Facebookでトラフィック購入するパブリッシャーの手口:「恥ずべきことは何もない」

トラフィックの購入は、多くのパブリッシャーが行っているのに、公に認めるパブリッシャーがほとんどいない行為のひとつだ。

この現象を明確にするため、米DIGIDAYはFacebookでトラフィックを購入していると語ったパブリッシャーに勤務する6人の情報筋に話を聞いた。トラフィックを購入するのは、自社で達成できなかった掲載申し込みに応じたり、新製品を宣伝したり、後ろ暗いアービトラージビジネスで金儲けしたりするためだという。

Facebookに支払う料金

Facebookからのトラフィックを獲得するためにパブリッシャーが支払う料金は、かなりばらつきがある。あるニュースパブリッシャーは、支払うのは通常1クリック当たり1セント未満だと語る。別のパブリッシャーは、1クリック当たり2~5セントを支払うと述べているので、その費用を回収するため、CPMは20ドル以上に違いない。だが、売りすぎたインベントリー(在庫)に対応するためだけに、Facebookでトラフィックの代金を支払うほかのパブリッシャーは、たいてい1クリック当たり5セント以上支払うという。

「料金請求の仕組みを時間単位で理解しようとすれば、アドテクやアトリビューションに詳しくなる必要がある。そうしないと、多額の金を失うことになる」と、ライフスタイル関係のパブリッシャーの幹部は指摘する。

料金にかなりのばらつきがあるのは、Facebookがパブリッシャーに請求する有料トラフィックの料金が、多くの変動要因に左右され、Facebookが独自の計算式でリアルタイムに料金を調整しているからだ。Facebookは、エンゲージメントの少ないコンテンツに対して、そのコンテンツを提供するパブリッシャーに請求する広告料金を増やすことで、ペナルティーを科している。パブリッシャーは、コスト削減のために、ターゲティングに熟達しなければならないので、広告によるエンゲージメントの可能性がもっとも高いオーディエンスを追求している。なお、Facebookは、この記事に対するコメントを控えた。

アービトラージで稼ぐ方法

あるエンターテインメント関連のパブリッシャーの幹部によると、パブリッシャーのウェブサイトの読込速度が遅く、広告だらけだったり、ユーザーのページ滞在時間がごく短かったりすると、広告料金が上がるという。パブリッシャーのFacebook広告が、シェアやいいね!、コメントにつながらない場合や、CTRが低い場合もCPCの上昇の原因になる。ランディングページが、パブリッシャーのウェブサイト上にある記事ではなく、Facebookの「インスタント記事」向けであると、広告料金は安くなる。

「だが、インスタント記事は儲けが少ないので、コスト面のメリットも無に帰す」と前述の幹部は指摘する。

ロサンゼルスを拠点とするデジタルメディア企業ランカー(Ranker)の最高経営責任者(CEO)であるクラーク・ベンソン氏は、すでにオーガニックで優れたパフォーマンスを示している投稿のテコ入れに有料トラフィックを利用していると語る。Facebookに支払う広告料金を上回る収益をランディングページがもたらすまで、広告ユニットのA/Bテストを行えるので、アービトラージを通じて、Facebookからの有料トラフィックで稼ぐことも可能だ、と同氏は付け加えた。

後ろめたいパブリッシャー

だが、Facebookはアルゴリズムや計算式をいつでも好きなときに変更できるので、アービトラージに依存するパブリッシャーは、プラットフォームの気まぐれに左右されてしまう。1クリック5セント以上でトラフィックを購入しているパブリッシャーは、それをロスリーダー(集客を目的として、採算を度外視して極めて価格が安く設定された商品)だと見なしており、広告主との将来の取引を失わないよう、大規模なキャンペーンを成功させるのに必要だと考えている。

「大規模なキャンペーンを販売した営業担当者が、キャンペーンを完遂するのに十分なインベントリーがないことに気づく。すると、編集者が呼び出され、ニュースレターの発信や、追加記事の執筆、Facebookへの投稿など、自分にできることを行う。それから、デジタルマーケティング担当者がやってきて、トラフィックを購入する」と、あるファッション関係のパブリッシャーの幹部は説明した。

本記事のためにインタビューしたパブリッシャー6社中4社は、トラフィックの購入量を明らかにしたがらなかった。あるニュースパブリッシャーは、トラフィックの約10%を購入していると語った。ベンソン氏によると、ランカーはこの3カ月間に、ペイドソーシャルから月間ビジターの23%を獲得し、そのほとんどはFacebookからだったという。

「適切なやり方なら問題ない」

ネイティブ広告プラットフォーム、ポーラー(Polar)のCEOであるクナル・グプタ氏は、90%以上のパブリッシャーがコンテンツ記事のために有料プロモーションを利用していると見積もっている。パブリッシャーがオーディエンスを購入するのは一般的だが、パブリッシャーに勤務する情報筋はこの話題について話したがらなかった。ベリフィケーション用フィルターを回避しようとする怪しげなトラフィック購入業者にブランドが関連づけられるのを恐れていたからだ。

「これは、トラフィックを増やすのに利用されるステロイド剤のようなものだ。それを使った場合の見かけほど、実際には大きくて強いわけではないと、誰も認めたくはない。だが、エンゲージした人間のトラフィックを購入しているのなら、何も問題はない。適切なやり方で行えば、恥ずべきことは何もない」とネイティブ広告プラットフォーム、ゼマンタ(Zemanta)のCEOであるトッド・サウィッキ氏は語る。

Ross Benes(原文 / 訳:ガリレオ)
Max Willens contributed reporting