パブリッシャーで需要増す、インフルエンサーマネージャー:その仕事の中身とは?

マーケターがインフルエンサーマーケティングを採用するようになるにつれ、ソーシャル界のスターの力を借りてエディトリアルブランドを構築しようとするパブリッシャーが増えつつある。その結果、広告エージェンシーにいることが多いインフルエンサーマネージャーの役割が、メディア企業でも重要性を増している。

インフルエンサーマネージャーの責任は組織によってさまざまだ。単にインフルエンサーのアウトリーチを管理するだけのこともあれば、ブランドとの関係を概念化し、インフルエンサー全員の発言をモニタリング・追跡することもある。たとえば、スリリスト(Thrillist)やナウ・ディス(NowThis)の親会社であるグループ・ナイン・メディア(Group Nine Media)は、キャンペーン管理やメディアプランニングの経験を持ち、インフルエンサー管理を業務の一部にできるシニアプロジェクトマネージャーを探している求人求職サイト「グラスドア」によると、ニューヨークで働くインフルエンサーマネージャーの年収は4万ドル(約450万円:ジュニアポジション)~15万ドル(約1600万円:シニアポジション)だという。

タイム社の場合

「私はインフルエンサーと親密な関係にあり、彼らのビジネスもよく理解しているので、『コネクト(Connect)』のインフルエンサーマネージャーの仕事に就くのも自然なことだった」と語るブリタニー・バーク氏は、タイム社(Time Inc.)初のインフルエンサーネットワーク「コネクト」でソーシャル界のスター100人を管理している。「いま、私はタイム社というブランド全体でインフルエンサーを活用するための最善の方法を概念化し、当社が提供すべきものをインフルエンサーが理解する手助けをしている。インフルエンサーたちは、マーケティングキャンペーンのオファーや、編集者からのオファーを絶えず受けている。タイム社には30の異なるブランドがあり、編集者がたくさんの異なるプロジェクトでインフルエンサーに協力を求めるとき、それはとてつもなく大変な作業だ」。

編集に携わった経験を持つバーク氏は、タイム社の編集者が作り上げようとしているブランドをよく理解しており、100万人のフォロワーがいるというだけの理由で何の考えもなくブロガーに連絡を取ったりはしない。たとえば、「スタイルウォッチ(StyleWatch)」の読者は、あちこちに少しだけ贅沢品を使って、手頃な価格で自分に手の届くおしゃれスタイルを求めている。だからバーク氏は、低価格品を身につけない高級ファッションブロガーにはアプローチしないのだそうだ。

バーク氏は次のように述べている。「私の仕事は、編集者とインフルエンサーのあいだに仕事上の良好な関係を作り、マーケティングプログラムのために呼ばれたとき、インフルエンサーが我々の考えや意見、ブランドを完全に理解しているようにしておくことだ。だが、マーケティングサイドの作業は、我々の広告チーム内の独立した中央集権型のグループを通じて、生じている」。

ドミノの場合

生活雑貨やデザインをテーマにしたパブリッシャー「ドミノ(Domino)」も最近になってインフルエンサーマネージャーの役割に着目しはじめた。ドミノは4月7日(米国時間)、初のインフルエンサーネットワークを導入。このネットワークでは、「デザインスポンジ(Design Sponge)」「ビューティーメス(A Beautify Mess)」「エブリーガール(The Every Girl)」「デーリングホール(Dering Hall)」という生活雑貨やデザインを扱う4つのブログのコンテンツ制作者たちと協力し、イリーカフェ(illy Caffe)のようなブランド向けにインフルエンサーキャンペーンを展開する。ドミノの最高経営責任者(CEO)であるネイサン・コイル氏によると、ドミノはこれら4つのサイトでディスプレイ広告インベントリー(在庫)を直接販売する唯一の立場にもあり、それぞれのサイトには100万人以上の月間ユニークビジターがいるという。

コイル氏がドミノにやって来たのは2016年6月だ。コイル氏は以前、リファイナリー29(Refinery29)のインフルエンサーマーケティング責任者を務めたことがあり、このビジネスモデルを新しい職場に持ち込んで、4カ月前にブランドパートナーシップディレクターとしてエラナ・デラソス氏を迎え、ソーシャル界のスターたちをマネジメントし、売上げ機会を拡大した。

インフルエンサーを利用したビジネスが最近になって注目を集めるようになってきたことを考えると、インフルエンサーマネージャーは、パブリッシャー業界ではまだ比較的新しい種類の職種だと、コイル氏は言う。このインフルエンサーマネージャーという地位に、まったくの初心者というわけではない人材を雇用する場合、コイル氏は、芸能エージェントの経験がある人か、広告業界で働いた経験のある人が望ましいと考えている。前者は個性的な人たちと接した経験があり、後者は広告主との関わり方を知っているからだ。

「上級レベルの人材には、こうした経験がどちらも必要不可欠だ」とコイル氏は述べた。

ニューヨーク・タイムズの場合

一方、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)や美容サイトの「ガロール(Galore)」は、インフルエンサーの管理に関して他社とは異なる方法を使っている。ニューヨーク・タイムズは2016年3月にハローソサエティー(HelloSociety)というエージェンシーを買収し、自社のネイティブアド制作部門であるTブランドスタジオ(T Brand Studio)と統合した。ガロールは、最高クリエイティブ責任者のプリンス・チェノア氏とジェイコブ・デカット氏がエディトリアルコンテンツを監督するとともに、タレントを社内インフルエンサーエージェンシーのキトン(Kitten)と契約させている。

たとえばガロールは、曲線美が美しいモデルのドゥニア・タジ氏をキトゥンでマネジメントし、「ガロール・コム(Galore.com)」のために「ドゥニア・デバンクス(Dounia Debunks)」というエディトリアル動画シリーズを制作している。ガロールはさらに、タジ氏と協力して、ランジェリーブランド「アドア・ミー(Adore Me)」の広告キャンペーンも進めている。

ガロールCEOのマイク・アルバネーゼ氏は、ガロールのターゲットは16~26歳の多文化の女性たちなので、ガロールにとって、インフルエンサーはタレントであるだけではなく、ガロールのファンであり読者でもあると説明した。

「我々のオーディエンスが暮らすピアツーピアの世界で、ガロールは、エディトリアルコンテンツであろうとブランデッドコンテンツであろうと、彼らが一緒に何かを創造する場なのだ」とアルバネーゼ氏は述べた。

Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)