いよいよ「Medium」上でのメディア運営が本格化:「The Awl」をはじめ大手も移籍

ブログプラットフォームの「Medium(ミディアム)」が、スタンドアロンのサイトを止めてMedium上に開設するよう、小規模パブリッシャーを説得している。Twitterの共同創業者であるエバン・ウィリアムズ氏が創設した3年目のMediumは、新たなパブリッシャーを数社ホスティングするとともに、それ以外のパブリッシャーについても、独占コンテンツの公開を開始すると発表した。

去る4月5日には、8つの小さな独立系サイトがMediumへの移転を完了。その内訳は、個人資産管理に関するサイト「ビルフォルド(The Billfold)」(2015年12月にMediumに移転済み)の姉妹サイトであるブログメディアの「オウル(The Awl)」と「ヘアピン(The Hairpin)」のほか、「パシフィック・スタンダード(Pacific Standard)」「ブラック・リスト(The Black List)」「フェムスプレイン(Femsplain)などだ。そのほか、ジョン・バッテル氏の「ニューコ(NewCo)」の新しいビジネスメディアブランド「ニューコ・シフト(NewCo Shift)」や「マンデー・ノート(Monday Note)」など、4つのサイトも準備を進めている。

Mediumはまた、同プラットフォーム上でオリジナルコンテンツの公開を開始するサイトとして、タイム社(Time Inc.)の「マネー(Money)」 と「フォーチュン(Fortune)」、アトランティック・メディア(Atlantic Media)の「ナショナル・ジャーナル(National Journal)」などいくつかのサイトを挙げている。さらに、Mediumへの移転、ブランディングの継続、読者が毎月Mediumを通じて支払う会費による収益化などを簡易にするなど、パブリッシャーの参加のハードルを下げる、新たな奨励策も発表した。

また、ブランデッドコンテンツが「プロモーテッドストーリー(Promoted story)」という新しい広告ユニットの形で、記事の最後に表示される。読者がこれをクリックすると、Medium上にあるそのブランドの「ストーリー(story)」に移動する。Mediumによると、この機能に参加するパブリッシャーは、売上の過半数を受け取るという。ネスト(Nest)、ソフィ(SoFi)、ボーズ(Bose)、インテル(Intel)、ボルピフーズ(Volpi Foods)の5社が、新たに広告パートナーに加わったと発表している。

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銀行取引に起きるもっとも素晴らしいことは、決して銀行そのものではない
ダン・マクリング氏「お金の未来」

Mediumの新しいブランデッドコンテンツの広告ユニットの一例

媒体社へのソリューション

このニュースに至る動きを見てみると、Mediumは2015年末、独自のデジタルパブリケーション路線をやめビル・シモンズ氏の新しいスポーツベンチャーである「リンガー(The Ringer)」など、他社にプラットフォームを提供することに注力するとの決定を下した。さらに先ごろ、長文記事で有名なサイト「マター(Matter)」をスピンオフさせ、クリエイターを支援する、まったく新しい会社にするとも発表している。

Mediumの経営企画および戦略の責任者であるエドワード・リッチー氏は、「テクノロジーが大きな悩みの種になり、ブログやウェブサイトの運営が非常に難しくなっているということを議論してきた。もっと簡単にサイトを構築できる方法が求められている。今回発表した内容はすべて、移転を望むパブリッシャーにとっても、『リンガー』のような新しいサイトにとっても、魅力的なものになると思う」と述べた。

Mediumで展開するメリット

巨大プラットフォームの台頭により、パブリッシャーはオーディエンスへのリーチを得た一方で、コンテンツの配信とマネタイズについては、コントロールできる部分が制限されてきた。Mediumに移転するパブリッシャーによると、同プラットフォームにはFacebookなどにはないメリットがあるという。

ニューコ(NewCo)の創業者ジョン・バッテル氏は、Facebookと違ってMediumのDNAのコアにはライターとオーディエンスがあるという。「Mediumは、文章を読み、関与する素晴らしい場所を作り出すために存在する。そして、そうした活動をネットワークがサポートしてくれる。ほかのプラットフォームは友人関係を築くものだ。つまり、感情に関わる話題を扱うコミュニティが中心となる。明らかにFacebookなどはそれをプラットフォームに組み込んでいるのだが、私はパブリッシャーとして、そうしたところを拠点にする気にはあまりならない」と語る。

「オウル・ネットワーク(The Awl Network)」のパブリッシャーであるマイケル・マッチャー氏は、長文のコンテンツに対して、クロスプロモーションとスマートコメントによるアプローチというメリットを享受できる素晴らしい方法を、Mediumでは提供していると話す。

マッチャー氏は、「Mediumは、現在の我々の状況にかなった素晴らしい一連のサービスを提供している。そこから新たに得られるネットワーク効果は極めて有益だ。Medium上にあることで、このプロセスがさらに効率的になる。また、美的観点から、Mediumは素晴らしい居場所だ」と、述べた。

今後の課題はマネタイズ

ただ、先行きが読めないのは、Mediumはパブリッシャーが独自にやるよりも広告をうまく販売できるかどうかだ。また、Mediumはブランデッドコンテンツを通してマネタイズするので、理論的には、バナー広告やプログラマティック広告に大きく依存しているパブリッシャーには適さない。それもあって、オウル・ネットワークのユーモアサイトである「スプリットサイダー(Splitsider)」は移転しない。また、Mediumは公開用のツールがまだ限られている。

バテル氏は次のように述べている。「独自ドメインを使うためのドメインマッピングはどうしても欲しかったツールだ。しかし、それと同じくらい重要なのは、外部のWebページにシームレスにリンクできる機能だ。うちはイベントとお祭りのビジネスがあるので、それらにリンクできるのが望ましい。それにレイアウトのオプションももう少し欲しい。ただ最初のセットの公開時(4月5日)には、今よりもしっかりしたものになるだろう」。

Lucia Moses (原文 / 訳:ガリレオ)
Images courtesy of Medium.