仏紙「フィガロ」、仏大統領選に向け「ライブ配信」倍増へ

フランスの全国紙「フィガロ(Le Figaro)」は、毎日8時間分の動画を制作。フランス大統領選挙に向けて、4月と5月にライブ配信を倍増させる計画だ。

しかし、「我々はテレビのニュースチャンネルを目指しているわけではない」と、フィガロのデジタル責任者ベルトラン・ギエ氏は語る。「CNNやBBCなど、オンライン動画で成功している良質なテレビニュースチャンネルはたくさん存在し、それをめざすだけのリソースはない。なのでむしろ、我々はデジタル精神をもち続けたい。それはいま起こっていることを視聴者に伝えることだ」。

そのため、同社は第2、第3のスタジオを追加で設置している。そのうちのひとつは、ニュース編集室内に設置され、記者たちはホットなニュースをすぐにライブ配信できるようになるという。去年の10月以降、政治的に右寄りの同日刊紙は、30人の動画チームで「フィガロTV(Le Figaro TV)」およびソーシャルネットワークを経由して、約60時間のライブ動画配信を実施。現在、1日に100本の動画を放送し、うち20本はオリジナル、残りはサードパーティーの代理店から使用権を得たものだ。

購読者を獲得するため

突き詰めていくと、このライブ配信の取り組みの目標は、購読者になってもらうことへの期待をこめて視聴者とのエンゲージメントを深めることにある。現在、同紙の購読者はフィガロ社の収益の15%を生み出している。

現在、動画を含め、フィガロのwebサイト上で非購読者が利用できるコンテンツには制限が設けられている。月額8.90ユーロ(約1000円)のデジタルサブスクリプションを申し込むと、同社サイト上で、広告表示なしにすべてのプリント版、オンライン版のコンテンツへのアクセスが可能になる。フィガロの報告によると、オンライン購読者は約6万人。フランスの報道監査機関によれば、同紙のプリント版の発行部数は31万3000部だ。

購読による収益を追求することは重要だ。というのも、一般的にライブ動画の収益化はパブリッシャーにとってひとつの課題となっているからだ。フィガロのライブ配信は、通常の動画として視聴可能であり、それらの動画に対して広告枠を販売している。また、特定のライブ番組のスポンサー権も販売。同社がFacebookによるライブ動画制作についての資金的な支援を受けている企業のひとつかどうかについて、ギエ氏はコメントすることはないだろう。今後数カ月で、購読者専用のライブ配信番組も提供する予定だ。

ユーザーの声に耳を傾ける

ライブ報道の要はインタビューだ。比較的低コストで、フィガロ紙は政治家に接しやすい立場にある。「トーク(LeTalk)」は、毎日更新されるフィガロのジャーナリスト、イブ・セレアール氏と政治家との20分間のインタビュー番組で、毎回約2万の視聴回数を得ている。 またライブイベントは、ストリーミングに適した素材であり、トランプ大統領就任式の配信では、合計100万人、常時4万人の視聴者を獲得、1万5000の議論を生み出した。

政治以外にも、フィガロは音楽パフォーマンス、ファッション、スポーツなどのコンテンツをライブ配信している。特に成功したのは、世界を1周するヨットレース、「ヴァンデ・グローブ(Vendée Globe)」の動画で、こちらのヨットマン、キト・デ・パバン氏のインタビューは、3万回の視聴回数を獲得した。いまのところ、視聴者はFacebookを介してのみライブ配信動画へのコメントが可能だが、4月には自社の動画プレーヤーにコメント機能を追加する計画をしており、そのサイトに直接コメントできるようになる。

「我々がやろうとしているのは、オーディエンスを番組に巻き込み、コメントや質問をしてもらったり、投票に参加してもらったり、スカイプで話をするということだ。それが上手くいくようになる秘訣は、ただ彼らの声に耳を傾けることだ」と、ギエ氏はいう。

Lucinda Southern(原文 / 訳:Conyac)
Images: courtesy of Le Figaro via Facebook.