インスタ新機能、欧米メディアは いかに使いこなしたか?:さまざまなスタイルの「ストーリーズ」

「やはり…」といった反応だ。インスタグラムがSnapchat(スナップチャット)にとても良く似た機能「ストーリーズ」を導入して3日と経たずに、あらゆるパブリッシャーたちが自分たちのストーリーテリングのテクニックを披露しようと飛びついた。

ストーリーズ機能を使うとユーザーは、ビデオや画像のスライドショーを、フィードとは切り離してシェアすることができる。少し前であれば、新しいソーシャル機能が登場してもパブリッシャーは、しばらく様子を見るのが普通であったが、いまはその時代とは慣習が大きく変わったようだ。

では、そのいくつか見てみよう。

ブルームバーグ

イギリスでは、イングランド銀行が最新の経済状況を発表する「スーパーサーズデー」という四半期ごとのイベントがある。ブルームバーグ(Bloomberg)はそれに合わせてインスタグラム・ストーリーズを公開した。

Bloomberg

ビュー数は公開しないものの、ストーリーズを見たオーディエンスの28%は最後まで鑑賞したという。これはフォーマットを考えると驚くべきことではない。

「Facebookユーザーは、ビデオの最初の15秒程度しか普通は見ない。それを越すと見続ける人の数は一気に減る。インスタグラムでは、それよりももっと強力な結果が見られている」と、ブルームバーグのソーシャル・メディア・エディターのケビン・ヤング氏は言う。

しかし、このフォーマットにはデメリットが無いわけではない。時間の割には制作に労力が必要とされるのだ。そのことからもブルームバーグは、おそらく計画性を持って取り組むことができる、特別なイベントのためにストーリーズ機能をとっておくだろう。また動画は24時間が経つと消えてしまう。この特徴があるせいで、ビューワーは連続性を持ってビデオを見るのが難しくなっている。

「物語性に影響は与えるだろう。たとえば16の異なるフレームを使って、ひとつの物語を伝えようとした場合は、特に影響がある。理想的には、すべてをライブで撮影して、まとめてアップロードしてしまうことが望ましい」と、ヤング氏は言った。

Vogue-Stories-21

ブリティッシュ・ヴォーグ

ブリティッシュ・ヴォーグ(British Vogue)は毎日短いストーリーズを投稿している。オフィス内を見せて回るツアーだったり、ファッション撮影の舞台裏などだ。

次の号に関連した投稿は、やはりパフォーマンスが良い。エディターのルーシー・ハッチングス氏によると、「(公開して)数時間以内に何万ものビュー」をインスタグラムで獲得しているとのこと。

「通常のビデオポストと比べて、ストーリーズの方が最初はビュー数は多くなる、そして写真のポストにつく平均「いいね!」数を越えるということが分かった」とハッチングス氏は付け加えた。

アルジャジーラ・イングリッシュ

ストーリーズの長さに注目すると、目に留まるのはアルジャジーラ・イングリッシュ(Al Jazeera English)のメキシコ特派員であるアダム・ラニー氏によるメキシコ・シティ特集だ。これは40ものクリップが並んでいる。

アルジャジーラ・イングリッシュのインスタグラムには43万人のフォロワーがついているが、そのうちの1万2000人がこのストーリーを見た。最後まで見た割合は8%となっている。ちなみにアルジャジーラのSnapchatビデオの場合は、その割合が50から70%になるという。

「現時点ではビュー率は痛々しいくらいに低い。まだインスタグラムのアプリをアップデートしていない人が多く、彼らはストーリーズ機能を入手していない」と、ソーシャルメディアとプラットフォームのリード・プロデューサーであるジアド・ラムリー氏は語る。

ほかにも制限はある。ユーザーは自分がすでにフォローしているアカウントのストーリーズしか見ることはできない。さらに公開コメントもつけることはできない。パブリッシャーはそれぞれのクリップを何人が見たのか、ユーザーネームは何なのか、といったデータをダウンロードすることもできない。それでもSnapchatよりもビューアビリティがあるという。

ニューヨーク・タイムズ

ニューヨーク・タイムズ(New York Times)のストーリーズは、これまですべてリオ五輪関連となっている。オリンピック会場の内観や、その周囲で撮られた画像・ビデオが混ざった形だ。記者団を移動させるシャトルバスから、本番に向けて水泳選手が準備をしているプールの様子にまで至る。

ニューヨーク・タイムズをインスタグラムでフォローしているユーザーは、ストーリーズのコンテンツに含まれている写真のいくつかがフィード上でも流れていたことに気づいただろう。イベント後、ほかの水泳選手を祝っているアメリカ人水性選手ミッシー・フランクリン氏の写真がその例だ。

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ハフィントンポスト

ソーシャル・メディアのエディターであれば、プラットフォームそれぞれが違った言語を持っていることを知っている。ハッシュタグとか、GIF画像がそれにあたる。パブリッシャーが、各プラットフォームでどんな言葉遣いをするか、見極めるのはなかなか難しい。

その点、ハフィントンポスト(The Huffington Post)は、Snapchatのストーリーと同様の「適当さ」を持って、インスタグラム・ストーリーズに最初は取り組むと決めたようだ。(正しいスペルも気にしないようだ)。

8月4日の木曜日に投稿されたオバマ大統領の55歳の誕生日を祝うストーリーズは次のようなものだ。大統領の有名な画像よりも、そこに手書きで書かれた十代の子どものような話し言葉(訳すとしたら、「ちょ、そのチーズ、やべー!」だろうか)が目に留まる。

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バッスル

すでにプラットフォームと機能で溢れかえっているソーシャルメディア界で、インスタグラムのストーリーズ機能がどう生き残るかを判断するのは、まだ当分できそうにない。しかし、バッスル(Bustle)は大きな期待を持って取り組んでいるようだ。

彼らが最初に作った「ストーリーズをどうやって作るか」をポイントに制作したインスタグラム・ストーリーズは7万5000ビューを獲得した。そして女性向けスタートアップであるバッスルは、すでにインスタグラム・ストーリーズ上の隔週番組を放送することを決定している。アソシエイト・エディターのレイチェル・シモン氏がホストとなった番組「リール・ディール」が木曜日に放送される。

番組では、その週末に劇場公開されるもっとも重要な映画が紹介されるという。ふたつ目の番組「エマとデート」では、ライフスタイル・エディターのエマ・ロード氏のニューヨークにおける恋人探しにフォーカスする。

Max Willens and Lucinda Southern(原文 / 訳:塚本 紺)