セカンドプライスオークションは 媒体社の「頭痛のタネ」?:ヘッダー入札 進化の歪み

ヘッダー入札はとても奥深い。業界人でなければ、深い眠りへと連れて行かれるほどだろう。

しかし、パブリッシャーたちは危機感をもつべきだ。ヘッダー入札においてパブリッシャーは、「セカンドプライスオークション」のために、まだ利益を最大化できていないという意見もあるからだ。ちなみに、セカンドプライスオークションとは、一般的なRTBで採用されているオークション形式。もっとも高い金額を入札した者が勝者となるが、支払う額は2番目の金額に1円もしくは1セント足したものとなる。

複数の情報筋が米DIGIDAYに語ったところによると、ヘッダー入札のサーバー・トゥ・サーバーへの移行によってパブリッシャーは、サプライサイドプラットフォーム(SSP)からのすべての入札をより簡単に集められるようになる。だが、そのうえで、ファーストプライスオークションのベンダーに切り替えることで、さらに非効率性を解消できるという。

アドテク企業イールドボット(Yieldbot)のCEO、ジョナサン・メンデス氏はこう話す。「セカンドプライスオークションはある意味、古いメカニズムだ。この慣例に未来の持続性はないと思う」。

非効率を生む決済価格

パブリッシャーにとってヘッダー入札の欠点のひとつは、オークションの形式によっては、一番高い値をつけた入札者がオークションで勝てないことがある点だ。これは、多くのアドエクスチェンジがセカンドプライスオークションに依存していることに原因がある。セカンドプライスオークションでは2番目に高い入札額が決済価格になる。さらにアドエクスチェンジは各SSPに対して、それぞれのSSP内にあるすべての入札を伝えるのではなく、その決済価格を伝えるだけになりがちだ。

たとえば、1つ目のSSPにおける上位2件の入札額が14ドルと4ドル、2つ目のSSPにおける上位2件の入札額が25ドルと2ドルだったとしよう。この場合、決済価格を決めるのは1つ目のSSPになる。なぜなら、両者の決定価格(セカンドプライス)を比較すると、4ドルの方が高くなるからだ(このケースの決済価格は4.01ドルとなる)。だが実際、入札全体を俯瞰して見ると、2番目に高い金額は14ドルになるのだが、それは採用されない。

情報筋は米DIGIDAYに、サーバー・トゥ・サーバー接続は、こうした力学をいくつかの方法で変える可能性があると話した。

サーバー・トゥ・サーバーの利点

ヘッダー入札において、数値を伝えるだけというのは、技術的には単純なことのように聞こえるかもしれない。しかし、もしパブリッシャーが複数のSSPからデータを得ており、それぞれのSSPが多数の入札額を含んでいたとしよう。すると、個々の入札やそれに対するレスポンスコードが絡み合い、クライアントサイドで処理するには、すぐに面倒なレベルに達する。すると、Webページの表示速度が遅くなることがあり得ると指摘するのは、パルスポイント(PulsePoint)の製品担当ディレクター、クリス・ミュレンバッハ氏だ。

しかし、それでも(各SSPの決済価格だけではなく)すべての入札額を照合したいと思うパブリッシャーもいるだろう。そんなとき、サーバー・トゥ・サーバー接続は、入札行為をユーザーのブラウザからサーバーに移動させてレイテンシー(遅延)を減らし、このような管理を容易にすると、ミュレンバッハ氏はいう。

オペラティブ(Operative)の収益化担当バイスプレジデントを務めるアダム・ヘクト氏は、「クライアント側のヘッダーにすべての入札額が送り込まれると、異常なほどの遅延を引き起こす可能性がある」と話す。

複雑さを生むヘッダー入札

インデックスエクスチェンジ(Index Exchange)のプロダクト・シニアバイスプレジデント、ドリュー・ブラッドストック氏は、すべての入札を集めるとセカンドプライスシステムでの収益増加につながるかもしれないが、パブリッシャーにとってもアドエクスチェンジにとっても、ロジスティクス上の問題(遅延問題)を生み出すだろうと述べる。

「すべての入札をミックスした途端、これが公正に取り扱われているのかを判断するのが本当に困難になる。アドエクスチェンジ自体も、オークションが公正かどうかは決してわからないだろう」と、ブラッドストック氏は語る。

「パブリッシャーは単純さを求めるが、入札をひとつにまとめてしまうと、自分たちの収益を本当に最適化できるのは、誰かを見極めるのが難しい仕事になる」。

ファーストプライスの可能性

メンデス氏は、パブリッシャーが効率を上げたいならば、セカンドプライスモデルでSSPから入札を集めるより、(もっとも高い入札額が決済価格となる)ファーストプライスモデルを活用するほうが上手く行くと指摘する。だが、ほとんどのアドエクスチェンジは依然としてセカンドプライスオークションに依存しているので、パブリッシャーがファーストプライスモデルに切り替えることは難しいかもしれない。

複数の情報筋が米DIGIDAYに語ったことによると、セカンドプライスという技術は古い遺産だが、検索やディスプレイ広告の初期の時代にデジタル広告に定着して以来、多くのベンダーが慣習的に使っているそうだ。

しかし、セカンドプライスモデルは、決済価格が2番目の価格となるため、入札額をより高くしようという意欲を買い手に与え得るが、パブリッシャーはますます、ファーストプライスを選択する方向に進んでいるという情報筋もいる。サーバー・トゥ・サーバーへの移行で、パブリッシャーはセカンドプライスモデルを使うベンダーへの依存度を減らし、自身の技術スタックをより多く活用できるようになり、その結果、ファーストプライスモデルをより頻繁に選択する自由を手にするだろう。

完璧な二者択一ではない

ここまでの話に夢中になり、ほとんどのパブリッシャーが急激にサーバー・トゥ・サーバーへの移行を進め、ファーストプライスオークションを採用するようになるだろうと期待するかもしれない。だがその前に、ヘッダー入札によって回避されると思われてきたウォーターフォールに頼っているパブリッシャーがまだたくさんいると述べておくべきだろう。

そして、プログラマティックバイイングに関しては、ファーストプライスモデルかセカンドプライスモデルかは、完璧な二者択一ではない。カフェメディア(CafeMedia)の共同創設者であるポール・バニスター氏は、収益を最大化する取り組みにおいて、カフェメディアのようなパブリッシャーは、インベントリー(在庫)をいくつかのレベルに分けて、ファーストプライスとセカンドプライスを組み合わせたオークションにかけているという。

それでも情報筋は、サーバー・トゥ・サーバーの採用がより広い範囲で進んでいると強調する。つまり、その過程にいろいろな障害があるとしても、パブリッシャーによるファーストプライスオークションの採用が容易になるという意味だ。

「ファーストプライスがベストであり、それを望むパブリッシャーが増えている」とヘクト氏は語る。「だが、それにはベンダーがビジネスのやり方を変える必要がある――少なくとも短期的には」と語った。

Ross Benes(原文 / 訳:ガリレオ)
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