デジタルTV広告の未来を示す5つのグラフ。2020年、YouTubeの主導権は奪われる?

テレビの未来は、従来のインフラに頼らない、インターネットによる番組配信を意味する「オーバー・ザ・トップ(OTT)」に向かっている。

アメリカにおいてケーブルテレビの解約を意味する「コードカッティング(コード切り)」が深刻化するなか、Netflix、HuluなどOTTの有料動画配信サービスが急速に成長した。その流れに乗り遅れないようとする、古参の動画コンテンツ事業者によるOTT参入も相次いでいるという。

YouTubeに取って代わるOTT番組

現在、オンライン動画広告で圧倒的な地位を占めているのは、YouTubeなどのショートフォーム(短い)コンテンツのプロバイダーだ。しかし、この状況はあまり長く続かないとの見方がある。メディア調査会社ディフュージョングループの報告書「OTTテレビ広告の未来、2014~2020年」によると、YouTubeなどはいずれ、OTT対応のコネクテッドデバイスを通じて、テレビ番組を配信する企業に主導権を奪われることになるという。

こうしたOTT番組の多くは、AMCのドラマ『ウォーキング・デッド』やESPNのスポーツ情報番組『スポーツセンター』など、従来のテレビ番組と同じロングフォーム(長い)コンテンツが多い。視聴するには、デジタル測定や広告配信が可能な「Apple TV」や「Chromecast」、「Roku」などのコネクテッドデバイスを利用しなくてはならない。

いまだ過小評価されるOTT番組の広告枠

ディフュージョングループ社のシニアアナリストで、報告書を執筆したアラン・ウォーク氏は、次のように述べている。

「現時点でOTT広告はまだ、YouTubeのような動画サービスサイト上の広告と同列に扱われている。2020年頃までには、OTT配信番組と従来のテレビ番組の間に広告売買の区別はなくなるだろう。仮に私がクラフト(米食品大手クラフトフーズ)のマーケターだとして、ABCのテレビシリーズ『スキャンダル』を観ている18~25歳の女性向けに広告枠を購入すれば、その広告はOTT、つまりセットトップボックスを通じて配信される。従来のテレビ番組の広告枠と一緒に売買されるはずだ」

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従来のテレビ広告の売上予測。今後3年で20%減となる予測。

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OTTのテレビ広告の売上予測。たった3年で3倍以上の伸びる。

現在のように、OTT広告をオンライン広告と見なすことは広告枠を過小評価することにつながるが、この分野の足かせになっている最大の要因は、測定の統一規格がないことだと、ウォーク氏は言う。

レントラック(Rentrak)やカンター(Kantar)など、さまざまな企業がOTT測定用の製品を提供しているが、業界の多くの企業は、ニールセンが2013年から取り組んでいるソリューションを待っている状態だ。このソリューションは2015年中にようやく公開されるとウォーク氏は予想しており、これによってOTT広告枠の価値が大幅に高まる可能性が高い。

ただし、ニールセンが何をしようとも、利益を生むのは何といっても視聴者だ。人々がコネクテッドデバイスを利用してOTT番組を視聴する時間は、ますます増えている。

継続的に増加する、OTT番組の視聴時間

2014年にアメリカの消費者がOTTコンテンツを視聴した時間は、1週間に平均3.6時間だった。ディフュージョングループ社の報告書の予測では、この数字は2015年中に2倍近く増えて6.9時間となり、2020年まで毎年着実に増えていくという。

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1週間におけるOTTの視聴時間平均。2020年まで継続的に伸びると予測されている

ソファに座って、実際のテレビで番組を観ているとき、人々はより長いコンテンツを視聴する傾向がある。動画に関するソリューションを提供する会社フリーホイールが、先ごろ公開した動画の収益化に関する報告書によると、OTT広告の視聴回数のうち91%は、20分を超えるコンテンツ(または20分より長いものが多いライブコンテンツ)において視聴されている。

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コンテンツの長さにおける広告試聴の割合。深緑=20分以内、黄緑=20分以上。

ディフュージョングループ社のウォーク氏の分析によると、OTTプラットフォームおよびチャネル全体を見た場合、標準的な30分番組において配信される動画広告は、2014年の平均3.2分から2020年には平均5.2分に増えるという。視聴時間の増加や、OTT広告の測定方法とターゲティング技術の進歩は、OTT広告が今後数年にわたって売上を大幅に伸ばす助けになるはずだ。

さらに、コムキャストやタイム・ワーナーケーブルなどのマルチプラットフォームの動画プロバイダーも、テレビ番組のネット配信サービス「TV Everywhere」を消費者へ積極的に売り込んでいるという。そのため、この分野において、今後2年間は成長ペースが特に著しいと、ウォーク氏は予測している。

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2020年までのOTT広告の成長率予測。鈍化はするものの確実に成長は続く

Eric Blattberg(原文 / 訳:ガリレオ)
photo by Thinkstock / Getty Images

<参考サイト>
KDDI総研「Over-The-Top-Video(OTT-V)」