BuzzFeed、CNN、NYTの「勝ち組スパイラル」を検証:なぜ大手プラットフォームから寵愛されるのか?

すべてのパブリッシャーが平等に扱われるわけではない。とりわけ、デジタルメディア界に君臨する新たなプラットフォームのもとでは。

ごくわずかなの大手パブリッシャーが、プラットフォームの「特別パス」のようなものを手にしている。彼らは新機能の開発とテストに協力を求められ、そのローンチに最初から対応することになるため、先行者利益により多くの時間を確保できるのだ。

明らかにプラットフォームの寵愛を受けているのは、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)、CNN、BuzzFeedの3社だろう。彼らは、Facebookの「インスタント記事(Instant Articles)」や、Googleの「AMP(Accelerated Mobile Pages)」、Snapchatの 「ディスカバー(Discover)」など、さまざまな大型機能のローンチに協力を求められるのが常だ。

報道によると、3社はまた、「ライブ動画」の制作でFacebookからもっとも多くの資金提供を受けているという。いずれも、大規模なオーディエンスを抱え、毎月の直接トラフィックでトップクラスのニュース媒体であり、リソースに余裕がある。

「プラットフォームが3大パブリッシャーに頼るのは、彼らには規模があり、一定水準の質が伴い、割り当てるリソースがあるからだ」と説明するのは、メディア企業数社のコンサルティングを行う、ビビアン・シラー氏。同氏はこれまで、公共ラジオ局「NPR」、NBCニュース(NBC News)、Twitterなどでニュース担当幹部を務めてきた。「問題は、大きなカテゴリーを除外していること。つまり、ローカルメディアを除外しているのだ」。

一部のパブリッシャーは、ニューヨーク・タイムズならFacebookの方から相談されるのに、我々が電話をしても返事も来ないとぼやく。こうした話からは、ビッグ3がネットワークのアルゴリズムで優遇されているのではないかという疑念も浮かぶ。一方で、プラットフォームは実務的なことのみを行い、公平な場の提供に専心していると信じるパブリッシャーもいる。

本記事では、そんなビッグ3と大手プラットフォームの関わりを詳しく見ていこう。

BuzzFeed

バイラルニュースのパブリッシャーであるBuzzFeedは、報道によると、ライブ動画の制作でFacebookからもっとも高額の資金提供を受けており、その金額は310万ドル(約3億2000万円)だという。BuzzFeedは、Facebookのインスタント記事にいち早く取り組んだパブリッシャー9社に含まれており、GoogleがAMPをローンチした際のパートナーにもなった。

ほかのニュースサイトがコンテンツの直接投稿に遅れて参入し、どちらかといえば乗り気でなかったのに対し、BuzzFeedは分散型メディアを事業の中核に据えている。現在は30のプラットフォームに進出。動画の分野ではすでに強豪となり、メディア資産の動画視聴数やエンゲージメントでは上位の常連だ。Facebookにとっては、資金を提供する格好の対象となっている。それに加え、どんなコンテンツがバイラルで広がるのかを熟知していることもあり、ほかのパブリッシャーよりも有利なスタートを切っている(BuzzFeedはコメントを断わった)。

CNN

CNNは、複数のプラットフォームに相当規模のリソースを投じてきた。プラットフォームと定期的に連絡を取る約25人の中核メンバーがいて、さらに大勢が不定期にプラットフォームとやりとりをしている。プラットフォーム向けのジャーナリズムを創造するという点で、CNNはあらゆる手段を試してきた。ミトラ・カリタ氏が率いる分散型コンテンツのチームは、現在十数人だが、今後増強される。2000万ドル(約20億円)を投じるデジタル拡大戦略の一環として、200人以上を新たに雇ったのだ。

コロンビア大学ジャーナリズム大学院トウ・センター(Tow Center)の分析によると、CNNはプラットフォームへの投稿数で、ほかのトップパブリッシャーを上回っているという。CNNのこうした努力には見返りがある。

Snapchatのディスカバーには、ローンチの少なくとも6カ月前に着手したし、AppleとFacebookの構想についても協力している。CNNは、ライブ動画の制作のためにFacebookから提供されている資金が、BuzzFeedとニューヨーク・タイムズに次ぐ第3位だと報じられた。ほかに、Snapchatのディスカバーと、Facebookによる「Messenger(メッセンジャー)」のボット・プラットフォームについても、いち早くローンチした。

「世界中の人々にとってCNNが意味するものこそ、プラットフォームがぜひとも欲しいコンテンツの中核だ」と、CNNのグローバル編集長を務めるメレディス・アートレイ氏は語る。「ほかのメディア組織とは異なり、我々は動画中心で、真にグローバルであり、マルチスクリーンに対応する」。

ニューヨーク・タイムズ

ニューヨーク・タイムズは、まだ印刷中心のレガシーから脱却する途上であり、デジタル事業での不手際も多少は経験してきたかもしれない。トウ・センターによると、プラットフォームへの1週間の投稿数はCNNの半分だったという。それでもやはり、ニューヨーク・タイムズは世界中に知れわたっている最上位のジャーナリズムブランドだ。

ニューヨーク・タイムズは現在、動画の人員を増強しており、Facebookのライブ動画だけでも7人を割り当てている。報道によると、ライブ動画の制作ではFacebookから300万ドル(約3億円)を得ており、これはBuzzFeedに次ぐ2位だという。

ニューヨーク・タイムズは往々にして、プラットフォーム構想の早い段階で打診される。そのため、近く登場する機能を事前に目にすることになり、プラットフォームのビジネスモデルに影響を及ぼす場合もあると、プロダクトおよびテクノロジー担当エグゼクティブバイスプレジデントのキンゼイ・ウィルソン氏は話す。

Facebookにとって、ニューヨーク・タイムズはインスタント記事のより柔軟な収益化を要求したパブリッシャーのひとつであり、結局、Facebookはこれを許容した。ニューヨーク・タイムズはまた、GoogleがAMPを開発する際にも毎日連絡を取り合い、AMPがパブリッシャーのビジネスニーズに応えるものになるよう協力した。おそらくこれは当時、ニューヨーク・タイムズにとって大手プラットフォームとのもっとも緊密な業務提携だった。

「この件の報道において的外れなのは、道筋が定まっていると決めてかかる傾向があることだ。実際には、取るべき方向を話し合い、状況に合わせながら前進する要素がはるかに大きい」と、ウィルソン氏は語る。「我々は、毎回ではないにせよ、たびたびそうした早期の実験を打診される。事業の利害に支障なく可能な範囲なら、そのように早期に接触されるのは、通常は概して良いことであり、プラットフォームが進む方向に影響を及ぼす機会もある」。

Lucia Moses (原文 / 訳:ガリレオ)