Facebook、ドイツ総選挙に向け パブリッシャーと協調:急がれる偽ニュース対策

偽ニュース対策のツールを試す場所として、Facebookはアメリカの次にドイツを選んだ。しかし、どのように取り組まれるのか詳細については、まだ知られていない。パブリッシャーたちは緊張しながら、ソーシャルメディアの巨人の一挙手一投足に注目している状態だ。

Facebookを使っているユーザーは、何か怪しいニュース記事を見つけたら、それにフラグ付けしてレポートすることができる。その記事は、第三者の事実確認団体であるコレクティブ(Correctiv)に転送される。もしも、記事が信頼できないと判断された場合、ニュースフィード上での優先度が下げられる。ユーザーは、そのポストをシェアすることは、まだできる状態だ。しかし、シェアしようとすると記事の内容が反証されている旨が警告される。

Facebookは、偽ニュース記事の脇でプログラマティックな広告を配信することで収益を得ている人物や団体についても締め上げようとしている。こういった追加機能は、アメリカで12月に発表された。

リソースは十分ではない

「まだ最初の第一歩だけれど、進んでいることは感謝されている。しかしちょっと遅い」と語るのは、ドイツの雑誌出版社グルーナー+ジャー(Gruner+Jahr)のマネージング・ディレクター、オリバー・ヴォン・ワーシュ氏だ。

Facebookは問題解決に全力で取り組んでいるように見える。偽ニュース対策のために、ヨーロッパ中でメディアとミーティングを重ねているようだ。しかし、こういった取り組みは、この問題について関心がある組織のいくつかを逃しているようだ。

「Facebookのニュース責任者に弊社の編集者たちと会ってもらって、いかにFacebookの配信チャンネルが改善できるか話し合えたら非常に嬉しい。さらに、それをプラットフォームに反映できたら素晴らしい。これは前例が無い。パブリッシャーとの対話には(Facebookは)十分なリソースを割くことはできていない」と、ヴォン・ワーシュ氏は言う。

Facebookはまた、インスタント記事を改善するためにパブリッシャーと密なコミュニケーションを取っている。先週、いくつかのメディア企業に対して、ひとつのポスト内で複数の記事をパブリッシュする機能が追加された。これによって、ニュースがちゃんとした情報源から発せられていると、読者が認識できるようにするのが目標だ。

検閲のリスクは不要

ジャーナリズム関連のプロジェクト、インスタント記事機能のアップデート、そしてミッドロールビデオ広告といった動きが、Facebookから立て続けに発表されていることに、パブリッシャーは懸念も示している。プレッシャーがかかったことで、大急ぎで仕上げた対策なのではないかという見方だ。

「プレッシャーによって、短期的な計画のもと開発されたように感じる。何カ月もかけて開発されたようには見えない。私たちが真剣な対話をもてば、問題は解決できる。しかしその場合は、パブリッシャーはFacebookのパートナーという立場で参加となるだろう、そうやって問題は解決される。Facebookが自社のエディトリアルのソリューションを作り上げるというのではなくだ。そうなったら最悪の結果だ」と、ヴォン・ワーシュ氏は語る。

ヴォン・ワーシュ氏が抱えた印象は、珍しい物ではない。「コンテンツはユーザーによって作られる。もしもユーザーが違法な物を拡散していた場合、Facebookはそれを削除しなくてはいけないが、ユーザーのコンテンツを抑制する必要はない」と、アクセル・シュプリンガー(Axel Springer)でチーフを務めるマシアス・ドップフナー氏は、ミュンヘンで開催されたDLDパブリッシング・カンファレンスで語った。

「独ワイヤード(Wired Germany)では、Facebook上の投稿に透明性を加えるという考えが、とても歓迎されている。情報を増やすことで、ユーザーが何を信頼して何を疑うか、より賢明な判断を促すことができる。この判断は会社そのものに委ねられるべきではない。なぜならこれは、Facebookのコミュニケーションに関するコアバリューと矛盾するし、検閲のリスクを生み出すからだ」と、独ワイヤードのバイス・エディター・イン・チーフを務めるドメニカ・アールリッヒ氏も同意している。

パートナーシップが重要

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Facebookの偽ニュースをレポートする新機能

今後どのように進展していくのかも不明瞭だ。非営利組織で少人数のジャーナリストによるコレクティブが、何千件にもなり得る偽ニュースのレポートをどうやって処理していくのかは明確ではない。

「Facebookが提示してきた最初の一歩としては良いものだ。その一方で、問題をアウトソースすることはできない。Facebookは政治家やメディアとより広い、普遍的な範囲で真剣に協力する必要がある」と、ニュースパブリッシャーのコルナー・スタッド・アンツァイガー(Kölner Stadt-Anzeiger)のシニア・エディタ、クリスティーン・バッドキー氏は語る。

Facebookの広報担当は次のように回答している。

私たちのチームはメジャーなドイツのパブリッシャーたちと緊密な対話を続けてきており、非常に良いフィードバックを受け取っている。テストに登録したパートナーたちもここに含まれている。私たちは将来的には追加の第三者の事実確認グループともコミュニケーションをとっていけたらと考えている。メディアパートナーたちと継続的に対話を続け、彼らのフィードバックを重視し続けるつもりだ。

ドイツ政府も対抗姿勢

ドイツは偽ニュースに関して厳しい態度を取っている。12月には社会民主党の連邦議会議員団長トーマス・オッパーマンはFacebookといった企業に、偽ニュース拡散を防止するためのオフィスを設立すること、そしてプラットフォームが信頼性の薄い投稿を24時間以内に削除することができなければ50万ユーロ(約6100万円)の罰金を課すという計画を伝えた。つい数週間前にはハイコ・マース法相が、偽ニュースがドイツの対話文化を危機にさらしており、責任者は5年の懲役を科され得ると、発言している。

Lucinda Southern(原文 / 訳:塚本 紺)
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