パーソナライズ、さらなる高度化にパブリッシャーが熱視線:「読者データ」でカスタマイズ

マーケターは長年に渡って、インターネット上でカスタマーと一対一でコミュニケーションが取れるようになる日を夢見てきた。それに共感するパブリッシャーの数も増え、彼らは現在その実現に向けて多額の投資をしている。

10月6日に開催された2016メディアテクノロジーサミットでは、利用するデバイスに左右されずに、メディアが提供するメッセージやオファー、コンテンツをオーディエンスに合わせて生成する方法について、パブリッシャーとマーケターが議論しあった。

メディアサイトに訪問した人間に合わせてサイトをカスタマイズするアイデアは決して新しくはない。しかし、特に収益面(広告)と編集(記事広告含む)における整合性で、バランスを取る必要のあるパブリッシャーにとっては、技術的、文化的な課題が立ちはだかっている。

それにも関わらず、パブリッシャーたちは自社サイトでオーディエンスを維持するためにカスタマイゼーションを図ることについて、これまで以上に真剣だ。というのも、業界全体のトレンドにおいて、自社の拡大につなげられるからだ。彼らがカスタマイゼーションを追求する理由を以下で紹介する。

ブランデッドコンテンツへの支出増加

パブリッシャーはブランデッドコンテンツに投資される予算が増えたことで、それを確実にオーディエンスに見てもらう方法を確立したい。トラフィックを買うことで広告主の目指す目標を達成することも可能だが、それは高くつく。

こうした理由から、アイリスTV(Iris TV)やAOLが所有するグラビティ(Gravity)といった、パブリッシャーのオーディエンスデータをもとに表示する動画のキュー(待ち行列)を、ユーザーに合わせて生成する企業が存在する。アイリスはサイトの滞在時間の増加およびパブリッシャーが提供する広告数の増加を助長。しかも、それだけでない。アイリスのクライアントであるタイム(Time)といった、パブリッシャーが作成するブランデッド動画を、関連するオーディエンスに表示する可能性も増やしているのだ。

より密に統合された読者データ

これまでにユーザーが目を通したコンテンツをもとに、訪問者に対してパーソナライズされた記事を提供するパブリッシャーがある一方、デバイス間で、そのほかの要因に基づいてパーソナライズしてコンテンツを表示することが現在可能になってきている。

たとえば、アトランティック(The Atlantic)は、ユーザーが利用したコンテンツすべてに基づいて、カスタマイズしたメッセージで購読を促す。「ユーザーとの関係を認識し、できるかぎり友好的に維持していくことが、我々は可能だ」と、同社デジタルプロダクトおよびテクノロジー担当取締役のベッツィ・エバーソール・コール氏は語る。

クロスデバイスを通じてオーディエンスにメッセージを出すことが可能であることは、購読への誘導や、イベントチケットまたは商品を買ってもらうために重要なことだ。「ユーザーにとってタイミングが適切でなければ、たとえ更新された広告でも、表示したいとは思わない」と、コール氏は述べる。

改善された機械学習

クリック数の最大化を確実にする見出しのA / Bテストによりパブリッシャーは、どんな見出しがほかよりも特定の人々から良い反応を得られるかを何年も前から知っている。しかし、機械学習(AI)の改善や、オーディエンスセグメンテーションが進むことで、誰が見ているかによって、コンテンツ自体が見方、読み方を変えはじめている。

イスラエルのスタートアップ、テキストラブ(Textlab)は、それらにさらに一歩踏み込んだ。異なる文言の選択や句読点表記を使用して、パブリッシャーのサイトの見出しを、見ている人に合わせて実際に生成している。

いまのところ、テキストラブはイスラエルのパブリッシャー専門にビジネスを行っているが、英語を使用言語とするパブリッシャーが、同社の技術に食指を伸ばしはじめるまでにそう長くはかからないかもしれない。

Max Willens(原文 / 訳:Conyac
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