米女性向け「分散型動画メディア」、次なるステージへ:自社ブランドサイトを強化

米国で「スクリーンジャンキーズ(ScreenJunkies)」や「スモッシュ(Smosh)」といったデジタルメディアブランドを展開するディファイメディア(Defy Media)は、エンターテインメントと女性のライフスタイルに特化したブランド「クレバーメディア(Clevver Media)」で、オーディエンスとより直接つながる戦略をとっていく。

これまでYouTubeチャンネルやFacebookを利用してオーディエンスを獲得してきたディファイメディアは7月、クレバーのWebサイトをローンチした。5人の編集スタッフによって運営されるClevver.comは現在、1日に16~18本の記事をアップ。ディファイメディアもクレバーも動画を主体としたブランドのため、1日の投稿記事のうち10本程度は、クレバーのYouTubeチャンネルやFacebookページの動画コンテンツと連動した内容となっている。

自社サイトへの訪問増やす

今後の計画は明らかになっていないが、ディファイメディアは現在、ダイレクトコネクション戦略を策定中で、それによりClevver.comのオーディエンスやニュースレターの購読者を拡大、あるいは何らかの有料サービスの提供をめざしているようだ。とはいえ、ディファイが自社ブランドをソーシャル以外のアプローチで展開するのは、これがはじめてではない。たとえばスクリーンジャンキーズは有料購読チャンネルを運営しており、購読料は月額4.99ドル(499円)、年額59ドル(5900円)、スクリーンジャンキーズのオリジナルグッズ付きで年額99ドル(1万円)の3種類を用意している。

「オーディエンスとより直接的なつながりを構築するためには、まず人気Webサイトとしての認知度を確立すること。そして、その実績をつくることだ」と語るのは、ディファイメディアのプレジデントを務めるキース・リッチマン氏だ。「ゆくゆくは有料コンテンツなどの新サービスも開発するが、まずはオーディエンスがClevver.comのWebサイトに直接訪れるようにしたい」。

「スクリーンジャンキーズには、何十万人という映画ファンがオーディエンスとしてついており、eメールアドレスを登録している。単なるメーリングリスト以上の有益な用途を見つけるのが、これまで大きな課題だった。クレバーは動画サービスでオーディエンスと関係を構築してきた。次の展開については、慎重になりたいと考えている」と同氏は指摘する。

Clevver.comのローンチしたもうひとつの要因は当然ながら、ネイティブ広告やテイクオーバー広告に対する広告主の関心の高まりだ(クレバーは広告売上で前年比60%増を達成)。リッチマン氏は、「Webサイトは死んだと言う人も多い。だが、影響力の大きいWeb広告キャンペーンには、依然として相当な関心が寄せられている。正直な話、我々にとっても新たな動きだ」と述べる。

YouTube動画、強い人気

Clevver.com には、早くもオーディエンスがつきはじめている。ディファイが発表したGoogle Analyticsデータによれば、8月のユニークビジター数は200万人に達した。これについてリッチマン氏は、Clevver.comにアップした動画ライブラリー(Google検索にも引っかかる)が大きな成長源になっているようだと分析する。

一方、クレバーの主軸は依然としてYouTubeとFacebookにある。クレバーはYouTubeで4つのチャンネルを展開しており、調査会社コムスコア(comScore)によると7月の米国内の総ユニークビューワー数は350万人に上った。これは、ライバルである「ヴォーグ(Vogue)」「ティーン・ヴォーグ(Teen Vogue)」「リファイナリー29(Refinery29)」「グラマー(Glamour)」「ポップシュガー(PopSugar)」の合計ユニークビューワー数を上回る数字だ。

アナリティクス企業のチューブラー・ラボ(Tubular Labs)の発表では、 YouTubeのクレバーニュース(Clevver News)チャンネルは8月に9500万のビューを記録。YouTubeでは、チューブラーのセレブトピックカテゴリーにおいて、米国の人気司会者ジミー・キンメル(Jimmy Kimmel)のチャンネルに次ぐ第2位にランクインした。同じくチューブラーによれば、Facebookでもクレバーの動画は8月に9260万ビューを達成しており、前年同月の1260万ビューから大きな飛躍を遂げている。

YouTubeおよびFacebookでのクレバーのオーディエンス拡大を受け、ディファイは制作チームのスタッフを16人増員し、35人体制にした。特別な番組プロジェクトではフリーランスの採用も頻繁に行っている。リッチマン氏によれば、2017年はクレバーメディアの番組制作・編成予算を20%増に拡大したそうだ。

ノウハウを次の戦略へ

同氏は、クレバーの躍進は、パーソナリティを主体とした番組作りの賜物だという。あえて競合とは一線を画し、美容やファッションのハウツー動画を売り物にしない戦略を取っていることが、功を奏している。インフルエンサーや人気のショーをフィーチャーした動画の制作も、広告主がコストを負担してくれる場合に限定する。(ディファイは過去にも、「広告枠が売れたら制作」するビジネスモデルについて、追求しても意味がないと明言している。)

リッチマン氏は、「これらのプラットフォームで何が奏功するか、さらに新しいことに挑戦する際の効率的なコスト構造についても、我々には長年にわたって蓄積してきたノウハウがある」と言う。たとえばクレバーは先のMTVミュージック・ビデオ・アワード(MTV Video Music Awards)で、アワードのあらゆる魅力をフィーチャーしたYouTube動画34本、Facebook動画6本を制作した。これらの動画は、クレバーのレギュラー番組の制作費にわずか追加5000ドル(50万円)という低コストで制作されたが、両プラットフォームで配信開始から24時間以内に1200万ビューを叩き出したのだという。

「現在社内では、これに匹敵する成果をエピソードベースで実現するにはどうすればよいか、という点が主な焦点となっている。クレバースタイル(Clevver Style)で新しい動画をアップすれば、そのつど25万~75万ビューは稼げるだろう。だが複数の動画でそれぞれ100万ビュー以上を達成できるようになれば、その成功要因が明らかになっていき、同じレベルの成果を維持することが可能になる」とリッチマン氏は語る。

Sahil Patel(原文 / 訳:SI Japan)