Facebookライブの夢破れ、Twitter回帰する媒体社たち

Facebookのライブ動画に期待をして失望したパブリッシャーは多い。その一方、Twitterのライブに、いくつかのパブリッシャーたちは期待を膨らませている。

これまでライブビデオへ積極的に取り組んできたTwitter。種々のイベントのライブストリーミングを行ってきたし、ブルームバーグ・メディア(bloomberg Media)との協働でストリーミングビデオサービスも発表した。これは、BuzzFeed、Vox Media所有のヴァージ(The Verge)、そしてWNBA(Women’s National Basketball Association:女子プロバスケットボールリーグ)といったコンテンツクリエーターたちによる、エンターテイメント、スポーツ、ニュースのライブ番組に追加される形だ。

Twitterライブのメリット

なかでもヴァージは多くのライブを行っている。最近も新しいライブ番組である「サーキット・ブレーカー(Circuit Breaker)」をTwitter上でローンチさせた。ヴァージは、Twitterのライブにフォーカスを当てると同時に、Facebookのライブ動画を縮小している。Facebookでは、かつて1週間に4回、ライブ動画の配信を行なっていた。

「今年は、Twitterは非常に大きなフォーカスを(ライブビデオに)置いているように思われる」と、ヴァージのエディトリアルディレクターであるヘレン・ハヴラック氏は述べる。

ハヴラック氏によると、Twitterにおけるライブ番組のメリットは、次のようなものだ。各回60分から90分ほどの長さの「サーキット・ブレーカー」が配信されると、全編がいくつかのクリップに切り分けられて、それぞれが独立してTwitter上でパブリッシュされる。これは「Facebookでは簡単にはできない」と、彼女は述べた。これらの短尺ビデオはプレロール効果によってマネタイズされる。これもまたFacebookにはないものだ。Twitterのライブは、まだ飽和状態には達していないため、新しい番組はTwitter上で良いプロモーションを獲得している。その一方、Facebookではライブ動画を特にプッシュすることを止めているようだ。

マネタイズ面でも期待大

しかし、究極的には収益が出ているかどうかが問題となる。Twitterはこの点でも結果を出している。Twitterとの収益のシェア配分は、コンテンツクリエーターによって異なる。だが、ブルームバーグ・メディアのデジタル部門グローバル責任者であるスコット・ヘイヴンズ氏は、ほかのプラットフォームに比べてTwitterのマネタイズアプローチは好ましいと考えている。

Twitterは共同セールス以外にも、セールスすべてをブルームバーグにやらせるというオプションを与えている。そのためクリエーターたちはセールスのプロセス、そして収益の結果に対して、より大きなコントロールを持てるのだ(ヘイヴンズ氏はFacebookについて言及しなかったが、このアプローチは、Facebookとは対照的だ。Facebookは費用をカバーし、広告セールスをパブリッシャーとシェアしているが、実現しているセールスはそれほど多くない)。

「Twitterはスケールとプラットフォームを持っている。パブリッシャーはコンテンツとブランドの信頼を持っている。これは良い結婚だ」と、ヘイヴンズ氏は語った。

ライブビデオ分野において、Twitterはまだまだ新参者といえる。Twitterにおけるライブのオーディエンスが、どれほどの規模で存在しているか断言するには、まだ時期尚早だ。効果的な広告レートがどのようなものになるのか、予測するのもまだ難しい。BuzzFeedのTwitterにおけるライブ番組「AMからDM(Am to DM)」(9月25日ローンチ)は、それぞれ100万ユニークビューを平均で得ている。クリップのビューを合計すると1000万回となる。

批判もないわけではない

テレビのような広告マネーを求めて、ハイクオリティのビデオコンテンツを求めているのは、どのプラットフォームも同様である。FacebookやGoogleよりもオーディエンスという面で規模が小さく、ユーザーベースも停滞しているTwitterは、なおさらほかのプラットフォームよりも魅力的になれるような戦略が必要だ。

ガーションメディア(GershonMedia)のプレジデントであるバーナード・ガーション氏によると、「Facebookのアプローチは『我々のやり方でやる』というもの」だそうだ。ガーションメディアはパブリッシャー向けコンサルティング会社だ。その一方でTwitterは2016年、彼らのアンプリファイプログラム(Amplify program)を通じて投稿されたビデオ広告の7割を、パブリッシャーがキープできるという仕組みを発表し、パブリッシャーに大きくアピールした。これはYouTubeやFacebookの55%シェアと比べると、非常に大きい。

アンプリファイにも批判がないわけではない。それは予測のつかなさだ。「オリジナルのビデオをTwitterのオーディエンス全体に向けてシンジケートし、アンプリファイの広告を通じてマネタイズできる点は非常に気に入っているが、Twitterのなかに深く入ったデータが知られないようになっている。そのため広告や収益が、どう展開していくか予測することができない」と、USAトゥデイ(USA Today)のスポーツメディアグループ スポーツデジタル部門 ゼネラルマネージャーを務めるクリス・ピローン氏は語った。

Twitterのエマージングコンテンツプロダクト部門バイスプレジデントであるマイク・パーク氏は次のように声明を出している。「我々は常にアンプリファイのパートナーたちの声を聞きたいと思っている。彼らが意義のある、均質な収益を得る助けをすることが我々のゴールだ。健全なパブリッシャー・エコシステムは、ビデオプロダクトを開発し、広告主の需要をスケールさせていくなかで、非常に重要な要素のひとつだ」。

Lucia Moses(原文 / 訳:塚本 紺)