スポンサードコンテンツ、いまだ収益拡大の万能薬なのか?:競争の激化という事実

スポンサードコンテンツはパブリッシャーにとって、デジタル界で生き残るための万能薬となるはずだった。しかし、実際は継続して広告主となる企業を見つけるのは非常に難しい。

デジタル広告のセールス情報プラットフォームであるメディアレーダー(MediaRadar)によると、2016年はスポンサードコンテンツの契約の更新率は21%ほどだったという。ネイティブアドに関するテクノロジー企業のポーラー(Polar)もまた、業界のネイティブアド契約の更新率は「低い」と描写した。ポーラーが調査したパブリッシャーのうち40%が、契約の更新率が半分を切っていたのだ。

5強寡占の厳しい世界

この背景には、ネイティブアドの成果に関して、広告主が確信をもてていないという事実がある。また多くのパブリッシャーが参加しているため競争がますます激化しているのだ。ブランドが希望するような幅広い配信を提供出来るパブリッシャーは、そのなかでも限られてくる。

「ブランドが投入する広告掲載料の85%は、トップ5のパブリッシャーに占められる」と説明するのは、ジャイアントメディア(Giant Media)のCEOジョン・コブ氏。同社では、各種パブリッシャーのネットワークを構築したうえで、プログラマティックにネイティブビデオアドを配信している。

「残った小さなパブリッシャーたちは残りの15%を追いかけることになる」と、コブ氏は続ける。「いずれ、トップ5と競争する能力をもったパブリッシャーも今後登場してくるだろう。それ以外は、私たちと同じフィールドで働いていく必要がある」。

いまや主要な収入源

数年前までは、スポンサードコンテンツは大規模なメディアバイイングにおまけで付いてくる、美味しい特典のようなものだった。それが、いまでは重要な収益源となっている。

デジタルオリジンのBuzzFeedにとっては欠かせない主要な収益源だし、アトランティック(The Atlantic)やニューヨーク・タイムズ(The New York Times)といったレガシーなパブリッシャーであってもそれは変わらない。ニューヨーク・タイムズは2020年までに、自社のネイティブアド制作部門「Tブランドスタジオ(T Brand Studio)」で8億ドルの収益を生み出す計画を立てているし、アトランティックも今年の広告収益の75%がネイティブアドから来るものと予測している。

アトランティックのネイティブアド部門である「リ:シンク(Re:think)」の責任者マイク・モンロー氏は、「私たちはネイティブアドをただの流行としては扱っていない」と語った。

予算の半分は有料配信に

しかし、そうやってネイティブアドへの依存が形成されていくと、ライバルとの競争は激化してくる。メディアレーダーのCEOトッド・クリゼルマン氏によると、3年前であればブランドのスポンサードコンテンツを請け負う企業は15社ほどだった。それが、今日では600社を越えるほどになり、その数は増え続けているという。

トレンドの変化も一役買っている。ブランドは、パブリッシャーだけだと達することができないレベルのオーディエンスにまで、コンテンツにリーチしてほしいと考えるようになった。実際に、ポーラーが調査したパブリッシャーの84%は、少なくとも彼らのキャンペーンの半分に、有料配信サービスを活用していたという。

この結果、パブリッシャーたちは、ほかのパブリッシャーたちと競争するだけでなく、コンテンツを自社制作する大手ネイティブアドネットワーク会社とも競う必要が出てきた。メディアレーダーによると、そのような企業は6社存在するという。そのひとつが、先述のジャイアントメディアだ。

さらなるライバルの登場

ジャイアントメディアは2015年、ブランドのためのコンテンツを450本以上制作。クライアントにはキャピタル・ワン(Capital One)、ディックズ・スポーティング・グッズ(Dick’s Sporting Goods)、そしてリメル・ロンドン(Rimmel London)が含まれる。「ネイティブアドを製作し、最適なパブリッシャーへプログラマチックに配信可能なのが、他社とは異なる我々の強みだ」と、コブ氏は述べた。

ネイティブアドを自社の得意分野にしてこなかったパブリッシャーや出遅れたパブリッシャーにとって、ジャイアントメディアのような企業は大きな困難として立ちはだかっている。配信、クリエイティブ能力、大手と競争するのに必要なパフォーマンス指標、これらを築き上げるためには多くの費用がかかるのだ。

パブリッシャーのWebサイトにESPNやNetflix、AT&Tといったブランドのコンテンツをダイナミックに挿入するサービスを提供する会社インスティンクティブ(Instinctive)のCEOマニ・ガンドハム氏は、「パブリッシャーはマーケティングテクノロジー会社ではない。難しい立場に立たされている」と、コメントした。

Max Willens(原文 / 訳:塚本 紺)
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