チャットボット、英新聞社が2カ月のテストで学んだこと:「シンプルにすること」が教訓

ここ2カ月間、ガーディアンはFacebookメッセンジャーボット「スーシェフ(Sous-chef:副料理長)」を試している。これは冷蔵庫の中身に応じて、献立を提案してくれるボットだ。このトライアルを通して学んだことを活かして、ガーディアンは新しいニュースボットを8月末にローンチした。

アクティブユーザー数がどれくらいかデータを得るにはまだ早すぎるものの、ガーディアンはFacebook上に620万人のフォロワーを擁し、その全員がアクセス出来る状態になっている。

米DIGIDAYは、ガーディアンのソーシャルニューフォーマットエディターであるマーティン・ベラム氏と、グループプロダクトマネージャーのクリス・ウィルク氏にインタビューを行い、彼らがこれまでに学んだことについて教えてもらった。

160911gardianbot1

「スーシェフ」の画面

シンプルにする

彼らのボットのセットアップはとてもシンプルだ。「鮭」といった具体的な材料名や料理の種類、食事制限、具体的な料理名などを入力するだけで利用できる。ボットはガーディアンのアーカイブからレシピを見つけて回答。もちろん、ただ機械的にレシピを伝えるだけではなく、ウィットに富んだ言葉遣いとなっている。

ボットのよくある難点は、人間が発する自然な言葉使いやスペルミスに対応できないことだ。英語では「Yeah」や「Yummy」の代わりに「yeh」「Yum」と打つことがある。こうした単語は人間ならすぐに理解できるが、ボットにはそれが認識できない。そのためガーディアンは、自然に言語処理できるWit.aiを利用し、より多様な言葉遣いに対応できるようにしたという。

多くの人は、ボットに対しても、人間同様に話しかける。そして人間らしくない回答が返って来ると、ボットを使うのを止めてしまうユーザーは多い、とウィルク氏は語る。そこでガーディアンはまったく逆のアプローチを取った。完全なシンプルさでもって、アプローチすることにしたという。ウィルク氏によると「いろいろな事ができると思わせて、人々に期待を持たせてしまうことはしない。シンプルにすること」が、教訓となっているようだ。

160911gardianbot2

通知時間を設定する画面

速報ではなく時間ごとに通知を送る

CNNを含め、多くのニュースボットは、重要なニュースが発生したときに、速報として通知を送ってくるシステムを採用している。しかしガーディアンのニュースボットは違う。彼らのボットは毎日定刻に通知を送ることで、ニュースを読む習慣を作りやすく設定してあるという。ユーザーが毎日朝6時にニュースを通知して欲しいと設定すれば、毎日朝6時にその日のニュースが届くのだ。

通知の時刻が設定されると、ガーディアンのホームページでトップになっている5つのメインニュースを通知。ボットは現在、英国でのみ試験運用されているが、ユーザーが異なるタイムゾーンに旅行した場合、ニュース通知は当然、その土地のタイムゾーンに修正される。

トーンの重要性

他社のプラットフォーム上でプロダクトを届ける場合、パブリッシャーは自社のトーンを作りあげるのに気を使う必要がある。でないと、どのサービスが情報を送ってきたのか、ユーザーが忘れてしまうからだ。それを自動化されたボットで達成するのは非常に難しい。文体がロボット的すぎたり、カジュアルすぎるとユーザーは嫌がってしまう。ガーディアンが採用したのは「丁寧」さのトーンだ。

ボットはあくまでもボットらしくあるべき

「スーシェフ」を内部でテストしたときに、ガーディアンはもしもボットの回答がものすごく人間的であったらユーザーはどう反応するのか確かめたいと思った。それを達成する技術はなかったため、ガーディアン内のエンジニアやUXの専門家を使って、実際に人間の手で質問に回答することを試したという。

その結果分かったのは、完全に人間らしさを達成したボットを人々が受け入れるには、まだ時間がかかるということだった。「ボットがあまりにも形式張っていたりロボット的であると退屈で、人々は使おうとしない。しかしボットの人間らしさがあまりにも高いとユーザーはかえって気味悪がってしまうのだ」とウィルク氏は語った。

Jessica Davies(原文 / 訳:塚本 紺)
Image from Thinkstock / Getty Images