設計者を自負する、「フォーブス」商品開発トップの1日:「私はコードを書かない」

Salah-Forbes世界有数の経済誌『フォーブス(Forbes)』の商品開発部門でバイスプレジデントを務めるサラ・ザラティモ氏。しかし、そう聞いて、具体的にどんな仕事をしているのか想像もつかない人がいるはずだ。

現在36歳のザラティモ氏は、「自分でも肩書をどう説明すれば良いのか考えた」と語る。「エンジニアなのか?」と聞かれることもあったようだ。

そして、ザラティモ氏がたどり着いたぴったりの答えが、家を建てることだ。「私は『フォーブス』のテクノロジー関連商品すべての設計者だ」。彼はデジタル版「フォーブス」全体のUXの設計と管理、またレイアウトやデザインにまで及ぶ責任者だ。その範囲はWebサイト、モバイル、そして動画に至るまで、すべてのテクノロジー商品に及ぶ。

ザラティモ氏は、同企業のなかでは比較的新参者だ。彼に経歴をたずねると、ソニーにマネジメントのコンサルティングを行ったり、従来型メディア企業のデジタル化をサポートしてきたという。実業界で12年間活動したあとは、コロンビア大学に戻ってMBAを取得した(彼は経済学とオペレーションズリサーチを専攻していた)。自ら商品と会社を立ち上げたのはその後のことだ。

2014年、彼の2つ目のスタートアップとなるプライベート写真の共有アプリ「カメラマ(Camerama)」が、外部からの資金調達のセカンドラウンドを迎えるころ、「フォーブス」のチーフプロダクトオフィサーの目に留まった。2015年には同アプリが「フォーブス」に買収され、ザラティモ氏はそれをソーシャルネットワークとカンファレンスのアプリ「フォーブスコネクト(ForbesConnect)」へと改良する責任者となった。

ザラティモ氏によれば従来型メディアをテクノロジー主導企業へと移行していくことが最大の課題であり、彼が率いる26人のチームで、すべての商品のシームレスなUXを構築している。

コンテンツが常に第一ではあるが、メディア企業が現代の環境のなかで成功していくカギは、UXが握っていると、彼は話す。「勝者と敗者を分けるものは文章やトピックではない。適切なコンテンツを適切な人々の前に、適切なタイミングで届けること。そして、彼らが楽しめるような体験を提供するということだ」。

米DIGIDAYは、ザラティモ氏に彼の日常の過ごし方を紹介してもらった。

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06:45 am 4歳半になる息子のシーナが僕たちが起きているかどうか確かめに来る。彼と6歳になるグレートデーン(犬種)を連れて、ブルックリンにあるフォートグリーン公園へ軽く朝食ピクニックへ。帰宅後は妻のターラとコーヒータイム。

08:10 am 私はシティバイクを走らせ、マンハッタンのユニオンスクエアにあるシンクコーヒーへ行く。ここで「Forbes.com」の記事ページのUXを監督するプロダクトオーナー候補の人物と会う。当社のジャーナリスト、そして2000人の寄稿者によってサイトには、1日300本以上の記事が掲載される。だからこそ記事ページは、我々のもっとも重要な商品だ(私は面接者とはオフィスの外で会うようにしている)。

10:00 am デスクトップ、モバイル、動画のプロダクトオーナー、プロダクトマネジャー、そして設計チームが揃って、朝のミーティングを行う。今月は最大の収益期となる第四四半期に向けて、忙しい月になる。秋と冬にはアメリカの高所得者リスト「フォーブス400」などの最重要リストをいくつか発行するため、その準備を進めている。

11:00 am 「フォーブスコネクト」のチームと打ち合わせ。彼らはアプリ「フォーブス・アンダー30」の管理責任者チームでもあり、そのバージョン2.0の進捗状況を知る。当社のアプリ「アンダー30」は、「フォーブス」のアンダー30で注目された「世界でもっとも影響力をもつ」約5000人(集計中)の若い起業家や革命児に限定したプライベートソーシャルネットワークとして開発されたもの。我々はこのバージョン2.0を、10月16日から19日にかけてボストンで開かれる「フォーブス・アンダー30サミット」でローンチすることになっている。

12:00 pm 社員食堂に人気のサンドイッチを運んできた「フォーブス」のシェフ、ジェフを見つけた。客が殺到する前に早めの昼食をとることに。

12:30 pm デジタルコンテンツをまとめるチーフプロダクトオフィサーのルイス・D・ボルキン、デジタルコンテンツチーフのコーツ・ベイトマン、そしてCMSのプロダクトオーナーであるマイク・メドリックと会う。次世代のCMSについてアイデアのブレインストーミングを行う。将来的にはモバイルファーストとなるだろうと考え、我々は新しいCMSについてモバイル消費を考慮した再開発を行う。

01:30 pm 最新のKPIダッシュボード調査のため、ビジネスインテリジェンスのヘッドであるモンティ・マーに連絡。我々はユーザーセグメントやエンゲージメントの変化を、1回の利用ごとのセッション、セッションごとのページビュー、ページビューごとのインプレッション、エンゲージメント時間とスクロール量といったデータで徹底的に調査している。

02:00 pm 1日で1番ワクワクする時間だ。我々が開発した「Forbes.com」の新しいモバイルファースト版の最新A/Bテストの結果がわかる。我々はSnapchat世代をターゲットにした進歩的なWebアプリを構築してきた。ローンチした2つのベータリストは、いまのところ上々の結果を出している。エンゲージメントは当社のパワーユーザーで2倍、カジュアルユーザーでは3倍になった。

02:30 pm 「フォーブスコネクト」のライセンシーであるスモール・ジャイアンツ(Small Giants)のハムサ・ダーヘル氏とテレビ会議。我々はエンゲージコミュニティを構築したいと考えるスモール・ジャイアンツやアショカ(Ashoka)などのニッチ団体向けに、「アンダー30」アプリのテクノロジーのOEMを行っている。

03:00 pm この夏のインターンたちとコーヒーブレイク。今年は我々のチームは7人のインターンを迎えている。インターンはアンドロイド開発やリアクト、アングラーについて学んでいる。彼らはここへ来て数週間で言語を習得し、当社のコア製品に貢献している。この若者たちは、とても優秀だ!

04:30 pm 次のフォーブス400リストの編集者と新たな切り口や新製品導入のブレインストーミングを行う。我々はアメリカの最高所得者についてそれぞれの博愛的、政治的貢献の比較を行う。アメリカ大統領候補のひとりもリストに載っている(もうヒントは出しましたよ)。

05:30 pm 8月24日にローンチする最新の「もっとも革新的な企業」リストのモデルを見直す。素晴らしい企業で働く人々やその製品、そしてその歴史に焦点を当てるこの企画はかなり気に入っている。

06:00 pm レベルアップ(Level Up)のミーティングの時間だ。レベルアップは当社の新ブランドで、サイトのサービスではなく、ニュースレターやFacebook、アレクサ経由で、またポッドキャストでもコンテンツを提供する。プロダクトオーナーであるイハーブ・ザリイーは自身が手掛けている最新のFacebookボットのデモを見せてくれた。

07:00 pm 従業員がみな帰りオフィスが空になった。ようやくデータとひとりで向き合える時間ができた。Googleアナリティクスのレポートを引っ張り出して、当社の動画の閲覧者に関する仮説検証を行う。手元にあるデータでは仮説検証はできず、当社サイトに新たなトラッカーを加えるリクエストを提出した。

08:05 pm ジャージーシティにあるオフィスを出て、電車に乗り、ワールドトレードセンターへ。シティバイクに飛び乗り、ブルックリン橋を越えて帰宅、妻と夕食をとる。充実した1日だった。シーナの就寝時間に間に合わなかったことが残念だ。さぁ、明日も同じような1日が待っている。

Jemma Brackebush (原文 / 訳:Conyac)