ガーディアンも「タイムベース」の広告販売に参戦:CTR&CPM離れが進むパブリッシャー業界

英紙「ガーディアン(Guardian)」は、広告の視聴時間に基づく、はじめてのデジタル広告キャンペーンを展開しはじめた。

広告主は、100%の視聴が保証された10秒、15秒、20秒、30秒の時間枠で、「ガーディアン」のサイトの広告を購入できるようになった。顧客第1号は、英経済紙「エコノミスト(The Economist)」で、9月までキャンペーンを行う予定だ。

「ガーディアン」のコマーシャルディレクターであるニック・ヒューワット氏は、次のように語る。「これは、数少ない優れた広告戦略の一部であり、『すべてのアドインプレッションが同じわけではない』という我々の考えを発展させている。これは、1度限りの問題解決策ではない。顧客にもっと具体的な結果をもたらす継続的な目標の一環だ」。

同紙以外にも、英経済紙「フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)」や「エコノミスト」が、時間制で広告料金を請求している。インプレッション数に基づいて広告を購入しても効果的なキャンペーンになるとは限らず、まったく視聴されない広告に対して顧客が料金を支払うことにつながりかねない、という発想だ。

「ガーディアン」が覗かせる自信

近年、パブリッシャーの関心は、こうした新しい指標を見出す方向に向かっている。時間は、広告が読者の注意を引いたかどうかを判断する、新たな目安として有望視されているのだ。

別に驚くほどのことではないが、「フィナンシャル・タイムズ」と「エコノミスト」はいずれも、エンゲージメント時間が長いほど、広告の成果が高いことを発見した。「ガーディアン」について語るのは時期尚早だが、この方法なら顧客に付加価値を提供できると、ヒューワット氏は自信を持っている。

「我々は、CTRを業績の業界基準として利用している。だが、0.1%未満の測定基準は、成功と見なすべきではない。それは、長期的な成功やブランドの健全性、注目度の目安ではない」と、ヒューワット氏。ほかの広告主もこういう形でのキャンペーン実施に興味を抱いているとも述べたが、そうした広告主の名前を挙げようとはしなかった。

広告主としての「エコノミスト」

「ガーディアン」に今回掲載された広告は、2014年から実施されている「エコノミスト」の「ライジング・アイブロウズ・アンド・サブスクリプション(raising eyebrows and subscriptions)」キャンペーンの一環だ。これまでに、たびたび効果を称賛されてきたこのキャンペーンは、2016年6月までに520万回のクリックと6万4000人の新規会員を生み出した。これは5170万ポンド(約68億円)の売り上げに相当する。

2014年から実施されている「エコノミスト」のキャンペーン

「エコノミスト」はその間に、成果基準を明確に定めたメディア購入のテスト方法を考え出した。メディアにかける資金を最大限に生かすために、ビューアビリティ(可視性)やCTR、インプレッションに基づく広告購入をテストしてきたのだ。ビューアビリティに基づいて購入したキャンペーンが、その基準を超えたら、支出額を変更することになる。

「エコノミスト」のデジタルメディアおよびコンテンツ戦略担当シニアバイスプレジデントを務めるマーク・ベアード氏は、次のように語る。「大きな炎を得られる場所を確認するために、多くの小さな火をつけているところだ。エンゲージメントに基づいて購入する必要があり、時間はエンゲージメントの代替指標となる可能性がある。だから、タイムベースの購入は役に立つテストだ」。

広告主をいかに説得するか

「マーケターは、キャンペーンの目的に合ったメディアを購入するときに、最高の仕事をする。そこで、メディア購入の基準をキャンペーンの成果と同じにしようとしている」と、「エコノミスト」のベアード氏は付け加える。「たとえば、人々は、広告をクリックして高級ハンドバッグを買ったりしない。そうした需要があれば、より多くのパブリッシャーが対応するだろうし、人々がこういう形で購入したいと考えていることを確認できる」。

タイムベースでの広告販売は、いい考えのように思えるかもしれないが、より多くの広告主を説得して、CTRやインプレッションという枠組みを超えさせるのは、依然として困難な取り組みだ。「パブリッシャーは、啓蒙活動も行う必要があるかもしれない。タイムベース購入のほうが、ブランドにとって支出効率のいい方法であるなら、そうしたメッセージを届けなければならないだろう。マーケターには最先端を行く責任がある」。

Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)