「偽ニュース対策は、モグラ叩きゲーム状態」:Facebook欧州メディア担当責任者

Facebookで欧州/中東/アフリカ地域担当のメディア・パートナーシップ・ディレクターを務めるパトリック・ウォーカー氏によると、同社は偽ニュース(フェイクニュース)の拡散を防ぐために、この2カ月間、欧州の7都市でメディア企業と会合を開いてきたという。

英国の報道番組制作会社ITNは1月11日、「エジンバラ国際TVフェスティバル」と提携して、ロンドンで討論会を主催した。ウォーカー氏はこの討論会で、Facebookはニュースのエコシステムにおける役割を「非常に真剣に」受け止めていると強調したが、業界全体での協力が必要だと付け加えた。「技術面から言えば、一度解き放たれた獣を元に戻すことはできないが、問題への対策を講じることはできるし、我々は現在、多くの対策を講じようとしている」。

そのために、Facebookは欧州の7都市でさまざまなメディア企業と会合を開いてきた。「先方の話に耳を傾けたり、協力したり、対策を見出そうとしたり、いろいろ取り組んでいる。容易に解決できる問題ではない。モグラ叩きゲームのようなものだ」とウォーカー氏は補足した。

Facebookはこの数カ月間、Googleと同様に、偽ニュースの拡散に果たした役割をめぐってかなりの批判を受けてきた。英国の放送局、チャンネル4のニュース番組「チャンネル4ニュース(Channel 4 News)」の総合司会者ジョン・スノー氏がホストを務める公開討論会中も、偽ニュース拡散に関する質問から逃れられなかった。

本記事では、討論のポイントをいくつか紹介する。

Facebookの偽ニュース対策

ウォーカー氏は、プラットフォーム上における偽ニュースの流れを止めるためにFacebookが現在取り組んでいることをいくつか大まかに説明した。

たとえば、スノープス(Snopes)やポリティファクト(Politifact)、AP通信のようなサードパーティのファクトチェッカーとの提携、偽ニュースへのフラグ表示などだ。「いまは米国でしか実施していないが、海外にも広げていく」と同氏は言う。欧州ではどういう形でこれを展開し、パートナーと協力していくのか、今後数週間以内に計画が発表される予定だ。

偽情報であることを示すフラグが記事に表示されていたら、Facebookは記事の優先度を下げ、記事に広告を掲載したり、記事を広告化してFacebookで宣伝したりできないようにする、とウォーカー氏は述べる。「こうした偽情報は、金目当てで多くの手間を掛けて流されていると考え、利益が生まれるところを追跡している。以前であれば、もっとうまくやれたはずのことなのは確かだ」と指摘した。

個人や組織が偽サイトを開設したり、正当なニュースソースを装ったりしていないのを確認することも、Facebookが疑わしいソースの広告履歴をチェックすることと並ぶ優先事項だ。

悪用・誤用される言葉「偽ニュース」

偽ニュースにはさまざまな種類があるが、CNNの番組「リライアブル・ ソース(Reliable Sources)」の司会者兼パネリストであるブライアン・ステルター氏によると、「偽ニュース」という言葉が間違った意味で使われはじめているという。

「特定の勢力に偏した人たちによって悪用・誤用され、再定義されてきた。たとえば、米次期大統領のドナルド・トランプ氏が、ロシアに関する最新のレポートを偽ニュース呼ばわりした。この言葉が再定義されるのを目の当たりにしているのだ」。

さらにステルター氏は、米老舗日刊紙「ワシントン・ポスト(The Washington Post)」のコラムニストであるマーガレット・サリバン氏が最近、そうした理由から「偽ニュース」という言葉をまったく使わないよう提案していると説明。「サリバン氏の言っていることは恐らく正しい」とステルター氏は言い添えた。

3つに分類される偽ニュース

欧州諸国、そのなかでも国政選挙が今年行われるドイツ、フランス、イタリアの3カ国は、偽ニュースを垂れ流すサイトやSNSへの投稿の多さでは、米国にまだ及ばない。だが、完全にデマで、意図的に騙すつもりで書かれた投稿数は増えている。

バイラルメディアBuzzFeedの政治担当編集者であるジム・ウォーターソン氏によると、英国では、違うタイプの偽ニュースが注目を集めているという。「英国では、完全にデマのニュースがバイラルで広がることはめったにない」。

英国で広がるのはむしろ、真実をわずかに含むが、政治的な情報操作で真実を膨らませて偽りの内容にしていたり、読者向けに大衆受けするように文脈を完全に無視していたりする、特定政党に過度に肩入れするサイトが書いた記事だという。

それに、そういったものの多くは、タブロイド文化の一部だ。「英国の特定政党に過度に肩入れするニュース業界はすでに、うまく浸透しており、英国内で口コミで広がるものはたいてい、2番目のタイプの偽ニュースに分類される。こうしたものに対して、断固たる措置を執るのは難しい」とウォーターソン氏は説明した。偽ニュース記事がバイラルで広がる大きな力となっている3つの要因について言えば、傾向として、「イスラム恐怖症(Islamophobia)」のようなトピックや、主流メディアが暴露していないあらゆるネタ、英国のEU離脱(ブレグジット)関連ネタが中心だ。

ステルター氏自身は、以前に偽ニュースを3種類に分類している。完全なデマ、真実をわずかに含んだ偽のニュース、文脈を無視した画像や情報の断片を取り込み、特定政党に肩入れするコミュニティが拡散した偽ニュースの3種類だ。同氏の見立てでは、BuzzFeedのウォーターソン氏が述べる英国スタイルの偽ニュースの方が、洗練されているので危険だという。

Jessica Davies(原文 / 訳:ガリレオ)
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