インスタント記事内で「メルマガ勧誘」を行えるかも:FBと大手媒体社がテスト中

Facebookはいま、一部パブリッシャーを対象として、「インスタント記事」の下部で、ニュースレター(日本でいうメルマガ)登録メッセージを表示するテストを行っている。

テストに参加しているのは、「ニューヨーク・タイムズ」や「ワシントン・ポスト」など。テストメッセージは、すべての読者に対して表示されているわけではないので見つけるのが難しい。また、パブリッシャー側は、テストの結果を発表するのは時期尚早だとしているところもあれば、一切発表するつもりはないとしているところもある。

読者と定期的に接触するために

この新機能は、パブリッシャーのあいだで高まっている関心に、うまく対応しているようだ。それは、さまざまなプラットフォームにコンテンツ配信するというアイデアをめぐるもので、読者のいるところに自社ブランドを配信しなければならないとの認識に基づく。

しかし、プラットフォームが配信ルールを定めることになるため、読者との直接的な関係性を失うことにパブリッシャーは不安を感じている。電子メールは、もう過去の遺物だと盛んにいわれているが、自分たちでコントロールし続けられる配信チャンネル(かつマーケティングチャンネル)として、ニュースレターは多くのパブリッシャーにとっては重要なものだからだ。

Facebookは声明のなかで次のように述べている。「パブリッシャーは『インスタント記事』を通じて、読者とより直接的な関係性を築きたいと思っていると、我々は耳にした。それを実践できる方法のひとつとして、読者ともっと定期的に接触できるようにしたのだ。このテストはまだ初期段階だが、パブリッシャーと協力して、製品のテストを繰り返していくことを楽しみにしている」。

メルマガに注目するパブリッシャー

Facebookの「インスタント記事」は、通常のニュースフィードのように、パブリッシャーのコンテンツを定期購読者ではない人々に届ける施策として価値あるものになり得る。

多くのパブリッシャーは、Facebookで記事を目にする機会が増えれば増えるほど、読者がパブリッシャーのサイトを直接訪問する可能性も高まると期待している。自社サイトに来てもらえれば、パブリッシャーはそこから生まれる広告収入をすべて手に入れられるだけでなく、サブスクリプションやニュースレターなどの製品を読者に売り込める。さらに読者の購読習慣に関するデータを収集して、サイト体験の改善に役立てることも可能だ。

つまり、読者と直接関わる機会をもつことは、人々にニュースレターやほかの製品に登録してもらう方法を手にすることにつながる。そして、「ニューヨーク・タイムズ」や「ワシントン・ポスト」のようにサブスクリプションをベースにしているパブリッシャーにとって、コンテンツを購入してくれるのはロイヤルティの高い読者だけであるため、読者との関係を深める必要性は何より重要だ。したがって、ニュースレター登録は、読者をファネル(コンバージョンプロセス)の下流へ移動させる重要な道筋となる。

「我々はなんでも喜んでやる」

「ワシントン・ポスト」のモバイル製品担当ディレクターを務めるジュリア・バイザー氏は、「電子メールは我々に多くの恩恵をもたらしてくれる。顧客との関係を深めるためにできることなら、我々はなんでも喜んでやる」と期待を込めている。

今回のテストに参加していないパブリッシャーでさえ、読者を自社サイトに誘導するための取り組みや、ニュースレター受信の登録をしてもらうための取り組みを進めている。「アトランティック(The Atlantic)」ではニュースレター受信を勧めるメッセージを記事の下に表示している。「ミック(Mic)」は、自社広告を掲載し、クリックされればニュースレター登録ページにユーザーが遷移されるようにしている。

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「インスタント記事」のコンテンツ内に、自主的にニュースレター登録の広告を掲載した「ミック」。 ※FBとのテストとは別モノです

歩み寄りをみせるFacebook

電子メールのニュースレターはパブリッシャーにとって、オーディエンス開発戦略の重要な要素になっている。ソーシャルフィード上に、ニュースが絶えず流れ込む事態への防御策を提供することで、読者との関係性を深める方法にもなる。「ニューヨーク・タイムズ」にとって、ニュースレターはサブスクリプション増加のカギを握るものであり、同紙の読者がまずにニュースレターに登録すると、有料購読者になる率が2倍になるという。

Facebookはすでに、パブリッシャーが自身のページで広告を販売しやすくするように「インスタント記事」に改良を施している。つまり、ニュースレター登録メッセージを表示するテストは、パブリッシャーに喜んでFacebook上にコンテンツを置き続けてもらうための、Facebook側の新たな譲歩のサインなのかもしれない。

Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)
Image via Eduardo Woo