イベント事業を拡大させる、米新聞社のマネタイズ戦略:年500本以上を実施予定

イベント事業を拡大するため、メディア企業のガネット(Gannett)は、全米でのイベント展開と同時に、ローカルでの展開にも注力している。

USAトゥデイ・ネットワーク(USA Today Network)の親会社ガネットは、個々の新聞紙に自社のイベント管理を数年間任せてきたが、それを一元化するようになった。今年は、若い読者向けにタコフェスティバルを、そして裕福な読者向けにグルメとワインの体験イベントを手掛けている。ガネットはナイキ(Nike)から全米タコ協会(National Taco Association)に至る新規広告主たちと一緒に、今年は500以上のイベントを開催する予定だ。

ガネットは過去2年間で、CMOのアンディ・ヨスト氏が「わずか12人にも満たない」と説明していたイベント戦略チームの規模を倍増させた。

イベント事業のメリット

ガネットはイベントの収益について明らかにしていない。だが、投資家たちに理解されている話の一部では、今後3年から5年で収益報告書にその項目を設けることで、数字を明らかにする意図があると、ヨスト氏は述べた。

イベント事業への参入は同業の新聞社と同様、パブリッシャーたちが紙の広告市場の衰退で悪戦苦闘しているなかはじまっている。ガネットは、第2四半期の印刷広告収入が対前年比で16%減少したと報告した。

イベント事業はこうした損失を軽減するだけでなく、ガネット傘下の地方紙とその広告主たちとの関係を深めることにも役立つ。事実、ガネットが販売しているイベントスポンサーシップのすべては、既存の広告クライアントからのものだとヨスト氏は述べている。

チケット収益も狙い

いくつかの事例では、それらは、USAトゥデイ・ネットワークの地方紙が直接取引のある地元広告主だ。ほかの事例では、ハイスクールスポーツアワードの一環として授与される賞のスポンサーになっているナイキのような全米規模の広告主となっている。

またイベントではチケット販売からも収益が出る。タコフェスティバルの入場料12ドル(約1300円)、グルメとワインのイベントでマーサ・スチュアートと会う機会をもらえるVIPパック450ドル(約5万円)と、さまざまだ。

イベントチケットを販売するために、それぞれのフェスティバルに携わるガネット傘下の新聞紙がその印刷版とデジタル版やFacebookを含むプラットフォームを利用して、有料購読者に売り込みをかけている。いくつかの事例では、同社はゲリラマーケティングも実験しており、シンシナティなどの都市で、ピニャータ(なかにお菓子やおもちゃなどを詰めた紙製のくす玉人形)失踪の貼り紙を貼った。

新規ユーザーも獲得

ヨスト氏はこの戦略に明るい展望がもたらされていると見る。たとえば、ガネットがデトロイトで催した最近のタコフェスティバルの出席者の大多数は、ガネット傘下の新聞のいずれも購読していなかった。そして、彼らはガネットの読者層よりもやや若く、参加者の2/3は35歳未満だったそうだ。

来年には、フィットネス、地域への働きかけ、そしてUSAトゥデイ・ネットワークが掲げる、同紙が取り上げる地域社会への貢献を目標に、あらゆるテーマに焦点をあてたイベントで、ガネットのイベント事業をさらに拡大させることに重点を置くと、ヨスト氏は語る。

こうしたイベントは収益改善を目的とするだけでなく、読者に対するそれぞれの出版物の存在意義を高めることに、ひと役買うことになるだろう。

「まるで人々の視野をよぎる微生物のようにコンテンツが知覚されるプラットフォーム時代に、ブランドやメディア企業はどのようにしてユーザーとリアルな関係を作るのか?」と、ローカルイベントも取り上げるニッチな旅行サイト、アトラスオブスキュラ(Atlas Obscura)のCEO、デビッド・プロッツ氏は疑問を投げかける。「ローカルイベントは、それを実行するのにうってつけだ」。

Max Willens(原文 / 訳:Conyac)
Photo credit: USA Today