリレオ)
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