ブランデッドポッドキャスト、欧米の業界で流行中:2017年に倍増との予測も

ポッドキャストは、これまでずっと昔のラジオによく似た存在だったが、2017年には一層懐かしさを感じさせるメディアになりそうだ。というのも、ポッドキャストネットワーク、パブリッシャー、ブランドがこぞって、ブランデッドコンテンツに取り組むからだ。

ゼネラル・エレクトリック(General Electric:以下GE)とポッドキャストネットワークサービスのパノプリー(Panoply)が、ラジオドラマ「宇宙戦争」を彷彿とさせるSF番組「メッセージ(The Message)」をポッドキャストで公開したのは2015年10月のこと(この作品は2016年にカンヌライオンズを受賞した)。それからわずか1年ちょっとで、ブランデッドポッドキャストが流行している。

ギムレットメディア(Gimlet Media)、ミッドロール(Midroll)、ガネット(Gannett)といったパブリッシャーはブランド担当部署を設立し、新しい広告主を呼び込んだり、既存の広告主からの契約料を増やしたりしてきた。2017年には、こうしたポッドキャストのブランデッドコンテンツが倍増すると予測する業界観測筋もいる。

活況のポッドキャスト業界

「現在は、相当にエキサイティングでホットな状況だ」と、パノプリーで最高売上責任者(CRO)を務めるマット・ターク氏は語る。パノプリーはスレート・グループ(Slate Group)が所有するポッドキャスト広告ネットワークで、ポッドキャストの収益の25%ほどをカスタムコンテンツから生み出している。

比較的小規模な広告市場とはいえ、業界の標準で100ドル(約1万1000円)もの高額なCPMが要求されるポッドキャストにおいて、ブランデッドコンテンツの制作費は安くない。

ギムレット・クリエイティブ(Gimlet Creative)がイーベイ(eBay)と共同で制作している「オープン・フォー・ビジネス(Open for Business)」のようなスポンサードコンテンツを作るとなると、広告主は50万ドル(約5700万円)前後を払うこともある。

直接的なリーチが人気

また、基本的にはいまもダイレクトレスポンス型である従来のポッドキャスト広告と異なり、ブランデッドコンテンツではブランドの目標があいまいになりがちだ。それでも、広告主はポッドキャストというメディアの独特な親密さに魅力を感じている。

「ポッドキャストは、消費者にリーチするという点でとりわけ直接的な方法だ」と、GEでメディアイノベーション責任者を務めるアレクサ・クリストン氏は語る。クリストン氏は、直接的なリーチが小規模にとどまるわけではないことを体験的に知っている。GEの2つの番組、「メッセージ」と「ライフアフター(LifeAfter)」を合わせると、エピソードのダウンロード回数は600万回を超えた。

「大規模なオーディエンスが『ブランドが提供するエンターテイメントを20分聴こう』と言っているわけで、ブランドにとっては巨大なチャンスだ」と、クリストン氏は話す。

成功事例が続々登場

ポッドキャストにおけるGEの成功は類を見ないが、好調な例はほかにもある。たとえば、ギムレットの共同創設者マット・リーバー氏によると、「オープン・フォー・ビジネス」のダウンロード数は、ギムレットがイーベイに約束した数の2倍以上になったという。

パノプリーは、HBO向けに初のブランデッドポッドキャストを制作したのを皮切りに、いまや20を超える広告主のためにブランデッドポッドキャストのエピソード100本以上を制作したと公表した。USAトゥデイ(USA Today)の親会社でもあるガネットは、2017年にブランデッドポッドキャストに力を入れることを決定したが、そのわずか数カ月後に、3種類のブランデッドポッドキャストの制作を確定し、2017年中の公開を予定している。

いまのところ、こうした広告料の大半は、先に挙げた既存の大手企業に流れ込んでいる状況だ。だが、相当な額の新たな資金が市場に流れ込んでいるため、一部の観測筋は新たな事業者の参入を予測している。

「こうした活況から、関心を示す(大手の)エージェンシーも出てくると思う」と予想するのは、ポッドキャストを専門に手がけるアダプター・メディア(ADOPTER MEDIA)を創業したグレン・ルーベンスタイン氏だ。「ポッドキャストに乗り出すブランドも増えるだろう」。

どれだけブランドに言及すべき?

ただし、ルーベンスタイン氏は、ポッドキャストの作り手はみな、リスナーをうんざりさせないよう注意すべきだと釘を刺す。同氏は、「どの時点で嫌気が差すだろう?」と問いかける。

もっとも、ブランドや製品への言及を最小限にとどめる賢明な広告主もいる。GEの番組では、同社が取り組んでいる研究や製品の話が出てくるものの、番組の最初と最後しかブランド名が出ないポッドキャストもある。

「スポンサーとのつながりをあからさまに出すことを控えて、関心事に対してきわめて有用なコンテンツを制作するブランデッドポッドキャストが、とりわけ好調だ」と、ブリッジ・レイティングス(Bridge Ratings)の共同創設者、デイブ・バン・ダイク氏は指摘する。同社はポッドキャスト市場を対象とするメディア調査会社だ。

尻込みする企業も多い

ポッドキャストの分野に参入する企業が2017年にどれほど増えるかは、いまのところわからない。だが、そのコストの高さと、高品質な番組の制作につきものの困難を考えるなら、多くの企業は尻込みするだろう。

「世界のすべての広告主が、独自の番組を必要としているとは思わない」と、ミッドロールでCROを務めるレックス・フリードマン氏は語る。「(ブランドの)多くは関心を示すが、金額の話を始めると、ほとんどが関心をなくす」。

Max Willens(原文 / 訳:ガリレオ)
Photo by Thinkstock / Getty Image