インスタを介したマネタイズ、米パブリッシャーの事例集:完璧ではないが方法はある

パブリッシャーのニーズに応えられているかという点において、インスタグラムは完璧とはいえないが、それでもマネタイズの方法は存在している。

この1年間、インスタグラムのオーディエンスは増加し続けてきた。そんななか、プロダクトプレイスメントやインフルエンサーとのパートナーシップ、そしてコメント欄からプロダクトを購入できるツールなど、さまざまなサービスが誕生している。

インスタグラムはまだ企業としては初期段階だと多くの人が認識する一方で、達成してきたことは多い。「バースツール・スポーツ(Barstool Sports)」にとってインスタグラムは、自社サイトで販売するシャツのプロモーションにおける一番の原動力となっている。ハリウッド女優のグウィネス・パルトロウが設立した、Webサイト兼ストアである「グープ(Goop)」は、インスタグラムにおけるCTRが0.8%を越えていると発表した。

Twitterの規模を密かに越えた

健康に関するトピックに特化したパブリッシャー「マインドボディグリーン(Mindbodygreen)」のブランデッドコンテンツは、自社メディアサイトで公開したものよりもインスタグラムで公開されたものの方がエンゲージメントが平均して高いという。CEOのジェイソン・ウェイコブ氏によると、その結果、同社のコンテンツに対する広告主からの問い合わせは「爆発的に」伸びているそうだ。

「我々はインスタグラムによってコンテンツ、コミュニティ、コマースの交差地点に存在している。この交差地点でプレゼンスを求めるブランドは多い」と、ウェイコブ氏はいう。雑誌メディア協会(Association of Magazine Media)のデータによると、雑誌のパブリッシャーにとってのソーシャルメディアオーディエンスを提供する場として、今年の前半、インスタグラムはTwitterの規模を密かに越えた。

しかし、オーディエンスの規模はそれでもまだ小さい。ソーシャル分析会社であるソーシャルブレード(Socialblade)によると、インスタグラムでもっともフォロワー数が多いトップ100アカウントのうち、パブリッシャーのアカウントは4つにすぎない。

パブリッシャーの影響力も拡大

とはいえ、彼らのエンゲージメントは高い。そのためパブリッシャーよりもフォロワー数が多いブランドですら、パブリッシャーのタイムラインに現れたいと考える。

「通常であれば、ブランドはパブリッシャーとともにディストリビューションに取り組む。だが、インスタグラム上においてパブリッシャーは、ディストリビューションを独自に行えるようになった」と語るのは、インスタグラム情報会社ダッシュ・ハドソン(Dash Hudson)のブランド戦略責任者マリアナ・リッテンハウス氏だ。

パブリッシャーがもっともよく使う戦術は古くからあるプロダクトプレイスメントだ。プロダクトプレイスメントでは、広告主のプロダクトが紹介された写真に、ブランドがタグ付けされて、パブリッシャーのフィードに公開される。規模の大きな取引においてはこの種のフォーマットはよく活用されている。

そのためブランドは、インスタグラムありきでの施策を、パブリッシャーに求めるようになった。先述の「バースツール・スポーツ」の広告売上責任者ルイス・ロバーツ氏は、「(ブランドは)私たちの(インスタグラムの)ページ上にプロダクトを載せて欲しいと思っている。しかし規模の大きな、ほかメニューを含んだパッケージ取引の一部としてしか、そういうことはしない」という。

パブリッシャーのマネタイズ事例

もしプロダクトが推奨できるくらい良いものであれば、読者がそれを購入したときにパブリッシャーにも利益がでるようにしない理由はない。現にパブリッシャーたちはアフィリエイトのリンクやeコマース戦略を次々に取り入れている。

「フー・ワット・ウェア(Who What Wear)」「バーディー(Byrdie)」、そして「マイ・ドメイン(My Domaine)」を仕掛けてきたベンチャースタートアップ、クリック・メディア・グループ(Clique Media Group)は、インスタグラムの投稿に関連付けられた記事においてもそういった戦略を活用している。バーディといったブランドがインスタグラムでプロダクトにフォーカスした投稿を公開する、それによってインスタグラムの自己紹介欄にあるリンクを通じて人々が関連したWeb上の記事に流れ込む、その記事にはアフィリエイトのリンクが埋め込まれている、というのはひとつの例だ。

インスタグラムを通じて自社のストアに直接誘導するパブリッシャーもいる。「バースツール・スポーツ」は土曜の朝に「土曜は男のため(Saturday is for the Boys)」と書かれたシャツの画像を投稿する。彼らの読者の多くは金曜の夜に飲み歩き、土曜の朝は二日酔いの状態で前夜の写真を眺めているからだ。一方で「ザ・ニューヨーカー(The New Yorker)」「ニューヨーク・マガジン(New York magazine)」「コンプレックス(Complex)」といったパブリッシャーは、本やブランデッドイベントの売上を伸ばすのにインスタグラム上のフィードを活用している。

インフルエンサーとの共同施策も

インフルエンサーマーケティングはこれより複雑だが、パブリッシャーの収益源としては同様に人気である。広告主とのブランデッドコンテンツ契約にインスタグラムを組み込もうとパブリッシャーたちは何年も取り組んできた。「フード+ワイン(Food + Wine)」や「リファイナリー29(Refinery29)」といったパブリッシャーは広告主への幅広いメニューの一部として、インフルエンサーとの共同コンテンツ制作を行っている。

タイム社(Time Inc.)はインフルエンサーの自社ネットワーク「タイムインクコネクト(Time Inc. Connect)」を作り上げた。これもインフルエンサーマーケティングへの業界の関心が膨らんできているのが大きな理由だ。

インスタグラムのオーディエンスからどうやって収益を得るのか、まだまだ見極めの初期段階にすぎないと業界の多くの人が感じている。しかし、すでに進歩を見せているパブリッシャーたちには共通していることがある。「我々の読者は購買者であり、我々の購買者は読者だ」と、ライフスタイルメディア兼EC「グープ」のパートナーシップセールス部門の責任者である、キム・クルーズバーガー氏は語った。

Max Willens(原文 / 訳:塚本 紺)