平均32%も減った、主要メディアの「Facebook流入」:いまニュースフィードでなにが起きているのか?

主要パブリッシャーにおいて、Facebookからのトラフィックが激減している。

調査企業シンプルリーチ(SimpleReach)の報告によれば、Facebookへの依存度が高い上位30パブリッシャーにおいて、同サービスからの参照トラフィック(デスクトップとモバイル)が、2015年1〜10月で32%減少した。上位10パブリッシャーに関しては、より影響が濃くなり、42.7%も減少したという。

アクセス解析サービス「SimilarWeb」でも同じ結果が出た。上位50社では「ハフィントンポスト」は2015年第1四半期~第3四半期にかけて、Facebookからのトラフィックは60.1%落ち込んだ。「Foxニュース」は48.2%、「BuzzFeed」は40.8%の減少だという。

上位50社へのトラフィックがもっとも減ったのは1月から2月にかけて。平均して75%も落ち込んだ。3月から4月にかけても、落ち込みが顕著だった。ちなみに「SimilarWeb」の集計はデスクトップのみ。モバイルからのトラフィックが50%近いパブリッシャーにとっては、全容を語っていることにはならない。だが、デスクトップからの売上が大きな部分を占めるパブリッシャーがいまもほとんどのため、重要な問題だ。

少ないながら、例外はある。女性向けメディア「リファイナリー(Refinery)29」では、第1四半期~第3四半期にかけて、27.3%伸びた。エッジカルチャーメディア「Vice」も同時期に8.3%伸びた。

「Instant Articles」が生態系に与える影響

トラフィックが急下降した原因を的確に指摘するのは難しい。この問題に関して公に話せるパブリッシャーは見つけづらいのだ。Facebook側もトラフィック変動について、話題にしたがらないと媒体関係者は話している。

また、Facebookが実施しているトラフィックに影響を与えると考えて間違いない事柄と、パブリッシャーが単体で行った事柄とを分け隔てることも難しい。とある媒体がニュースフィードへ大量に投稿を行えば、結果に影響を与える可能性があるからだ。匿名で取材に応じたパブリッシャーによると、ユーザーはタイムラインで見かけた記事をテキストやメールでシェアするようになってきており、それがトラフィックに影響を与えている可能性もあるという。

Facebookはユーザーを自らの生態系(エコシステム)のなかに囲い込みたがる。またパブリッシャーにも、自身のニュースサービス「Instant Articles」や動画の形で、直接Facebookへ投稿することを奨励している。伝統的な投稿方法の「リンク」がニュースフィード上に現れることはめっきり減った。実のところ「Instant Articles」のほうが、ダイレクトリンクよりもシェアされやすいと、最近同社は明らかにしている。

奨励されるFacebookへの直接投稿

シンプルリーチや「SimilarWeb」などのデータは、深く依存しているパブリッシャーに「Facebook効果」が鈍りつつあると警鐘を鳴らしている。パブリッシャーへ「Instant Articles」内での広告による、収益源を提供しているものの、胴元はいつでもルールを変更できるからだ。「ネイティブ動画(直接Facebookへ投稿された動画)」の収益化の道筋は、はっきりしていない(2015年夏、Facebookはパブリッシャーが45%の売上を得られる動画広告を6社を対象にをテストした)。

業界筋によると、パブリッシャーは参照トラフィックの減少により、Facebookでのプロモーションに多額の資金を費やすようになっているようだ。「特定のパブリッシャーは(Facebook広告で)トラフィックを増やさざるを得なくなっている」と、「SimilarWeb」のコンテンツ部門長であるモーシェ・アクセンバーグ氏は分析している。「適応しなくてはならない。ほかに選択肢はないのだ」。

トラフィック減少の原因には、もうひとつ説がある。Facebookが最近実施したアルゴリズムの変更だ。これにより、パブリッシャーのコンテンツよりもユーザーのコンテンツの方が優先されるようになったという。11月第1週に行われた業績発表で同社は、ユーザーが消極的になっているので投稿を増やすよう働きかけている最中だと文書で述べている。

Facebook「媒体ごとにさまざまな結果」

業績発表の文書では、Facebookはパブリッシャーへのトラフィックが全体として落ちているとの考えを否定し、次のような声明を発表した。

「過去2年で、Facebookからパブリッシャーへの参照トラフィックは、ほぼすべてのジャンルで大幅に伸びている。この数カ月でも我々のサービスへ投稿される本数は引き続き増えており、呼応する形で1人当たりのユーザーに表示される可能性がある投稿数も増えている。つまり、リーチに大きな影響を与えているのだ。新しく競争の激しいSNSの世界では、パブリッシャーによって、さまざまな結果が出ていることは承知している。引き続き参照トラフィックが増えているパブリッシャーもあれば、減っているパブリッシャーもある。上位1000社では、1月と同じレベルを保っている」。

だが、このデータには「Instant Articles」は含まれていない。

ユーザー行動の変化、測定ツール追いつかず

「ハフィントンポスト」のジャレッド・グラスドCEOは、Facebookがパブリッシャーにとって参照トラフィックにおいて最重要だった時代は終わりつつある、と語った。Facebookが、Snapchat(スナップチャット)でもそうだが、アプリに直接コンテンツをアップロードするよう推奨したためだ。「パブリッシャーは参照トラフィックの優先順位を下げ始めた(これまで極めて高かった)」。

問題はオーディエンス測定ツールが、こうしたトレンドを把握できていないことだ。パブリッシャーは、完全に自分たちのオーディエンスを広告主への売り込みに活かせていない。

「多くのマーケターや企業が従来型の測定結果を見据えているというのは、やや時代遅れだ。方程式の片方しか見ていないのだから」とグラスド氏。「ただ、オーディエンスの拡大の可能性はまだある。データや収益は後から追いかけてくる。それでも、利益がない限り、パブリッシャーはエコシステム(生態系)を受け入れることはない。すべてのプラットフォームはそれを知っているだろう」。

Lucia Moses(原文 / 訳:南如水)
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