日本の新聞・出版社、デジタル化で直面している6つの課題:「DPS 2016 KYOTO」チャレンジボードより

デジタル化に奮闘するレガシーパブリッシャーたちの挑戦は、まだはじまったばかりだ。

日本を代表する新聞社や出版社のエグゼクティブが京都に集った「DIGIDAY PUBLISHING SUMMIT 2016 IN KYOTO(略称:DPS)」。そのイベントでは、各パブリッシャーが挑戦している課題を共有するセッション「チャレンジボード」を実施した。それぞれ匿名にて、その内容をポストイットに記入してもらい、ボードへ添付するというものだ。

一瞥すると私たちが乗り越えなければならない壁は、技術的な問題だけではない。業界全体が協力して解決しなければならない課題もある。その一部を紹介しよう。

マネジメント層の人材不足

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ミドルマネジメントの人材育成。

デジタルとアナログ、双方の利点を理解して、プロジェクトを引っ張っていけるようなミドルマネジメント層が不足している。このような課題は、イベント中さまざまシーンで議論された。解決方法としては、いまのところトップダウンで全社の意識を変えていくしかないようだ。レガシーメディアでしかもちえない価値をデジタル時代に発揮していくには、彼らの存在が要となる。

スタッフの意識改革

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経験と勘のみに頼る編集長に、データの有効性、レイアウトのマネタイズにおける重要性を理解させるにはどうすれば良いでしょうか。

前項にも通じるものがあるが、職人気質でアナログコンテンツを作成してきたスタッフにとって、デジタルコンテンツをプロダクト志向で制作するという意識改革は簡単ではない。属人的に生み出していたものを、ユーザー本位で作られたものへ適切に変換することが、いまのパブリッシャーには求められている。

モバイルのマネタイズ

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スマートフォンへのアクセスシフトがリクープしないくさい件。

デスクトップよりもモバイルからの流入が増えはじめて数年経つ。その変化をうまくマネタイズ出来ていないパブリッシャーが多いのが現状だ。現在、すでにさまざまなソリューションは存在している。各ベンダーと協議を重ね、個々に適した方法を見つけて欲しい。

ライバルとのつきあい方

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他のパブリッシャーやプラットフォームとどうやってうまく付き合うか。

もはや数では勝負できないほど巨大になったプラットフォームと、パブリッシャーはどのように付き合っていくべきなのか。「量より質」という課題は、今回のイベントでは、もっとも多く言及されたトピックのひとつだ。それに対して、欧州を中心に取り組みが盛んなパブリッシャーアライアンスは、ひとつの糸口となるかもしれない。

DMPの運用方法と目的

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プライベートDMPでデータを蓄積してきたものの、有効に活用できていません。どのような体制で回すのが良いのでしょうか。

プライベートDMPは、データを社内にキープできることから、堅実な運用が期待されていた。だが、実際の運用となると、外部のDMPを活用したほうが効率的だという声もある。どちらにしろ、オーディエンスデータは、今後有力な武器となることは間違いない。しかし、その利用目的を明確にできなければ、手に余るものとなってしまう。

PVに代わる新しい指標

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脱PV。

PV数だけを指標にして、プラットフォームに対抗するには、頼りなくなってきている。そんななか「FT(フィナンシャル・タイムズ)」は、早々に対策をとり、時間を目安とするCPH(Cost Per Hour)を導入し、オーディエンスの質を武器にした。現在では、ひとつのコンテンツに対して、各ソーシャルプラットフォームをまたいだアクテビティーをまとめて指標化することも議論されている。PVに変わる新たな指標の確立は、なかなか新しい光明を見いだせないパブリッシャーにとって希望になるはずだ。

Written by 中島未知代