ガーディアン、「アドフラウド撲滅」に向け 奮起を促す:「パブリッシャーも広告主も変わるべし」

イギリスの新聞大手ガーディアン(Guardian)は現在、プログラマティック広告サプライチェーンで頻発しているアドフラウドなどの問題について、ドイツのメディアグループであるアクセル・シュプリンガー(Axel Springer)およびノルウェーのメディアグループであるシブステッド(Schibsted)と話し合いを重ねている。

ガーディアンのプログラマティック広告ディレクター、ダニー・スピアーズ氏は、米DIGIDAYが10月23日に開催した「DIGIDAY PUBLISHING SUMMIT EUROPE」で、バイヤーがアドエクスチェンジなどの広告流通市場を通じて安価な広告在庫を大量に買い付けている現状に対し、異議を申し立てていこうとパブリッシャーに呼びかけた。「オーディエンスベースの広告枠購入」が進んだ結果、広告主やパブリッシャーは不明なサービス料金を請求されたり、アドフラウドの被害に遭うなどしている。

ガーディアンはこの問題の対策について、過去6カ月間にわたり、アクセル・シュプリンガーおよびシブステッドと協議を続けてきた。スピアーズ氏は、業界団体の設立が目的なのではないと強調。デジタル広告サプライチェーンの全員に対し、それぞれの責任に応じた行動を呼びかけるには、どんなアクションが有効かを話し合っているのだという。

「ガラクタを買う仕事」

「我々が共有しているビジョンは、デジタル広告を再定義すること。断片化した不透明かつ無効なマーケットプレイスから、比類なき価値を広告主とパブリッシャーにもたらす強力なエコシステムへ、デジタル広告を進化させていくことだ」と、スピアーズ氏は語った。

ガーディアンはこれまで、プレミアムパブリッシャーとしての立場から、プログラマティック広告における不正と断固闘う姿勢を示してきた。同社は2016年10月、自社のプログラマティック広告在庫を精査したうえで、同社が広告主の支払い1ポンドに対して30ペンスしか受け取っておらず、残りはデータ業者に抜き取られていたことを明らかにした。2017年3月には、料金明細の非開示を理由にかつてのベンダーパートナー、ルビコン・プロジェクト(Rubicon Project)を相手取って訴訟を起こし、現在も係争中だ。

「広告枠の流通市場から買い入れることはハイリスクであり、ロシアンルーレットのようなものだ」とスピアーズ氏は語り、プログラマティック広告は「ガラクタを買う仕事」を生んでしまったと述べた。昨年、不適切なページやコンテンツへの広告表示のせいで、ブランドイメージが毀損されてしまう問題が頻発したことは記憶に新しい。BMWなどの広告主から出稿された広告が、アメリカ極右メディアのブライトバートなどのいわゆるヘイトスピーチサイトに掲載されてしまったほか、Youtubeでテロや差別主義を煽る動画の隣に表示されてしまったケースがあった。

「一切許容しない姿勢」

「アドテク企業は現在、広告主の広告費を奪い合いながらパブリッシャーの広告在庫をコントロールしようとしている。いわば、パブリッシャーはすっかり食いものにされている。本来、広告枠の販売は我々の特権であり、テクノロジーはそれを実現するためのツールにすぎない。パブリッシャーは、サプライチェーンのコントロールを自分たちの手に取り戻し、収益に関する自己決定権を確立しなければならない」とスピアーズ氏は語った。

ガーディアンはこれまでに、自社の顧客と協力して取引データを収集し、共通して利用しているサプライチェーンをマッピングしてきた。この取り組みにより、マーケットの不透明さをいくらか解消し、サプライチェーンにおける不要なコストや衝突を特定。バイヤーにとっても節税効果をもたらす価格設定ルールを導入できた。その結果として、自社の顧客の広告出稿が30%増加したと、スピアーズ氏は語った。

ガーディアンはさらに、アドテク関連の契約に対する自社のアプローチを標準化し、ベンダーに提携条件として提示することで、透明性を向上させ、パートナーシップを強化している。これが増収につながり、プログラマティック広告の純利益は過去10カ月間で10%増加したとスピアーズ氏は述べた。

「アドフラウドが批判されているにもかかわらず、それを本当に一切許容しないという宣言はマーケットの中心からまだ聞こえてきていない。アドフラウドを完全に排除すると、広告枠の取引量やマージンの減少につながるからなのではないか。しかし我々はパートナーとともに、アドフラウドを一切許容しない姿勢を鮮明にする必要がある。パブリッシャーも、広告主も、変わらなければならないのだ」とスピアーズ氏は語った。「パブリッシャーは力を合わせて、誇りに思えるビジョンを築かなければならない。そうすることではじめて、プログラマティック広告が真価を発揮できるようになる」。

Jessica Davies(原文 / 訳:塚本 紺)