トランプの右腕、S・バノンが有する極右サイトの広告問題:プログラマティックの悩ましさ

ドナルド・トランプ次期大統領がオンラインニュースサイト「ブライトバート・ニュース(Breitbart News)」の会長、スティーブ・バノン氏をホワイトハウスの重要ポストに任命したことで、激しい非難が巻き起こっている。ブライトバートは、人種差別、女性差別、反ユダヤ的な投稿が多いことが問題視されているサイトだからだ。だが、プログラマティク広告システムのおかげで、広告業者の広告は、ブライトバートのようなサイトにも定期的に登場する。

プログラマティク広告は多くの場合、サイト環境ではなくオーディエンスターゲティングに基づいて、機械によって大規模に売買される。その結果ブランドの広告が、ブランド側が安全策を講じているにもかかわらず、知らないうちに扇動的サイトに掲載されてしまうことがある。「Google AdSense」は何百万というパブリッシャーに広告を提供していて、そのなかにはブライトバートも含まれる。

先日確認してみたところ、保険会社のステートファーム(State Farm)や小売業者のターゲット(Target)、家具販売のCB2など主要な消費者ブランドからの広告が、Googleアド内に配置されていた。ステートファームは、「広告は小規模購入の一部であり、ブライトバートは現在、ローテーション掲載するサイトのリストからは除外されている」とコメント。ターゲットやCB2にもコメントを求めたが、まだ反応はない。

ポリシーに反して提供される広告

GoogleやFacebookは、誤解を生むようなコンテンツ上への広告掲載を禁じる措置を講じはじめたと言っている。Googleのポリシーには、同社のコンテンツポリシーに違反するページについては、パブリッシャーがAdSenseコードをおくことを認めないという項目がすでにある。特に、個人、集団、組織を誹謗中傷するコンテンツがあるページ上への広告掲載だ。

しかし、どうやらそのポリシーには、ブライトバートに掲載された「Bill Kristol: Republican Spoiler, Renegade Jew」(ウィリアム・クリストル、ユダヤ人を裏切る)や「Birth Control Makes Women Unattractive and Crazy」(避妊は、女の魅力を損ない狂わせる)といった記事は含まれないようだ。

ブラウザの拡張機能「Ghostery(ゴーステリー)」は、ブライトバート上で情報を収集している広告やサイト解析などのトラッカーを33個リストアップしているが、そうしたトラッカーのなかには、パブマティック(PubMatic)やルビコン(Rubicon)、AOLのAdvertising.comなどが含まれていた。パブマティックはコメントを拒否した。ほかにもいくつかにコメントを求めているので、反応があり次第、記事の内容を更新する。

ネイティブアドにも同様の問題が

ブライトバートはさらに、タブーラ(Taboola)やザーグネット(ZergNet)からのコンテンツレコメンデーション・モジュールをサイトに多数ちりばめてもいる。タブーラは、パブリッシャーのサイトに広告ウィジェットを置き、読者がウィジェット内にある有料リンクをクリックすると、タブーラとホストパブリッシャーがリンク提供者からの収入を分け合う仕組みになっている。

タブーラの最高経営責任者(CEO)、アダム・シンゴルダ氏は、タブーラのガイドラインはヘイトスピーチや人種差別的な投稿を掲載するパブリッシャーへの協力を禁じており、問題については現在調査中であると語った。タブーラではウィジェットを使えるコンテンツの種類についてのガイドラインを公開しているが、パブリッシャー向けガイドラインや、そうしたガイドラインの遵守に関して、パブリッシャーのサイトを評価しているかどうかについては、公表していないという。

ザーグネットの共同創設者でもあるCEO、レギー・レナー氏は、ザーグネットはブライトバートで利益を得てはいないと述べた。ブライトバートは、ザーグネットが無料で提供するオーディエンス開発プラットフォームに参加しており、このプラットフォーム上では、パブリッシャーが自分で選んだほかのサイトとリンクを共有できると、レナー氏は説明した。

責任はパブリッシャー側にある?

ブライトバートがネットワークに含まれていることについてレナー氏は、責任はパブリッシャー側にあるとし、次のように語った。「サイトがほかのサイトによって攻撃されたなら、その相手と一緒に仕事をしないという選択をすればいいだけのことだ。我々としては、これだけ大きなネットワークを運営していくためには、品質管理の決定権をある程度はパブリッシャー側に与えておく必要がある」。

Lucia Moses(原文 / 訳:ガリレオ)