「バイラルヒットより『全体的な底上げ』を狙うべきだ」:分散型メディアの代表格「NowThis」プレジデント

誕生から4年を迎えた「NowThis(ナウディス)」は、Facebook、Snapchat(スナップチャット)、インスタグラム、Twitterなどのソーシャルフィードに向けた短編動画の制作に注力している。1日に公開される本数は60本。それらの動画は、月に16億回も視聴されているという。その閲覧回数の大部分は、Facebookのフィードによるものだ。

「NowThis」のプレジデント、エイサン・ステファノプロス氏は、米DIGIDAYの今週のポッドキャストで、「我々にとってこれは、人々がいま居る場所にコンテンツを届けるのか、動画コンテンツを制作して人々に来てもらうのか、という問題だ」と語った。

同社が制作する平均的な動画は、75万回視聴されており、それは大きな数字であるが、「NowThis」は意識してバイラルヒットを狙ってはいない。実際、自分たちの分析でパフォーマンスがもっとも高い(およびもっとも低い)と判断した動画を避けて、その中間に位置する動画に力を集中する傾向がある。長続きするブランドは、トレンドの話題ではなく、堅実性のうえに築かれる、という発想に基づいてのことだ。

「我々はバイラルヒットを目指してビジネスをしているわけではない。大切なのは全体を底上げすることだ。我々のインサイトチームは、底上げするために、何が上手く機能していないかを調べるのに、多くの時間を費やしている」と、ステファノプロス氏は述べる。

ステファノプロス氏によるポッドキャストのハイライト部分を編集してまとめたものを以下に紹介する。

デジタル動画の世界に大きく立ちはだかるFacebook

「NowThis」は、Facebook一辺倒にはなりたくないと思っている。「NowThis」が、動画の半分をFacebook以外のプラットフォーム向けにしている理由もここにある。

「Facebookはこれまでオープンな場所で、そこでは多くのパブリッシャーが動画コンテンツをめぐってオーディエンスのエンゲージメントの増加を目の当たりにしている」と、ステファノプロス氏は言う。

だが、いまでは、Snapchatが第2位として確固たる地位を築こうとしている。2カ月前に「NowThis」が「ディスカバー(Discover)」に参加して以来、同社のオーディエンスの15%をSnapchatが占めるようになった。

フィード内でブランドを確立するのは(困難だが)可能だ

「NowThis」は2015年初頭、背水の陣を敷く決断をした。Webサイトを閉鎖してその活動の場をプラットフォーム上に移すことにしたのだ。この場合の最大の問題は、「NowThis」のような企業が獲得してきた多くのオーディエンスを永続的なブランド確立に活かせるかどうかだ。結局、アルゴリズムは変更された。また、Facebookユーザーの行動から、ユーザーの多くはコンテンツのソースを区別していないことがわかってきた。

「簡単なことではない。これは難しい問題だ。我々は毎日、人々がエンゲージしてくれる本当に良質なコンテンツを作っている」と、ステファノプロス氏は言う。

「NowThis」が考えるマネタイズの鍵は「ブランデッドコンテンツ」

スタートアップ企業の情報を集めたデータベース「クランチベース(Crunchbase)」によると、「NowThis」はこれまでに2億7000万ドル(約290億円)の資金を調達しているという。しかし、同社はこれまで、プラットフォーム上で多くのオーディエンスを獲得することに力を注いできた。そしていま、ブランデッドコンテンツを制作する「NowThis Studios(ナウディス・スタジオ)」の設立により、同社にとって重要な意味をもつマネタイズの方法を探りはじめようとしている。

ステファノプロス氏は、「我々は、配信サイドで大きな力を持っているので、その専門知識を生かすことの方に強い関心を持っている」と語った。

動画が淘汰される時代に

動画は現代の花形だ。BuzzFeedは動画に集中しているし、マッシャブル(Mashable)も、ほかの多くのデジタルメディア企業もそうしている。Facebookがニュースフィード内での動画に力を入れるようになり、それで人々の注目を集めようとしている企業も増えた。だからこそ「間違いなく」淘汰が起こる、とステファノプロス氏は信じている。

「群集心理というものがある」とステファノプロス氏。「誰もがオーディエンスの居るところへ行こうとする。Facebookは明らかに動画を重視しており、ニュースフィードで動画を目立たせている。だが、そこには本物の欲求があるとも、私は思っている」。

Subscribe: iTunes | Stitcher | RSS

Brian Morrissey(原文 / 訳:ガリレオ)