Facebookライブ動画、「質の格差」攻略が勝敗の要:「ジョーメディア」のテレビライク戦略

男性向け娯楽サイト「ジョーメディア(JOE Media)」は、Facebookのライブ動画戦略を進化させている。スイカを輪ゴムで破裂させる実験のような質の低いコンテンツを卒業し、より洗練されたテレビ風のコンテンツを手がけるようになったのだ。

ジョーメディアは9月後半から3週間にわたり、英プレミアリーグをテーマにした30分のパネルディスカッション番組「フットボール・フライデー・ライブ(Football Friday Live)」をFacebook上でストリーム配信。この番組には、元トッテナム・ホットスパー選手のレドリー・キング氏と、ジョーメディア記者のトニー・バレット氏およびジム・ダイリー氏が出演している。Facebookのライブ動画で配信した初回エピソードの再生回数は40万回に近づき、第2回のエピソードも20万回に届く勢いだ。総エピソード数は38回を予定しているという。

ライブ動画における質の格差

「フットボール・フライデー・ライブ」は、典型的なサッカー談義のテレビ番組とよく似ているが、よりリラックスした雰囲気がある。撮影はロンドンにあるジョーメディアのスタジオで行われ、心地良さそうなソファーに座った出演者たちを複数のカメラが取り囲む。

話題になるのは、開催された試合の内容から選手の私生活まで、1週間のさまざまな出来事。討論の合間には、進行役のダイリー氏がファンと談笑している光景やキング氏とサッカーを楽しむ様子など、事前に録画された映像が挿入される。

「大きな収穫は、ライブ視聴者について人々が興奮していることだ」と、同社最高経営責任者(CEO)、ウィル・ヘイワード氏は語る。「ほかのパブリッシャーは、膨大な視聴者数に最適化しているかもしれない。だが我々は、視聴者が楽しめる高品質の体験を提供する主義にこだわっている。Facebookにおける質の高い体験という点で、市場には格差が存在する」。

ジョーメディアは、フィットネスなどのライフスタイルを扱うテレビ風の番組を多数ライブ配信することを計画している。同社の動画チームはロンドンとアイルランドに分かれ、総勢15人体制だが、来年には55人に増員する計画だ。

Twitterのライブ配信にも進出

Facebookをはじめとする、さまざまなプラットフォームで動画のライブ配信が可能になったことで、ジョーメディアのようにデジタルオリジンのパブリッシャーは、テレビライクな番組作り(往々にして制作費は少ないが)を少しずつ試みている。配信ではFacebookが抜きん出ているが、ほかのプラットフォームのライブ動画への参入も大急ぎで進めているところだ。

ジョーメディアは近く、Twitterの動画配信アプリ「ペリスコープ(Periscope)」向けに「フットボール・フライデー・ライブ」を配信する。Twitterは、同社独自のライブストリーミング用プロダクトを利用するよう、メディア企業に呼びかけている。たとえば、英国のニュース専門局「スカイ・ニュース(Sky News)」は、欧州のメディア企業ではじめてペリスコープと提携し、政治ニュースをTwitterにもライブ配信している。

「Twitterはまだ、人々がリアルタイムの会話を楽しむ場所だ」と、ヘイワード氏は指摘する。「『フットボール・フライデー・ライブ』の本質はライブ体験だ。Facebookはリーチを提供してくれて、Twitterは影響力を与えてくれる」。ジョーメディアのスポーツアカウントのフォロワーは30万人と少ないが、Twitterは、140万人のフォロワーがいる「Twitter Sports」アカウントからライブ配信についてツイートすることで、ジョーメディアをサポートする。

すでにスポンサーも決定

当然のことながら、視聴者の数字と洗練されたセンスは広告主にとって重要だ。ジョーメディアは、同社のライブチャンネルでスポンサーを集めている。マーケターは番組に特化したブランド――たとえば、オープニングタイトルで表示されるロゴ――を持てるかもしれないが、編集権はない。

「フットボール・フライデー・ライブ」には2017年1月からの12カ月間、スポンサーブランドがひとつ付く予定だ。これは、ブランデッドコンテンツのキャンペーンを毎月作るより収入源として安定していると、ヘイワード氏は語る。

ジョーメディアは、2016年末までに売り上げの80%をスポンサードコンテンツから得る計画だ。現在スポンサードコンテンツからの売り上げはごくわずかしかないが、ヘイワード氏は具体的な数字を示さなかった。

Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)