米人気料理番組、ミレニアル世代向けに新フードメディア:「少ない予算でも気軽に作れるものを」

フードメディアであるフードネットワーク(Food Network)の親会社スクリップス・ネットワークス・インタラクティブ(Scripps Networks Interactive)は、従来のテレビ番組に関心の薄い若年層の視聴者向けに、新たなメディアを展開しようとしている。

HGTVやトラベル・チャンネル(Travel Channel)などのメディアも有する同社は9月に、20代から30代前半の視聴者を対象とした料理動画「ジーニアス・キッチン(Genius Kitchen)」を立ち上げた。フードネットワーク(Food Network)のケーブルチャンネルの番組時間は、約30分~1時間。一方、ジーニアス・キッチンは、Webサイトや主要なモバイル端末に対応したアプリ、コネクテッドTV、FacebookやYouTubeでの配信を予定しており、従来とは異なる方法で番組を提供し、若年層へのリーチを目指す。

スクリプス・ライフスタイル・スタジオ(Scripps Lifestyle Studios)のゼネラルマネージャーであるヴィッキ・ニール氏は、「フードネットワークは料理番組として人気のあるメディアだ。だが、まだこの分野で手が届いてない部分は大きい。日々何本制作しても、フードネットワークのコンテンツだけでは、すべての視聴者にリーチすることはできないと気づいた」。

短尺でエンタメ感

同氏によると、ジーニアス・キッチンは「人々による人々のための」というコンセプトからコンテンツ作りがはじまった。その結果、料理対決のようなリアリティショーや有名シェフが司会を務めるような長編番組ではなく、よりおもしろくて、視聴者が実際に作りたくなるような短編または中編の番組を制作する。たとえば、料理関連の最新トレンドやニュースを扱うトークショー「GK Now」や、グルメオタクで知られるコートニー・ラダ氏がおいしい肉料理と料理人を探して米国中を旅する「カーニバラス(Carnivorous)」のような番組だ。

ジーニアス・キッチンは先月、150時間分を超えるコンテンツを用意してスタートした。これらのコンテンツの大半は、スクリプス・ライフスタイル・スタジオ(スクリプス・ネットワークが自社メディア向けにデジタル番組を内製する目的で2年前に設立した)で制作された。ジーニアス・キッチンの制作には、同スタジオの20名が携わっているほか、「GK Now」を制作するスペースステーション(Spacestation)などの制作会社とも組んでいる。

また、同社はBBCの料理番組「シンプリー・ナイジェリア(Simply Nigella)」や「デリシャス・ミス・ダール(The Delicious Miss Dahl.)」など国際的な番組に対して、米国での配信権もライセンス供与している。

視聴者の半分がミレニアル

スクリプス・ネットワークはジーニアス・キッチンの配信開始から1カ月が過ぎ、視聴者の約半分がミレニアル世代としている。頭蓋骨の形をしたピザ(pizza skulls)の作り方を紹介した動画など、一部の動画はFacebook上でバズった。

また、同社は今年、18~24歳の大学生や新卒者を対象としたフードメディアであるスプーン・ユニバーシティ(Spoon University)を買収。スプーンのコンテンツ制作には、スクリプス・ライフスタイル・スタジオのスタッフ30人が関わっており、1日1本以上の動画制作を目指している。それ以上に、300近くの大学キャンパスによる1万1000人の投稿者ネットワークから、レシピや写真、動画などの関連コンテンツが提供されていることが大きい。

「マカロンやヌテラ(Nutella)・ショット、ジャムやピーナッツバターの人気ブランドであるスマッカーズ(Smucker’s)のお菓子やオレオ(Oreo)を手作りしようとしている。少ない予算でも自分や友達のために作れるものを料理するようになってきた」と、ニール氏は若者の料理トレンドについて話す。スプーンの視聴者の約半分は18~24歳で、ミレニアル世代が全体の4分の3を占めるという。

3つの番組でコラボも

一方、フードネットワークもデジタルプラットフォームをうまく活用している。同番組の視聴者の半数以上が25~44歳の年代であるにも関わらず、9月のフォロワー数は2610万人で、Facebookでの動画視聴回数は8億1860万回だったという(チューブラー・ラボの月間動画ランキングを見ると、Facebook上では、フードネットワークの方が BuzzFeedの「テイスティ(Tasty)」より順位が高かった)。

スクリプス・ネットワークでは、Facebookの「Watch」やSnapchatの「ディスカバー(Discover)」向けの番組も含めて、フードネットワークの方も充実させていきたいとしている。フードネットワーク、ジーニアス・キッチン、そしてスプーン・ユニバーシティはそれぞれ成長すれば、この3つのメディア間での連携も期待できるとニール氏は言う。

「フードネットワークは3つのメディアのなかではもっとも規模が大きいことに変わりはない。だが視聴者はジーニアス・キッチンやスプーンなど違うメディアを見たり、また自分がもっとも好きな番組をより多くの時間を費やすようになるだろう」。

Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)