ブルームバーグ、アプリ強化へさらに突き進む理由:「アプリこそが新しい雑誌だ」

モバイル用のサイトか、それともソーシャルプラットフォームか。いや、どちらでもない。これからは、アプリこそが未来だ。そう決めたのは、ブルームバーグメディア(Bloomberg Media)だ。

フラグシップアプリのデザインを刷新させたことにはじまり、ブルームバーグは今後1年で新しいアプリをいくつもローンチしようと計画している。ユーザーごとにカスタマイズされたコンテンツを届けることが各アプリのメインテーマとなっている。現在、普及しているモバイル用サイトやソーシャルプラットフォームよりもコンテンツはよりスムーズに届けられ、ユーザーが何を受け取るかコントロールしやすくなるという。

新アプリ開発で変わったこと

「アプリこそが新しい雑誌であり新聞である。(雑誌や新聞といったパブリッシャーとの)ブランド親和性をもっているかどうかは理解しているつもりだ。(アプリは)自分の必要な物を知ることができ、毎日のメディア消費の有益な一部になっていると考えている。それがアプリに底流する哲学だ」と語るのは、ブルームバーグメディアのデジタル部門のグローバル責任者である、スコット・ヘイブンズ氏だ。

開発に6カ月。新しいブルームバーグのアプリは完全にインターフェースが刷新されている。無駄な部分が削ぎ落とされた、白黒の以前のデザインから色と画像が多く使われたものに変わった。ハンバーガーメニュー(横棒が3つ重なった形のよくあるナビゲーションメニュー)のアイコンに代わって、新しいアプリではスクリーンの下部にタブが表示されるようになった。

これはFacebookの現行アプリに似ている(ヘイブンズ氏によると、これは意図的なものだという。以前のセットアップはあまり上手く機能していなかったそうだ。「世界最大のプラットフォームよりも、ほかに真似するのに適した相手っていないだろ」)。

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新アプリ

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旧アプリ

新しいデザインには実利もある。ブルームバーグのコンテンツに注目が集まるようにハイライトすることは、以前のアプリだとあまり上手く行かなかったが、新アプリはそれが効果的にできるようになった。

たとえばメディアタブはブルームバーグのオンデマンド動画、ラジオストリーミング、ポッドキャスト、さらにはTVチャンネルに集中したブルームバーグキュレーションのセクションとなっている。ホームタブでは画面トップにバナーの形でマーケット情報を表示させた。ユーザーがそれをクリックするとマーケットページを素早く見ることができるのだ。

アプリ強化に傾倒する目的

広告に関しても、さまざまな考慮が加えられているようだ。新バージョンでは広告をエディトリアルコンテンツのあいだに挟んで表示させることができるようになった。ユーザーが下にスクロールする途中に現れる形だ。これによって、ページ中にスポンサードポストを埋め込めるようになった。

新デザインのゴールは、ユーザーの利用頻度を増やすこと。現時点で、同社のアプリは月間250万ユニークビジターを擁している。この数字で停滞してしばらく経っているとのことだ。「モバイルとソーシャルが普及し、またアプリのリニューアルを過去数年間してこなかったことが原因で、数字が停滞してしまった」と、ヘイブンズ氏は言う。

ブルームバーグはこれからの1年でオーディエンスを2倍から3倍にまで増加させたいと期待している。そのための手法のひとつとして計画されているのが、時間帯コンテンツの導入だ。メインタブに行くと、ユーザーは自分向けにカスタマイズされたストーリーが3つから5つ見られ、そして朝、午後、夕方と、時間帯によってそのストーリーが変わる。これはアプリがアクセスしている場所によって変わるという(ヨーロッパにいれば午後のストーリーが表示されているとき、アメリカにいれば午前のフィードが受け取られるということだ)。

アプリ開発を内製する意味

ブルームバーグの20人編成のモバイルアプリチームによって、このアプリは開発された。20人のなかには4人のフルタイムのモバイルエディターも含まれている。同チームは、オンデマンド動画やライブ動画がストリーミング環境でどう機能すべきか「考え直させられる」、新しいビデオアプリにも取り組む予定だと、ヘイブンズ氏は言う。

モバイルサイトは規模から言うとアプリよりも圧倒的に大きい。今年はじめにコムスコア(comScore)によって発表されたリサーチによると、モバイルサイトとモバイルアプリのトップ1000を比べてみると、平均してサイトはアプリの3倍のユーザーを抱えており、2倍の速さで成長している。

しかし、モバイルで費やされる時間に注目してみると、アプリが勝つのである。コムスコアによると、アメリカで過去2年間、モバイル上で費やされる時間の平均87%はアプリだという。さらに同じレポートによると、500万ダウンロード以上の実績をもつアメリカのアプリの数は、毎年8%ずつ増加しているという。モバイル用サイトやソーシャルアプリ内でのみ、パブリッシャーとして機能するのではなく、アプリ開発にも投資するパブリッシャーのマーケットがあることを、これは示唆している。

「パブリッシャーとしての将来を外部委託することはできない。私たちはソーシャルプラットフォームから撤退しているわけではない。Facebookから、アプリのダウンロードへと結びつくポテンシャルは大きい。私たちはユーザーを直接的な関係へと導き入れたいのだ。それを見捨ててしまうことは、本質的には白旗をあげることと同じだ」と、ヘイブンズ氏は語った。

Sahil Patel(原文 / 訳:塚本 紺)
Photo by Jane Quigley(CreativeCommons)