「ターゲットを絞って、オーディエンスを500%成長させた」:好調に転じたマッシャブルのCEO

新興デジタルメディア企業マッシャブル(Mashable)のCEO、ピート・キャッシュモア氏は、ストリーミングプラットフォームやソーシャルプラットフォームで視聴される動画番組こそ未来だと考える。

コロラド州のベイルで開催された「DIGIDAY PUBLISHING SUMMIT」の講演で、キャッシュモア氏は「番組の制作はマッシャブルにとって、とりわけ成長スピードが速い収益源だ」と語った。同社はこの1年間、「ブラボー(Bravo)」「ナショナルジオグラフィック(National Geographic)」、ベライゾン(Verizon)の「ゴー90(Go90)」などのメディアパートナー向けに短い番組を制作してきた。FacebookやSnapchat(スナップチャット)はテレビ風の動画シリーズについて模索しており、マッシャブルもこの分野に力を入れる計画だ。

「大手メディアがデジタル分野に参入する際の投資であれ、デジタル専業の新興企業であれ、めざす未来は同じ。それは、スマートフォンで視聴できる有料番組だ」と、キャッシュモア氏は話した。

以下は、キャッシュモア氏の講演の抜粋を、わかりやすいように少し編集したものだ。

コスト度外視の規模拡大は、もはや正しい戦略ではない

「長年に渡る市場での動機付けは、『規模が大きいほど、販売できる広告が増えて、よい結果を生む』というものだった。だが、状況は大きく変わった。第一に、コンテンツが大幅に増え、消費者の選択肢も広がった。第二に、控えめにいっても、ディスプレイ広告は、市場のあちこちで問題を起こしている。市場が変化したので、メディアの規模が大きいことは、いまやターゲットを絞ってリーチすること以上の見返りが得られなくなった」。

テックやカルチャー、エンタメに注力するマッシャブルの判断は奏功しつつある

「我々は、規模のために規模を求めているのではない。1月と2月は当社の過去最高を記録し、配信先プラットフォームの合計で動画の月間視聴回数が20億回となっている。扱う分野をある程度絞ると明言することによって、オーディエンスを500%成長させてきた。この結果は意外だった。というのも、当初の予想は、ターゲットを絞り直すことで、オーディエンスの数は同じでもエンゲージメントを向上させ、価値を高めるというものからだ。だが、結果的にターゲットの絞り直しは、サイトの訪問者を増やす効果もあった。気に入ったオーディエンスが、口コミで広めてくれるようになったからだ」。

Snapchatを見限るのはまだ早い

「マッシャブルは、Snapchatでトップクラスのチャンネルだ。そのラインナップは、いずれも上質な40のメディアブランドで構成され、いわばケーブルテレビの未来形だ。Snapchatは、我々が配信する各プラットフォームのなかでも最大の収益源となっている。マッシャブルにはSnapchatの専任スタッフが12人いるが、動画制作チームからも人手を借りている。ほかではリーチできない非常に多くのオーディエンスがいるため、効果が非常に高い。そういうわけで、マッシャブルの画像を使った『ディスカバー(Discover)』の表紙がSnapchatに公開され、おかげで若年層にも我々のブランドを知ってもらえるのだ。こうしたことは、ほかのプラットフォームでは難しい場合もある」。

近年冷え込んでいたデジタルメディア市場が再び過熱

「世界各国で展開するBuzzFeedには、うまくやってもらいたい。BuzzFeedが問題のある記事を掲載すると、デジタルメディアの信頼性が下がり、皆に影響するからだ。我々はいま、2015年頃の低調期を脱しつつある。当時は、先行きが不透明で、ベンチャーキャピタル市場の投資家たちさえも冷めていた感じだった。だが、マッシャブルはますます好調で、売上は前年比36%増となっている」。

プラットフォームは味方になる

「プラットフォームはすべて、協業先として良い相手だが、超多忙だ。担当者となかなか連絡が取れなくても、悪意からではない。認識すべきは、プラットフォームが素晴らしい事業を築こうと躍起になっているということ。それが、自社のニーズと交わる場合もあれば、交わらない場合もある。プラットフォームはいま、上質なコンテンツを必要としている。我々は、その上質なコンテンツを提供するためにこの場にいる。そして、より優れたものを読者に提供するために協業している」。

Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)