男性娯楽サイト「ジョーメディア」は、なぜ急成長できたのか?

男性向け娯楽サイト「ジョーメディア(JOE Media)」は、イギリスにおいて男性が興味や関心を寄せる分野のサービスが少ないと考えている。そのニーズに応えるため、イギリス版編集チームの人員を倍増し、30人体制に拡大。専門カテゴリーと動画コンテンツの補強に力を入れはじめた。

「若者ではなく男性のために」というキャッチフレーズを持つ「ジョーメディア」は、アイルランドで5年前に誕生。イギリス版は2015年の夏にローンチされた。イギリスでもっとも人気のあるスポーツサイト「スカイスポーツメディア(Sky Sports Media)」の月間1000万ユニークユーザーには遠く及ばないものの、ゼロから始めて着実に読者数を増やしている。

「ジョーメディア」の創設者ナイル・マクギャリー氏は次のように話す。「我々は、女性を目の敵扱いするような話題を取り上げたことはないし、『若者』文化を面白半分に取り上げたり、ドラッグ利用や酒浸りの生活を擁護したこともない。我々のターゲットとする男性は、ファッションやニュース、コメディー、スポーツに関心をもち、自分に磨きをかけたいと思っている人たちだ」。

「ジョーメディア」の親会社であるマキシマムメディア(Maximum Media)は、過去4年で利益を増加させ、2016年にはブランデッドコンテンツで、イギリス国内の売上高200万ポンド(約3億3700万円)を目指している。だが、マクギャリー氏によれば、これは控え目な目標だという。マキシマムメディアでは、2016年夏までに月間ユニークユーザーが1500万人に達すると考えている(現在は600万人)。

若者ではなく男性のために

アイルランドで同サイトがターゲットにしてきたのは平均的な一般男性だ。より若者向けのコンテンツを好む男子大学生層と、雑誌『GQ』を愛読し、映画『007』の俳優ダニエル・クレイグに憧れるような上昇志向のある読者層との「隙間」にいる人々を対象にしている。そうした方針を強く受け継ぐことで、イギリスへの進出も容易にした。「ジョーメディア」には、ジョークを交えた短い記事だけでなく、男性の健康や精神疾患についてなど、もっと長くて硬派な内容のコンテンツも掲載されている。

もちろん、ミレニアル世代の男性向けサイト「ラッドバイブル(Lad Bible)」のようなメディアとの競争は激しくなる。「ラッドバイブル」は、オーディエンスが増えるにつれて論説記事に力を入れ、よりハードなニュース報道を増やしてきた。だが、同サイトには少し悪い評判がついている。マクギャリー氏が伝えたいのは、そういった悪評は、ブランドにとっても読者にとっても忘れがたいということだ。

「我々は、ボルトンに住む17歳の女の子に、胸の自撮り写真を送ってくれと懇願したことは一度もない(これについては、「ラッドバイブル」で以前やっていた特集「Cleavage Thursday」を指している)」と、マクギャリー氏。事実、JOE.co.uk宛に読者から怪しげな動画が送られてきた場合、それを掲載するのではなく、コンテンツがなぜ掲載されなかったのかという記事を編集チームが執筆していた。

Twitterで才能あるMOJOを探す

編集規範を維持する上で、なによりも、適切な能力をもつ人材を雇用することが重要だ。これまでのスタッフには、テレビ番組や映画の配信サイト「スカイ(Sky)」や男性誌「ローディッド(Loaded)」の元幹部が含まれる。

イギリススタッフを探すため、手始めとして、「ジョーメディア」は人気の求人ツールでもあるTwitterを活用した。マクギャリー氏は、「Twitterは何にも勝る履歴書だ」といい、実際にTwitterを通して大学の研究者だったノールディーン・チョードリー氏を雇用した。チョードリー氏には、自身のTwitterでのアウトプットと6万人のフォロワーの力をベースに、サッカーから政治まで幅広いコンテンツの制作を担当している。

次は、マルチメディアジャーナリストやソーシャルメディアの幹部、動画制作の専門家などに目を向けているという。

「我々は、モジョ(MOJO)と呼ばれるモバイルジャーナリストなど、いわゆる高い水準の文章が書けて、自分でモバイル動画を撮影、編集できる人材を探している」とマクギャリー氏。いまのところ全コンテンツに占める動画の割合は30パーセント以下だ。今後1年でこれを50パーセントにまで増やしたいとマクギャリー氏は考えている。

「ジョーメディア」では、2016年に2つの専門サイトを設ける予定だ。ひとつはサッカーを、もうひとつは健康やフィットネスを取り扱う。この2つを分ける選択をしたのは、読者や広告主がテーマに集中しやすくするためで、それぞれのテーマを専門とするジャーナリスト集団やソーシャルメディアチームを抱えることになる。

動画戦略はFacebook頼り

「いまやFacebookは風変わりな動画で溢れかえるようになったが、焦点はバラバラだ」と、マクギャリー氏は言う。「Facebookはまだ課題をたくさん抱えている。位置情報を予測したコンテンツ製作などで、ユーザーへの気遣いも必要だろう」。 しかし、そうはいっても、Facebookがもつ強大な流入インフラに自社のコンテンツを挿入することの重要性を、マクギャリー氏は知っている。2016年はそのプラットフォーム作りに50万ポンド(約8445万円)を投じる計画でいる。

「半年から1年というのが我々の実質戦略で、長期戦略ではない。2017年までに達成を期待している大きな商業的成果のひとつは、ブランドデッドコンテンツを視聴できる専門のソーシャルビデオチャンネルを、Facebook内に存在させることだ。2年前から考えると、これは大きな変化になるだろう」。

Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)
Image via ThinkStock / Getty Images