英BuzzFeedの新ポスト、長文記事 専任エディターの1日:「コンテンツの賞味期限の長さが重要」

ルイーズ・リドリー氏

ルイーズ・リドリー氏

ルイーズ・リドリー氏は最近、デジタルメディアパブリッシャーBuzzFeedの英国チームに着任した。彼女の職務は、特別プロジェクトとロングフォームコンテンツのニュース編集者という、同社にとって初のポストだ。

BuzzFeedは、これまで成長のよりどころとしてきた楽しいリスティクル(リスト記事)やクイズコンテンツと同様に、質の高い調査報道を提供するメディアとしても名声を確立すべく尽力している。そのミッションの手綱を握り、BuzzFeedがロングフォーム(長文記事)の取り組みで何にどう力を入れるべきかを把握するのが、リドリー氏の役割の中心だ。

今回の記事では、そんなリドリー氏の視点で、最近の1日を紹介していこう。

◆ ◆ ◆

06:30 am アラームとBBCラジオのニュース番組「トゥデイ(Today)」で目覚める。起きるときに部屋が徐々に明るくなる照明を使っていて、冬の暗い朝にはこれが欠かせない。30分から1時間ほど聴いて主要ニュースを押さえる。

07:10 am 本格的に起きて、スマートフォンで夜のあいだに届いたアプリのアラートを確認する。メッセージや、Twitter上の大ニュースで見逃したものはないか。ロングフォームと特別プロジェクトを編集する私だが、通常のニュースも把握するよう注意している。どの記事も比較的長いプロジェクトの着想につながる可能性があるし、人手が足りないときには臨時で一般ニュースを編集することもあるからだ。

08:10 am ロンドン地下鉄に乗る。風刺雑誌『プライベート・アイ(Private Eye)』を読むことが多いが、今日は読書中の書籍『デンマーク人的に暮らした年:世界一幸福な国の秘密を解き明かす(The Year of Living Danishly: Uncovering the Secrets of the World’s Happiest Country)』にする。

08:30 am オックスフォード・サーカスにあるオフィスに到着し、BuzzFeedでメモからニュース速報まで、ありとあらゆるコミュニケーションに使われているメッセージングツール「Slack(スラック)」をチェックする。社内の分析ツールを使って、昨夜は我々のサイトで何がうまくいったのかを確かめよう。それが済んだら、ソーシャルメディア、新聞各紙の一面、Googleニュース(Google News)、ニュースウィップ(NewsWhip)のようなサービス、スカイ(Sky)やBBCなどのアプリで、抜け落ちているニュースを手早く把握する。注目すべきものや何か思いつくものがあれば、ほかのニュース編集者たちとともに印をつけておく。

08:45 am オフィスから支給される、紅茶、水、シリアルを確保。これらはどれも大切だ。シリアルの選択は、真っ当な日にはコーンフレークにするが、普段以上に馬力が必要な日にはココア風味の「ココポップス(Coco Pops)」にする。

09:00 am ニュース編集者のアラン・ホワイトがリーダーを務める朝のニュース会議に、ニュースチームの皆が集まってくる。形式ばらないミーティングで、誰もが気軽に口をはさむ。前日の主な出来事をさらって、全員からアイデアを募る。今日は、最高裁で英国のEU離脱(ブレグジット)の訴訟が続く。私は往々にして、ニュース速報にとどまらず長い目でとらえようと試みる。どのニュースに、我々がさらに時間をかける価値があるか。そうして、エンゲージメントを生むロングフォームコンテンツを作成できるか。賞味期限の長さが重要で、数日、数週間、さらには数カ月たっても古くならないようなテーマを見極める。

09:15 am ここからは、そのときに取り組んでいるプロジェクトによって働き方が大きく変わる。今日は、シニア記者パトリック・スミスからのロングフォームコンテンツを編集している。彼は、英国各地で収監されている数百人もの囚人から日記を独占入手した。暗い内容だが、胸を打ち、ときに笑いを誘う。高まる危機の背後にある、リアルな人間の声だ。パトリックが1万ワードある日記を4000ワードにまとめており、私はそれを精読しながら導入部に手を入れていく。イラストは社内のイラストレーターに、専門家による写真は刑務所に依頼済みで、それらの進捗を確かめる。日記の抜粋を紹介する動画も制作中で、当社の動画の権威であるルーク・ベイリーに台本作りを依頼する。

11:30 am イスラム問題を専門とする別のシニア記者、アイシャ・ガニの記事に移る。彼女は政府のイスラム教徒防止プログラムに関する特ダネをつかんだ(まだ掲載前なので、これ以上は明かせない)。アイシャは、この特ダネの重要な部分を占める、イスラム教徒に対するセンシティビティー(受け止め方)を中心に記事を構成している。

00:30 pm 今日は水曜日、BuzzFeedの無料ランチにありつける。今日の献立はベイクトポテト。うずら豆が載ったものを選ぶ。

01:00 pm 息抜きと用事を兼ねて外出する。私は可能なときにはランチの時間をめいっぱい取るのが大好き。それが無理でも、せめてオフィスからは出るようにしている。そうすることで人はよりハッピーに、より生産的になれる。

02:00 pm ニューヨークから出張中のグローバルニュース担当ディレクター、リサ・トッツィとのコーヒーに向かう。ほかのオフィスの同僚が頻繁に訪ねてくるのは実に貴重だ。トッツィは、ニューヨークタイムズ(The New York Times)で働いたのちBuzzFeedに加わり、これまで英国のチームにも大きな影響を与えてきた。私の職務では、会社中のさまざまな立場の人と協働する可能性がある。たとえば先週は、米国BuzzFeedのロングフォーム編集者を務めるスティーブ・カンデルと、女性の権利に関する国際寄稿者のベルリンのジーナ・ムーア氏と一緒に、Googleハングアウトでミーティングを行った。

02:30 pm BuzzFeedのコミュニケーション部門を率いるピーター・ヘネガンと情報交換。彼と一緒に、可能な場合には我々の記事がもっと広くメディアで注目されるように取り組む。BuzzFeedの特別寄稿者ジェイムズ・ボールから届く、ブレグジットに関する300万件を超えるツイート(私は「データの山」とでも呼びたい)の分析記事について相談。ジェイムズの記事のインタラクティブなグラフのスクリーンショットが、ピーターに渡るよう手配する。これらのグラフは、BuzzFeedの新フォーマット担当チームが魔法のように作り出したものだ。

03:00 pm LGBT編集者のパトリック・ストラドウィックに連絡をする。彼とは先日、薬物を使用したセックスの危険性に警鐘を鳴らす、これまでなかった痛ましい記事で協働した。この大作から、いまや彼にはこの分野に対する素晴らしい洞察が備わっている。そこで、彼が考えている今後の記事のうち、どれを彼が実際に調査する可能性があるかについて議論する。

03:15 pm ニュースチームが集まり、特定のテーマについてブレストする隔週のニュース構想会議を開く。今週は身体障害に関するプロジェクトについて考え、いくつか素晴らしいプランが生まれた。人が集いひとつのトピックに集中すると、素晴らしいアイデアが出るものだ。

04:00 pm 新しいアートディレクターのティム・レーンに連絡。新年の記事に使うイラストのラフなコンセプト画を見せてもらう。セックス・ピストルズ風のパンクな雰囲気で、記事草稿の調子に完璧にマッチしている。ティムはさらに、引用部分の拡大表示など、ページを飾る多くの要素をロングフォーム記事向けにまとめた、デザインの全体像を見せてくれる。

04:30 pm 担当しているライターたちに連絡を入れ、それぞれの次の日の課題を把握する。

05:00 pm このころになるといろいろなものが下火になりはじめるので、やりかけていることに区切りをつけ、メールの整理をはじめる。フリーランスのライターからのロングフォーム記事の売り込みが入っているが、これは明日検討しよう。差し迫ったものがなければ、午後5時30分までには、観光客があふれるロンドン中心部の通りへと向かう。

Jessica Davies (原文 / 訳:ガリレオ)
Image: Taken by Rebecca Hendin, BuzzFeed.