Facebookを駆使しまくる、米地方局Fox 32の手腕:エンゲージメントがトップに

地方のニュースパブリッシャーが、報道内容をいつでも地元の話題に限る必要はない。Facebookでは、広い視点で考えたほうが良い結果を得られる。シカゴのローカル局Fox 32は9月、Facebookでエンゲージメントが高いニュースパブリッシャーランキングの1位に輝いた。躍進の理由は、ローカルニュースと全国ニュースを織り交ぜて報道していくことで、ユーザー1人あたり平均で3.16件の「いいね」やコメント、シェアを獲得したことにある。調査会社ニュースウィップ(NewsWhip)のレポートでわかった。

Fox 32は、FOXニュース(Fox News)、デイリー・メール(Daily Mail)、ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)など同ランキング2位以下の大手パブリッシャーの多くとは、ほとんど共通点を持たない。Fox 32がFacebookで獲得しているフォロワーは130万人。BBCニュース(BBC News)の4400万人に比べると、ごくわずかだ。また報道チームの規模の点でもFox 32は、数百人ものスタッフを擁するデイリー・メールとは比べものにならない。

だがFox 32はいま、Facebookをオーディエンスと収益の重要な獲得源にしているほど、洗練された方法で利用している。Fox 32のサイトのトラフィックのうち、平均で約80%がソーシャルメディアからの参照であり、そのほとんどはFacebookを経由しているという。Fox 32のシニアWebプロデューサー、アダム・ジェリニスキー氏が明らかにした。

系列局との連携

「過去6、7年間、全社的な取り組みを続けてきた結果だ」と、ジェリニスキー氏は語る。

Fox 32によるFacebookの投稿件数は1日平均40~50件、およそ半数が地元以外のトピックだという。つまり、ホワイトハウスの記者会見からロサンゼルスでのカーチェイスまで、あらゆる話題を扱っているということだ。Facebookなどのソーシャルチャンネルに記事を投稿する業務は、フルタイムのWebプロデューサー2人とジェリニスキー氏が担当している。

ソーシャルプラットフォームでシェアするためのコンテンツを探す取り組みは、全社的に行われてきた。ジェリニスキー氏によると、営業チームや番組出演者から、米国各地にあるほかのFOX系列局のデジタルプロデューサーまで、あらゆる人が情報をくれるという。ほかの系列局とは、メッセージアプリの「Slack(スラック)」でやり取りをしている。

ツールを積極活用

ジェリニスキー氏と担当者はまた、さまざまなサードパーティ製ツールを活用。たとえば、クラウドタングル(CrowdTangle)やシェア・ロケット(Share Rocket)でトレンドの話題をキャッチし、さらに、バンジョー(Banjo)やフレスコ・ニュース(Fresco News)でユーザーが制作した興味深い動画をチェックしている。ある系列局のライブ動画が優れたパフォーマンスを発揮すると、ほかの系列局もその動画が自社のオーディエンスに合っている場合には、Facebookでシェアするという。

Facebookのインスタント記事は、マネタイズの面で期待はずれだったというパブリッシャーもあるが、Fox 32にとっては大いに役立っている。ジェリニスキー氏によると、同社はおよそ1年前からさまざまな記事をインスタント記事で公開しはじめたという。同社は最近、17の市場にて28局中最高のデジタル収益を獲得したことを、FOX系列局のデジタルプロデューサーとの電話会議で明らかにした。

「インスタント記事は、Facebookの望ましいユーザー獲得手段だ。そう認識することで、我々は大きな成功を収めた」と、ジェリニスキー氏は述べた。

ライブ動画やアプリも

Fox 32はさらに、ライブ動画の可能性を強く信じている。1日に4~10回はライブ動画の形式で、天気予報から交通情報までのさまざまなニュースを、ヘリコプターからストリーミング配信している。

このようにFacebookを大いに活用しているFox 32だが、ジェリニスキー氏によると、オーディエンスにコンテンツを提供する手段が偏らないように最善を尽くしているという。同社はこの半年間、Facebookのコールトゥアクションボタンを利用して自社のモバイルアプリを宣伝してきた。ジェリニスキー氏は、アプリのダウンロード数を明らかにしなかったが、毎月伸びていると語った。

「大量のコンテンツがこうしたプラットフォームに流れていることは、ソーシャルメディアやパブリッシャーにとって大きな課題のひとつだ」と同氏は述べた。

Max Willens(原文 / 訳:ガリレオ)
Image courtesy of Fox 32 Chicago Facebook page