メディア細分化を推し進める「アバウトドットコム」の狙い:回遊率改善で滞在時間向上

「アバウトドットコム(About.com)」はコンテンツの切り離しに忙しい。検索訪問者向けのワンストップサービスから各種メディアブランドの集合体への移行を進めているからだ。次に切り離されるのは、家庭と食べ物の新サイト「ザ・スプルース(The Spruce)」で、2月22日にローンチしたばかりだ

ザ・スプルースは、アバウトドットコムから登場する最新の専門メディアブランド。ポータルサイトがユーザーからも広告主からも見放されるにつれ、同社はコンテンツを細分化してきた。これまで健康に特化した「ベリーウェル(VeryWell)」金融情報の「ザ・バランス(The Balance)」テクノロジーサイトの「ライフワイア(Lifewire)」を立ち上げており、新規メディアブランドの開設はこの1年で4件目だ。

ザ・スプルースは、Pinterest(ピンタレスト)に似た、探索型のUIとなっている。DIY記事やレシピのほかに、飾り付けのアイデアといったインスピレーションをもたらす記事もある。キャッチフレーズは「Make Your Best Home(最高の我が家にしよう)」。課題は、人々に直接サイトを訪問してもらい、さらに滞在してもらうことだ。

アバウトドットコムのCEO ニール・ボーゲル氏は、「サイト内回遊率の良さを特に考えて作った初のサイトだ。課題は、これまで検索からやってくるビジターが多かったのを、いかにしてサイト内を見て回ってもらうようにするかだ」と語った。

ザ・スプルースのトップページ

タグ付けで回遊性を改善

ザ・スプルースには既存コンテンツが約8万本もあり、これが強みだ。人々が何を目当てにやってきても、そこからたくさんの方向へ誘導できるように、アバウトドットコムはコンテンツにタグを付けた。たとえば、チキンのレシピに、ディナー、ピクニックなど、食事の種類のタグをつけたりする。

各記事に表示されるタグは、訪問者が最初にやってきたランディングページに基づいて決まる。最初に目的をもって訪れたページと、次に行く可能性が高いページとのあいだに相関関係があることを、アバウトドットコムは学んでいるのだ。

記事の末尾はおすすめ記事を紹介する格好のスペースであり、アバウトドットコムは金融サイトと健康サイトにおいては各記事の末尾を、(いまや多くのパブリッシャーが関連記事の表示に採用している)従来型の無限スクロールにした。しかし、ザ・スプルースでは、コンテンツの選択肢を大量に提供できる、カード方式のおすすめ記事ウィジェットを導入している。

ザ・スプルースのカードスタイルによるおすすめ記事の例

「ほかの食材で作った違う種類のピザ、ベーコンを使ったほかのレシピ、ディナーの料理の選択肢など、どちらかというと『水平方向』に広げた提案が求められている。この場合、無限スクロールでは体験が限定的になるおそれがある」と、ボーゲル氏はいう。

なぜ細分化するのか?

たとえば食べ物のサイトでも、カクテル中心のサイトや朝食中心のサイト専門にするなど、パブリッシャーのニッチ化が進んでいるなか、食べ物とホーム用品だけでなくペットやファミリーのコンテンツを取り上げるザ・スプルースは、いまの基準からすると「マス」だといってもおかしくないだろう。

オーディエンスを細分化しすぎると、狙っているパッケージ製品の広告主が求める規模の実現が難しくなる。また、ライフスタイルはそもそもが大きなカテゴリーだ。

家、食べ物、スタイル、および人間関係のコンテンツで構成されるアバウトドットコムの「ライフスタイルネットワーク(Lifestyle Network)」は、1月のユニークビジター数が1100万人で、インターネット調査企業コムスコア(comScore)のライフスタイルカテゴリーで37位と低迷していた。アバウトドットコムの予測によると、ザ・スプルースは開設時のコムスコアの測定で、下位のホームカテゴリーの5位になるそうだ。

「すでにかなりの規模がある。課題は、各ユーザーにもっとも適したものを提供することだ。まとまりはかなりあるし、さらなる細分化はいつでもできると我々は考えている」と、ボーゲル氏は語った。

Lucia Moses (原文 / 訳:ガリレオ)
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