ドイツ発ニュースApp「アップデイ」、1300万MAUに成長

ドイツの大手メディア企業アクセル・シュプリンガーが生み出した、Google&Facebookによる寡占マーケットの対抗手段が「アップデイ(Upday)」だ。サムスン(Samsung)のスマートフォンにプリインストールされているアプリ、アップデイはヨーロッパ全体のニュースをカバーしている。現在、ローンチから1年半が経った。

アクセル・シュプリンガーのアナリティクスプラットフォーム「ローカリティクス(Localytics)」によると、アップデイの月間ユーザー数は1300万人にもなっているという。これはこの2月時点の850万人から大きく増加した。ドイツではアップデイの数字はIVWドイツ・サーキュレーション監査局、そしてリサーチ企業AGOF(Arbeitsgemeinschaft Online Forschung)といった外部団体によって承認されている。

この成長の理由のひとつに、アップデイがヨーロッパ16カ国で利用可能であることがあげられる。エディトリアルのハブ・ロケーション数は2016年にローンチした時の2倍、8カ所にまで増えている。約50人のエディトリアル人員を抱えているが、これも2月の段階と比べて2倍の数だ。スタッフたちは8カ所のハブに赴任し、ニュースの承認プロセスとともに、グローバルニュースにそれぞれの地域のローカルニュースを加えている。ベルリンの本社では25人のディベロッパーと25人のセールスマーケティングスタッフが勤務している。

予想以上に好調な数字

彼らによると、契約しているパブリッシャーの数も約2倍の3500にまで増えたという。合計するとアップデイはパブリッシャーに対して、一日400万訪問数を送っていることになる。これも2月の数字と比べると約2倍になっているという。このトラフィックが参照トラフィック全体の5%から20%を占めているパブリッシャーもある。アプリはアンドロイドでしか利用できないが、デバイスの数も増えている。サムスン・ギャラクシーSシリーズからギャラクシーA、そして低コストなギャラクシーJシリーズでも利用可能だ。

「保持率とユーザーのロイヤリティの高さは予想していなかった数字となっている」と、アップデイのCEOであるピーター・ビュルテンベルガー氏は言う。彼によると、ユーザーは1日に5分、アプリで費やしているとのことだ。ローンチ当初のアップデイの発表では、ユーザーは1カ月に2時間を費やしていると述べていた。これは一般的なニュースアプリにしては良いパフォーマンスと言える。もちろん、FacebookやYouTubeの1日35分という数字(インフルエンサー・エージェンシー、メディアキックス(Mediakix)調べ)には劣る。ほかを見てみると、スポーツパブリッシャーのブリーチャー・リポート(Bleacher Report)がユーザーから1日5分のアプリ利用となっており、女性向けライフスタイル・パブリッシャー、バッスル(Bustle)は1日6分となっている。

コムスコア(comScore)によると、Appleの「News(ニュース)」は英国で月間1040万人のユニークユーザーを持っているという(しかし、2016年11月段階の内部情報では7000万ユーザーと報じられている)。アップデイは最近になって、コムスコアのランキングを施行した。まだ最初のフル月間データは公開されておらず、ほかのニュースアプリと比べるには時期尚早のようだ。

利用時間を伸ばす戦略

過去4カ月間に、アップデイはリーチを拡大するという方向性からアプリ上で費やされる時間を伸ばしてもらう、という方向性にシフトした。ユーザーの興味を学び、コンテンツをそれぞれカスタマイズするということでこれを達成してきている。新規ユーザーがアップデイを最初に立ち上げると、まずトピック・カテゴリーをいくつも選ぶように言われる。そして、たとえばライフスタイル関連のコンテンツを受け取ることを選択したユーザーは「健康」や「栄養」といったトピックに興味があるかどうか尋ねられる。

「目に見えるカテゴリー選択に加えて、ユーザーの行動をアルゴリズムが学習することでユーザーが何に興味を持っているかを目に見えないところで理解するという手段も取っている」と、ビュルテンベルガー氏は言う。

過去2カ月で、アップデイはローカルオフィス経由でヨーロッパ全体キャンペーンを提供してきているという。アップデイの収益データはビュルテンベルガー氏は述べなかったが、このアップデイのオファーは競争優位となっていると語った。広告主は通常、各国それぞれにローカルなパートナーを見つけないといけないからだ。「アップデイは比較的小さいが、アクティブで、ヨーロッパ全体を包む広告プラットフォームとしては優れた代替案となる。GoogleやFacebookにすべてが行ってしまう、ということが起きないのだ」と、ビュルテンベルガー氏は加えた。

シートによる出稿事例

スペインの自動車メーカー、シート(Seat)は最近、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペインにおけるキャンペーンを、アップデイのベルリンオフィスを通して契約した。ベルリンのチームが中心となってクリエイティブをローカルなマーケットにそれぞれカスタマイズし、モバイル広告取引イナーラクティブ(Inneractive)を経由してプログラマティックに配信された。その一方で、アップデイのほかのキャンペーンの多くは、独立系アドテク企業アップネクサス(AppNexus)によって配信されている。これは5月に発表されたアクセル・シュプリンガーのグローバルパートナーシップ施行の一部となっている。

シートのキャンペーンの場合、ユーザーが10回ほどスワイプしてページを切り替えるごとにディスプレイやネイティブ形式でキャンペーンが表示されるものだった。ディスプレイ広告クリックスルー率という点では業界平均を越えるパフォーマンスを見せた。ネイティブ広告の多くは「シート・イビザで走りたくなる5つの理由」といった記事だったが、アップデイによるとCTRは1%ともっとも良いパフォーマンスを見せた。これらのユーザーはまた、ネイティブ広告をクリックスルーすることでたどり着くページにおいて1分間費やし、そこにおけるコールトゥアクション(行動喚起)のクリック率は11%だった。

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アップデイのシート向け、ネイティブ広告キャンペーンはなんと11%のユーザーに試乗の予約をさせることにつながったという

 

年齢の低い子どもたちにもっと読書をしてもらうことを促すペンギン・ランダム・ハウス(Penguin Random House)のための英国のキャンペーンでは、ターゲットは親に向けられた。2カ月前の段階では国を越えたキャンペーンやこういったターゲティング能力はまだ使えなかった。

アップデイの本当の価値

アップデイのキャンペーンは通常のものは1週間から10日間ほど展開される。これまでのクライアントにはボーダフォン(Vodafone)、フォルクスワーゲン(Volkswagen)、シートが継続キャンペーンの購入ブランドとして名を連ねている。アップデイは自動車メーカーに人気のようだ。ビュルテンベルガー氏によると、ヨーロッパのトップ10自動車メーカーのうちの6社はキャンペーンを契約しているという。

「私にとっては、良い成績を残す効果的なキャンペーンを持てることが本当の価値だ。中央のチームとローカルのノウハウを組み合わせる効率の良い方法だ」と彼は語った。

Lucinda Southern(原文 / 訳:塚本 紺)