45%のユーザーが上級職、パブリッシャー化するLinkedIn:加速を強めるSNSの第三勢力

この記事は、メディア業界に一目置かれる、海外メディア情報専門ブログ「メディアの輪郭」の著者で、講談社「現代ビジネス」の編集者でもある佐藤慶一さんによる寄稿です。

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世界最大級のプロフェッショナルのネットワーキングサービスであるLinkedin(リンクトイン)。日本では就職・転職専門のSNSといったイメージが先行していますが、プロフェッショナルたちがつながる場所として、コンテンツやメディアという点からも注目です。

統計ポータル「スタティスタ(Statista)」によれば、Linkedinのユーザー数は3.96億人となっています。インスタグラムが2015年9月に4億人を突破しているので、ほぼ同等の規模感といえそうです。

世界中のプロがオピニオン発信

そんなLinkedinがメディアとしての姿を見せはじめたのが2012年秋のこと。各分野のインフルエンサーたちが長文(ロングフォーム)を投稿する「インフルエンサープログラム(Influencer Program)」を開始したのです。

たとえば、海外ではリチャード・ブランソン氏(ヴァージン・グループ創業者)、バラク・オバマ氏(米国大統領)、デイビッド・キャメロン氏(英国首相)、日本人では三木谷浩史氏(楽天 代表取締役会長兼社長)、伊藤穰一氏(MITメディアラボ所長)、堀義人氏(グロービス代表)らが参加者しています(日本人の方も英語で発信)。

その後、2014年2月にはこのプログラムが一般開放され、英語圏では誰でも利用できるようになっています。日本からでも前からテキストやリンク投稿など短い情報発信は可能ですが、今後、長文でも発信できるようになり、世界中のプロフェッショナルと意見交換できるような状況になるのかもしれません。TwitterやFacebookではわざわざ長文投稿を読んで、意見交換する場としては機能していませんから、この点はLinkedinの強みでしょう。

3つの買収でミッションを加速

先述の長文プログラムを筆頭に、Linkedinはコンテンツやメディアに関していろんな手を打っています。たとえば、2012年にはスライド共有サービスのSlideshare(スライドシェア)を買収。プレゼン資料をはじめ、ビジネスコンテンツの宝庫であり、つながりも生まれる同サービスとの親和性は高いといえるでしょう。

2013年にはニュースアグリゲーターのパルス(Pulse)を買収し、ニュースアプリ「Linkedin Pulse」として再リリースしています。Linkedinのユーザー情報をもとにパーソナライズをするなど、媒体社もビジネスに寄っているので、ビジネスパーソンにとっては使い勝手のいいものだと思います。

2015年に入ってからは、創業20年にもなるオンライン学習サービス、「リンダドットコム(Lynda.com)」を買収。就職・転職活動をする人に役立つコースがあり、スキルを身につける場所を提供しています。さらに「フォーブス」の報道によると、同サービスは「月間アクティブユーザー数は約7000万人」「スライドや動画が約1800万件登録」「トラフィックの80%以上は検索経由」などのデータも公表しており、これからの伸びやリンクトイン(Linkedin)とのシナジーにも期待したいです。

ちなみに、Linkedinのミッションは、「世界中のプロフェッショナルの生産性を高め、より成功するよう、つないでいく」こと。この3つの買収事例をみても、ミッションと深くリンクしていることがわかります。

100万人が投稿するメディアに

Linkedinはプロフェッショナルによる投稿だけでなく、媒体社もアカウントをもち情報発信をしています。2015年7月には100万人が投稿したと発表しました。100万人のビジネスパーソンが寄稿するメディアと考えると、そのすごさが実感できるかと思います。この時点で毎週13万本の投稿があり、読者のうち45%が上層クラス(主にマネージャーや副社長など)だとしています。

このときから半年ほど経っているので、投稿者はさらに増えているでしょう。良質なユーザーによる、良質な(英語での)投稿が読めるメディアとして、ブログプラットフォームのミディアム(Medium)ともポジションが少し似ています。それでもビジネスに特化し、ニュースやスライド、学習など多様なメニューを包括するメディアサービスと考えると、Linkedinの展開にも目を向けたくなるものです。

Written by 佐藤慶一
Image courtesy of WIKIMEDIA COMMONS