英チャンネル4、Facebook動画再生回数で BBC を上回る:ジャイアントキリングまでの道のり

英国の放送局、チャンネル4のニュース番組「チャンネル4ニュース(Channel 4 News)」は2015年、ソーシャルメディアにおいて、テキストと写真だけの投稿を全面的に取りやめ、そのリソースのほとんどを動画投稿に傾けた。

この施策の結果、効果が出ている。なにしろ、現在における1カ月の再生回数は2億回。昨年1月時点、「チャンネル4ニュース」のFacebook投稿は半分が動画で、再生数は合計500万回だったことを考えると、大幅な伸びだ。

アナリティクス企業、チューブラー・ラボ(Tubular Labs)のデータによると、この数字は、BBCニュース(BBC News)のFacebookページにおける6月の動画再生数1億6500万回を上回る。ほかのニュースチャンネルのFacebook動画再生回数を見ても、スカイ・ニュース(Sky News)が1億2600万回、ITVニュース(ITV News)が6200万回だった。

また、チャンネル4ニュースのFacebookのオーディエンス層は若く、約3分の2が35歳未満だ。Facebookへの投稿は現在、ほとんど(95%)が動画であり、そのうち4分の1は(タテ型画面ではなく)、モバイルとデスクトップ両方のプラットフォームに適し、Facebookのニュースフィードでも見映えのよい「正方形」となった。ニュースフィード内では無音で再生されることが多いため、すべての動画に字幕が付いている。

リスクを取ることを恐れない

これまでのところ、チャンネル4はテレビの放送動画の再利用と、Facebook用に制作したオリジナルコンテンツを併用している。コンテンツがテキスト中心の記事である出版社よりも、動画となる放送局の方が、ソーシャルコンテンツの制作と配信に適応しやすい。

また、チャンネル4のような放送局には、Facebookなどのソーシャルプラットフォームに再利用できる、豊富な放送動画という資産がある。ただ、それでもソーシャル動画を機能させるには、社内意識の大きな変化が必要だ。また、Facebookのライブ動画のような新しいツールを使いこなす編集テクニックが求められる。

Facebookのライブ動画インスタント記事といったツールを使って、Facebookへ直接配信する場合は、強力なブランディングが重要だ。チャンネル4はどこで動画コンテンツが消費されるにしても、その情報を届けているメディアをオーディエンスに認知してもらいたい。その認知拡大のためにオリジナルコンテンツは、より広いチャンネル4のブランドアイデンティティを反映しなければならない。

こうした取り組みのため、チャンネル4はBBCやITVのような主要な放送局よりも先鋭的で、制作面でリスクを取ることを恐れない。ロンドンの街頭で訴えかけるイスラム過激派の聖職者が、一般市民のイスラム教徒に繰り返しやり込められる姿を映し出したこの動画は、チャンネル4ニュースの目指すブランドアイデンティティをよく表しており、1600万回再生された。

先鋭化されたコンテンツ

チャンネル4ニュースのデジタル編集者ジョン・ローレンス氏は、「我々のコンテンツは、そのストーリーに、質と問題に対して真摯に向き合っているという姿勢をもち続けなければならない。オーディエンスは我々に対して、権威に意義を唱え、ほかの誰にも語れないストーリーを語ることを期待している。彼らは生身のニュースに関心があるのだ」。その期待に応えてくれる動画、特に人種、政治、国際情勢といった話題に関するものは、とりわけ人気がある。

5月にニュースフィードで公開された「最前線の子供たち:アレッポからの脱出」という2分間の動画は、すでに60万回再生された。また、チャンネル4ニュースでは、Facebook専用のオリジナルな動画フォーマットを増やしており、そのひとつに「ファクトチェック(FactCheck)」という動画がある。

英国のEU離脱の是非を問う国民投票は、国民が投票の結果に関する説明を求めた際に、ファクトチェック動画にとっては理想的なテーマとなった。結果的に、EU離脱派と残留派、両陣営がBrexit(ブレクジット)キャンペーンで主張した内容を考察したファクトチェック動画は、1300万回再生された。以降、チャンネル4ニュースは「EUはどれくらいの負担になっているのか」「EU移民は国民の職を奪っているのか」といった、Brexit(ブレクジット)の話題に関するオリジナルのファクトチェック動画を多数公開しており、2つの動画はあわせて820万回再生された。

最近は、オリジナルのFacebook動画の需要が加速度的に増加していることを理由に、「チャンネル4ニュース・アイデンティティ」と「チャンネル4ニュース・デモクラシー」という2つのスピンオフFacebookページを開設した。また8月8日(現地時間)には、ナイジェリア人小説家、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ氏のインタビューをFacebookのアイデンティティのページでライブ配信した。

Snapchatの優先度は低い

「ニューヨークタイムズ(The New York Times)」や「ザ・サン(The Sun)」のような新聞社と違い、チャンネル4ニュースにはソーシャルプラットフォーム向けのコンテンツ制作に特化したチームがいない。デジタルジャーナリスト12人からなるチームのメンバーはそれぞれ、Web向けとソーシャルプラットフォーム向け、そして両方のコンテンツの制作を担当している。いまのところ大きな力を注いでいるのは、Facebook、YouTube、およびTwitterだ。

「我々は量ではなく、質とコンテンツの影響力にこだわっている」とローレンス氏。つまり、いまのところ、手作り感がその特徴になっているSnapchat(スナップチャット)は活用すべき配信先としては、優先していないということだ。

現在、週に約60本の動画をFacebookに公開しており、そのうち2本はライブ動画だ。撮影する動画のフォーマットについてはシンプルなルールがある。抗議運動に関する記事は、遠い距離から広範囲を押さえたショットが必要だが、Facebookではそのようなショットはうまくいかない。そのため、Facebookのニュースフィードに適している正方形で視覚的に映えるものを優先している。しかし、ローレン氏によると、いくつかの新しい編集フォーマットも実装計画中だという。

Jessica Davies (原文 / 訳:ガリレオ)